表紙 「アジア太平洋障害者の十年」 最終年記念フォーラム キャンペーン報告書 2003年3月 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムキャンペーン委員会 発行にあたって  「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念事業として、本年度は3つの国際会議(「2002年第6回DPI世界会議札幌大会」「第12回RIアジア太平洋地域会議」「アジア太平洋障害者の十年推進キャンペーン2002」)が開催されましたが、これと平行して、国内の障害者施策推進のため、全国の障害者関係団体の協力による「3つのキャンペーン」事業を実施しました。  本報告書では、キャンペーン事業の一環として昨年度に行われた「障害者計画と欠格条項の実態に関する全国自治体アンケート調査」の概要と結果を振り返るとともに、その結果を受けて本年度に全国の障害者団体の協力の下に実施した「障害者計画に対する障害当事者団体の評価についてのアンケート調査」の概要と結果を紹介し、障害者関係団体等による委員各位の論評を掲載します。  また、キャンペーン事業の全国展開を図るべく各地で開催された「推進キャンペーン会議」のうち、「障害のある人の権利と法制度を考える 〜「障害者差別禁止法」への展望〜」(8月31日、全社協灘尾ホール)の模様を併せて掲載し、報告とします。  本事業の実施にあたっては、社会福祉・医療事業団 高齢者・障害者福祉基金の助成を受けました。ここに厚く御礼申し上げます。 「アジア太平洋障害者の十年」 最終年記念フォーラム キャンペーン報告書 ●報告書 目次 ■キャンペーン 全国調査報告 はじめに  松友  了(キャンペーン委員会委員長)…5 T 活動の概要  金  政玉(キャンペーン委員会政策部会)…6  1.キャンペーン委員会政策部会の活動  2.調査活動の基本的考え方 U 自治体障害者計画策定の実態と課題  圓山 里子/朝比奈 ミカ(ワーキングチーム)…9…  1.「都道府県・政令指定都市障害者計画」策定・実施状況に関するアンケート調査結果 …9  2.「市町村障害者計画」策定・実施状況に関するアンケート調査結果…18  3.「障害者計画に対する当事者団体の評価についてのアンケート調査」結果…38  4.調査結果をみて…43   ○「都道府県及び市区町村障害者計画」策定に関する自治体調査結果から  上田 征三…43   ○ 障害者計画と当事者団体の関係  川内 美彦…48   ○「市町村障害者計画」の策定状況について  岩崎 晋也…56   ○「都道府県・政令指定都市障害者計画」における数値目標について  小澤  温…58   ○「障害者計画に対する当事者団体の評価についてのアンケート調査」結果報告について  福島  智…59   ○「障害者施策推進フォーラム協議会」の活動報告について  森  祐司(キャンペーン委員)…61 V 欠格条項  瀬山 紀子(ワーキングチーム)…62  1.欠格条項調査の概要…62  2.都道府県・指定都市調査 集計結果…63  3.市町村調査 集計結果…66  4.調査結果をみて  大石 剛一郎…70 W 調査のまとめ  金  政玉(ワーキングチーム)…73  1.調査結果からみえてきた課題…73  2.所感   ○調査結果をみて思うこと 加藤 真規子(キャンペーン委員)…79   ○アンケート調査結果について  堀内 生太郎(キャンペーン委員)…80  3.今回の調査結果と今後の課題について  北野 誠一(評価委員会委員長)…83 X 資料編…86  ◆調査票  1.【都道府県・政令指定都市向け】    障害者計画の策定・実施状況と欠格条項の実態に関する調査票…86  2.【市区町村向け】    障害者計画の策定・実施状況と欠格条項の実態に関する調査票…102  3.障害者計画における当事者団体の調査票…122 ■推進キャンペーン会議報告  1.開催概要…129  2.会議報告…131 ■委員一覧  「最終年記念フォーラム」実行委員会キャンペーン委員会 委員一覧…199  評価委員会 委員一覧 「自治体調査」報告書の発行にあたって 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム実行委員会 キャンペーン委員会委員長 松友 了(まつとも りょう)  国連・アジア太平洋経済社会委員会(UN・ESCAP) が決議した「アジア太平洋障害者の十年」の終年(2002年)を迎えるに当たって、それを進めてきた民間団体のネットワーク(RNN) は、地区大会ともいうべく『推進キャンペーン会議』を日本で開くことになりました。  この会議は、初年度(1993年)に沖縄で開かれて以来、各国を回る形で毎年開催されてきました。最終年に、再度の日本開催です。また、その会議に合わせるように、『第12回RIアジア太平洋地区会議』の開催も決定しました。そしてすでに開催が決まっていたのが『第6回DPI世界会議』でありました。ここに、関係する国際団体の会議が、同じ年に日本で開催されることになったのです。  そのため、障害分野の関係者・機関・団体が集い、これらの会議を総称して<「アジア太平洋障害者の十年」最終年フォーラム>と呼び、総力を挙げて推進することになりました。そして、単なる3つの会議の開催というのではなく、そのことを通じてわが国の障害者を取り巻く状況の変革を志向することが確認されました。  その核になったのが「3つのキャンペーン」事業であり、@「市町村障害者計画」策定推進、A「欠格条項」総点検、B「情報バリアフリーとIT環境の整備」推進の各キャンペーンで構成されました。そのため、「キャンペーン委員会」が組織され、@とAを『政策部会』が、Bは『情報部会』が担うことになりました。そして『政策部会』は、イ)評価活動の実施、ロ)ブロック大会の開催、ハ)都道府県推進体制の確立を3本柱として活動することになったのです。この報告書は、評価活動の成果を提示したものであります。  評価活動は金政玉氏(DPI日本会議)を担当とする「評価委員会」にすべてを委任する形で進められました。金氏は素晴らしい人材を評価委員会に集め、ワーキングチームの若いスタッフの支えにより、世界会議の準備を控えた多忙な中で、緻密に事業を進めていただきました。その意味で、この業績はひとえに金氏によるものであることを確認する必要があります。また、DPI日本会議は組織を挙げてこの事業に取り組んでくださいました。そのため、この事業はDPI日本会議の業績そのものであったともいえましょう。世界会議の成功をお祝いするとともに、この事業へのご支援を正当に評価し、深く感謝いたします。  また、ご多忙中の中をご参集いただき、強行スケジュールの中で作業を進めていただいた、評価委員やワーキングチームの皆さんにも心から御礼申し上げます。  また、評価作業は障害者団体サイドからも取り組みました。都道府県での「十年」の推進体制の確立と平行して、この事業にご協力・ご参画くださいました、障害者社会参加推進センター及び日本身体障害者団体連合会にご加盟の都道府県組織にも、厚く御礼申し上げます。そして何より、調査にご協力くださいました都道府県・市町村の担当課の皆さんに、衷心より感謝の意を表します。本当にありがとうございました。  御存じのとおり、「アジア太平洋障害者の十年」は延長され、「第2次の十年」としてスタートしております。今回の事業の成果が、新たな「十年」の取り組みに反映し、確実な変革と前進をわが国のすべての地に生み出されることを期待しております。新しい時代は、「自立」と「人権」そして「地域(地方)」が重視される時代です。そしてそれは、当事者が主体となって進められるものと思います。この評価委員会を中心に作成された調査報告書の成果は、幕開けの号砲であるといえるでしょう。 T 活動の概要 キャンペーン委員会政策部会 金 政玉(きむ じょんおく) 1.キャンペーン委員会政策部会の活動  「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムの目的は、@国内における「アジア太平洋障害者の十年」の成果を評価し、課題を明らかにするとともにその推進をはかる、Aアジア太平洋地域諸国の現状と課題を明らかにし、ポスト十年への対応策を探る、B第6回DPI世界会議の成功を期し関係者の連携と協働を推進する、CRIアジア太平洋地域会議の成功を期し総合リハビリテーション分野における障害当事者と専門家の連携を深めることが掲げられた。  特に目的の@との関係では、3つの国内キャンペーンを設定し、(1)「市町村障害者計画」策定推進キャンペーン、(2)「欠格条項」総点検キャンペーン、  (3)「情報バリアフリーとIT環境の整備」推進キャンペーンの取り組みが決定された。  キャンペーン委員会政策部会では、(1)と(2)の課題を担当して2001年5月頃から企画内容の検討を行い、調査活動の推進のためにキャンペーン委員会政策部会に障害をもつ当事者の研究者・弁護士を含む13名の評価委員会(委員長 北野誠一氏〔桃山学院大学教授〕)とその下で立案を担当するワーキングチームを設置した。  また、本調査では、キャンペーン活動の枠組みとして、もう一つの重要な柱を立てた。  それは、第1に、都道府県障害者社会参加推進センターの関係団体や日常のネットワークを通じて連絡のとれる当事者団体等に自治体調査の集計結果の情報提供をする。第2に、当事者団体等の立場から、当該自治体の障害者計画の策定過程に、とりわけ当事者の参加・参画がどのように実現されているかという点に焦点をあててモニタリング(評価)を行い、当該自治体との協議と合意づくりを通じてよりよい障害者計画の策定をめざすというものである。  このような自治体調査と関係当事者団体等によるモニタリングの二つの柱を軸に、国内における「十年」の成果の評価と課題を明らかにしていく中で、障害をもつ人への差別を禁止し権利を明記する法律制定への機運を盛り上げていくことが重要になっている。 2.調査活動の基本的考え方 (1) これまでの自治体調査の課題  障害者計画は、障害者基本法(1993年)により、都道府県及び市町村が策定するよう努めなければならない(同法第7条の2第2項及び第3項)とされている。その策定状況について、国(内閣府障害者施策担当)が2002年3月末に取りまとめた市区町村の結果の概況は、市区町村3,234(指定都市を除く)のうち、障害者計画「策定済」は2,706団体で、策定率は83.7%であった。  障害者計画に関する先行調査として、「新・障害者の十年推進会議」が実施した障害者計画策定に関わる「市区町村長アンケート調査」がある(1995年12月)。この調査は、回答率62.8%(2043市区町村)で、策定済と策定中11.3%。「第二次市区町村長アンケート調査」(98年)では、回答率66.2%(2155市区町村)で、策定済と策定中53.4%(当時の総理府調査では同時期53.8%)という結果で、市区町村での障害者計画策定が進んでいないことが明らかになった。  課題としては、次のことが指摘された。 ・関係障害者団体の動きの低迷(参画、周知の必要性) ・当事者団体の政策決定への参画に関する課題(運動の再結集の必要性) ・障害者保健福祉施策見直しにおける「障害者計画」の位置づけの明確化の必要性 ・自治体間の格差に係る問題点(広域でのプラン作成の際に、例えばA町では施策にないものが広域計画では盛り込まれている場合等) ・計画の具体性、数値目標を含む計画の少なさ(予算問題) ・実態との乖離、実効性への疑問(特に地域自立生活支援に向けた条件整備等) ・精神障害者、知的障害者、難病への対策の遅れ ・障害者計画の見直し規定の明確化 (2) 本調査の目的  本調査では、障害者計画の策定状況や、これまでの自治体調査の経過を踏まえ、都道府県・政令指定都市、市区町村の現状の「障害者計画」の策定状況及び実施状況、さらに、欠格条項の実態について調査を実施した。  本調査の目的は、障害者計画について、その策定状況の把握のみならず、次のような視点から把握することである。すなわち、1993年に国連総会で採択された「障害者の機会均等化に関する基準規則」(以下、「基準規則」と略)、「アジア太平洋障害者の十年12課題107の目標」(以下、「アジア太平洋107の目標」と略)に示されている障害者の社会への「参加・統合・人権」という精神からみて、中でも特に「参加」に焦点をあてて、障害者計画の現状と課題を明らかにすることである。欠格条項に関する調査もこのような目的から位置づけることができるだろう。  また、本調査では、次のような問題認識が背景にある。 @障害者への差別と偏見を解消し、全国各地で障害者の自立生活を可能にするために、全国の「障害者計画」がどこまで、どのように機能しているのかを点検、評価する。 A市区町村レベルで、現在、計画自体を策定していない行政に対しては、計画策定への問題意識を喚起する。 B障害者自身が、政策決定の場へ関わる道筋をつけること。その評価指針として国際的基準を提示し、それらの周知を行うこと。  各自治体の障害者計画が、平等の視点(社会的障壁の除去、アクセシビリティ、バリアフリー、障害者の社会参加等)に照らし合わせてどのような実態になるのかを明らかにすることは、障害者の権利法制定に向けた重要な礎石としての意味をもつことになる。 (3) 実施した調査  以上の目的及び問題認識に基づき、具体的には次のような調査を実施した。 @障害者計画の策定・実施状況と欠格条項の実態に関する調査 調査A.都道府県・政令指定都市向け −− 郵送調査、回収率:94.9%(56/59) 調査B.市区町村向け  郵送調査、回収率:48.0%(1,552/3,235) A障害者計画に対する当事者団体の評価についてのアンケート調査  郵送調査、回収率:49.2%(959/1,949)  なお、欠格条項については、@の調査票に含め、障害者計画の調査と同時に実施した。  本調査活動の特色は、上記のように、障害者計画を、「策定した自治体」と「当事者団体」という、立場の異なる両者から把握している点にある。  このような調査を実施したが、本報告書では調査の内容に即して、Uで@の自治体調査部分及びAの結果を、Vで欠格条項の結果について報告する。そして、これらの結果を踏まえ、Wにおいて調査のまとめを行う。 (4) 本調査活動の意義  この「十年」の障害者分野の状況の変化に対応して、今後、新障害者プラン(03年4月)が実施され、都道府県・政令指定都市、市区町村レベルで障害者計画の見直し作業が2〜3年の間に進むことになる。こうした観点から、本「最終年フォーラム」実行委員会に関係している全国組織のネットワークをもつ障害者団体、家族団体をはじめとする障害関係団体が都道府県・政令指定都市、市区町村レベルで行われるこれからの障害者計画の見直しに対して、積極的に意見や要望を出していく取り組みのための基礎的データーとして本報告書が活用されることを心から願っている。 U 自治体障害者計画策定の実態と課題 ワーキングチーム 圓山 里子(まるやま さとこ) 朝比奈 ミカ(あさひな) 1.「都道府県・政令指定都市障害者計画」策定・実施状況に関するアンケート調査結果 (1) 調査の目的  都道府県・政令指定都市、市区町村の現状の「障害者計画」策定状況が、1993年に国連総会で採択された「障害者の機会均等化に関する基準規則」(以下、「基準規則」と略)、「アジア太平洋障害者の十年12課題107の目標」(以下、「アジア太平洋107の目標」と略)の「社会への参加・統合・人権」という精神からみて、中でも「参加」に焦点をあてて、現状を把握すること。  現状の障害者計画が、平等の視点(社会的障壁の除去、アクセシビリティ、バリアフリー、障害者の社会参加等)に照らし合わせてどのような実態になるのかを明らかにすることは、障害者の権利法制定に向けた重要な礎石としての意味をもつことになると考えられる。 (2) 調査の方法 @実施期間:2001年12月〜2002年5月 A実施方法:郵送調査 B回収率 : 94.9%(56/59) C調査項目 a.回答自治体の概要(人口など) b.障害者計画の策定状況 c.数値目標の設定状況 d.計画策定における当事者参加の状況 e.障害者計画における各施策の状況及び実施状況  他に、市町村の条例・規則等についての欠格条項についての設問(Vを参照)。  特に、d.計画策定における当事者参加の状況、及び、e.障害者計画における各施策の状況及び実施状況に関しては、調査目的である「基準規則」と「アジア太平洋107の目標」の精神である「社会への参加・統合・人権」というキーワードから障害者計画を検討できるよう、設問を工夫した。  例えば、「d.計画策定における当事者参加の状況」については、計画に先だって調査を実施した場合には調査票作成前に障害者への意見聴取の機会を設けたか否か、障害者計画策定委員会への当事者委員の選定方法、委員以外の当事者の障害者計画への参加について、計画実施やモニタリングへの当事者の参加について、といった設問がある。  また、「e.障害者計画における各施策の状況」及び実施状況については、障害者計画の中心となる福祉領域のみならず、「基準規則」で提示されている領域を参考にし、策定された計画が「社会への参加・統合・人権」に寄与するものであるかどうかを把握できるように努めた。 (3) 結果 @計画の策定状況 a.障害者計画の策定状況について [表U−1:障害者計画の策定状況 参照]  回答のあった56の都道府県・指定都市については、障害者計画はすべて策定済みとなっている。 表U−1:障害者計画の策定状況 策定済 策定中 検討中 予定なし 合 計 回答数 56 0 0 0 56 % 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% b.策定時の参考資料について [表U−2:策定時の参考資料(複数回答)参照]  策定時の参考資料としては、「新長期計画・障害者プラン」が52(92.2%)と最も多く、次いで「厚生省関係障害者プランの推進方策」が37(66.1%)、「他の都道府県・市町村の計画」27(48.2%)、総理府「市町村障害者計画策定指針」25(44.6%)となっている。一方で、「アジア太平洋障害者の十年107の目標」は10団体、「障害者の機会均等化に関する基準規則」は、6団体と低い数値に留まっている。 表U−2 策定時の参考資料 総理府 「市町村障害者計画策定指針」 厚生省関係障害者プランの推進方策について 新長期計画・障害者プラン 都道府県の計画 他の都道府県・市町村の計画 障害者の機会均等化に関する基準規則 アジア太平洋障害者の十年107の目標 WHO国際障害分類 その他 回答なし 回答数計 回答数 25 37 52 2 27 6 10 4 2 10 56 % 44.6% 66.1% 92.9% 3.6% 48.2% 10.7% 17.9% 7.1% 3.6% 1.8% 100.0% c.障害者計画見直し状況について [表U−3 障害者計画見直し状況 参照]  見直し状況については、すでに見直し済みとしたのは、15団体(26.8%)に留まり、今後見直す予定であるとした都道府県・指定都市が24団体(42.8%)となっている。一方で、今後見直す予定はないと回答した都道府県・指定都市が7団体(12.5%)、検討中が9団体(16.1%)に上った。 表U−3 障害者計画見直し状況 見直し済み 見直し予定 検討中 予定なし 回答なし 合 計 回答数 15 24 9 7 1 56 % 26.8% 42.8% 16.1% 12.5% 1.8% 100.0% d.障害種別施策状況について [表U−4 障害種別施策状況 参照]  障害種別の計画策定状況については、身体障害・知的障害・精神障害については、ほぼ全ての都道府県・指定都市でそれらを含んだ計画になっているとの回答があったが、難病については、含まないとした回答が8団体(14.3%)に上った。 表U−4 障害種別施策状況 身体障害 知的障害 精神障害 難病等 含んでいる 56 55 55 47 100.0% 98.2% 98.2% 83.9% 含んでいない 0 0 0 8 0.0% 0.0% 0.0% 14.3% 回答なし 0 1 1 1 0.0% 1.8% 1.8% 1.8% 合計 56 56 56 56 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% e.障害者計画の策定年次について [表U−5 計画策定年次 参照]  障害者計画が策定された年は、H8年以前が37団体(66.0%)と最も多く、次いで、H12年が7団体(12.5%)、H9年が6団体(10.7%)となっている。 表U−5 計画策定年次 〜H7年度 H8 H9 H10 H11 H12 H13 合計 回答数 37 1 6 1 2 7 2 56 % 66.0% 1.8% 10.7% 1.8% 3.6% 12.5% 3.6% 100.0% A施策別の数値目標 [表U−6 施策別の数値目標の設定状況 参照] [母数49]  施策別の数値目標の設定状況については、「小規模作業所に対する助成」が、22自治体(44.9%)と低い数値に留まり、次いで、「精神障害者社会適応訓練事業」27(55.1%)、「精神障害者福祉工場」28(57.1%)、「精神科デイ・ケア施設の整備」「身体障害者福祉ホーム」29(59.2%)が低い数値となっている。最も数値目標の設定率が高い施策は、「身体障害者療護施設」44自治体(89.8%)だった。  また、数値目標の設定方法については、「一般住民も含めたサービスの利用意向調査」は、すべての項目にわたって「実施していない」との回答で、「住民や障害者団体からの要望に基づいて設定した」とする回答も1桁台に留まっている。一方で、「従来の施策の延長線上」とする回答は、14%〜30%、また「実際のサービス利用対象者への生活実態調査」は、12%〜32%となっている。 表U−6 施策別の数値目標の設定状況 数値目標 設定方法 回答者数 有 無 回答なし 従来の施策の延長線上で設定した 一般住民も含めたサービスの利用意向調査に基づいて算出した 実際のサービスの利用対象となる人への生活状況の実態調査に基づいて算出した 住民や障害者団体からの要望に基づいて設定した その他 回答なし 知的障害者地域生活援助事業 42 3 4 13 0 11 4 9 12 49 85.7 6.1 8.2 26.5 0.0 22.4 8.2 18.4 24.5 100.0 精神障害者地域生活援助事業 42 4 3 14 0 10 4 8 13 49 85.7 8.2 6.1 28.6 0.0 20.4 8.2 16.3 26.5 100.0 身体障害者福祉ホーム 29 14 6 8 0 9 2 7 23 49 59.2 28.6 12.2 16.3 0.0 18.4 4.1 14.3 46.9 100.0 精神障害者福祉ホーム 39 6 4 10 0 10 3 11 15 49 79.6 12.2 8.2 20.4 0.0 20.4 6.1 22.4 30.6 100.0 身体障害者通所授産施設 40 5 4 13 0 14 2 8 12 49 81.6 10.2 8.2 26.5 0.0 28.6 4.1 16.3 24.5 100.0 知的障害者授産施設(通所) 43 1 5 11 0 14 3 7 14 49 87.8 2.0 10.2 22.4 0.0 28.6 6.1 14.3 28.6 100.0 精神障害者(入所・通所)授産施設 41 2 6 13 0 12 3 9 12 49 83.7 4.1 12.2 26.5 0.0 24.5 6.1 18.4 24.5 100.0 精神障害者福祉工場 28 14 7 7 0 10 3 6 23 49 57.1 28.6 14.3 14.3 0.0 20.4 6.1 12.2 46.9 100.0 小規模作業所に対する助成 22 21 6 8 0 6 4 6 23 49 44.9 42.9 12.2 16.3 0.0 12.2 8.2 12.2 46.9 100.0 障害児通園(デイサービス)事業 30 14 5 10 0 6 3 8 22 49 61.2 28.6 10.2 20.4 0.0 12.2 6.1 16.3 44.9 100.0 重症心身障害児(者)通園事業 34 12 3 12 0 6 3 8 20 49 69.4 24.5 6.1 24.5 0.0 12.2 6.1 16.3 40.8 100.0 市町村障害者生活支援事業 40 6 3 14 0 6 3 12 14 49 81.6 12.2 6.1 28.6 0.0 12.2 6.1 24.5 28.6 100.0 障害児(者)地域療育等支援事業 36 10 3 13 0 6 3 9 18 49 73.5 20.4 6.1 26.5 0.0 12.2 6.1 18.4 36.7 100.0 精神障害者地域生活支援センター 41 5 3 15 0 7 3 10 14 49 83.7 10.2 6.1 30.6 0.0 14.3 6.1 20.4 28.6 100.0 精神障害者社会適応訓練事業 27 19 3 11 0 7 1 6 23 49 55.1 38.3 6.1 22.4 0.0 14.3 2.0 12.2 46.9 100.0 精神障害者生活訓練施設(援護寮) 43 3 3 16 0 9 3 9 12 49 87.7 6.1 6.1 32.7 0.0 18.4 6.1 18.4 24.5 100.0 精神科デイ・ケア施設の整備 29 17 3 10 0 8 2 7 22 49 59.2 34.7 6.1 20.4 0.0 16.3 4.1 14.3 44.9 100.0 訪問介護(ホームヘルパー) 36 10 3 11 0 16 1 6 15 49 73.5 20.4 6.1 22.4 0.0 32.7 2.0 12.2 30.6 100.0 短期入所(ショートステイ) 40 5 4 11 0 16 3 8 11 49 81.6 10.2 8.2 22.4 0.0 32.7 6.1 16.3 22.4 100.0 身体障害者日帰り介護 43 3 3 10 0 14 3 11 11 49 87.7 6.1 6.1 20.4 0.0 28.6 6.1 22.4 22.4 100.0 在宅知的障害者日帰り介護 37 5 7 8 0 12 2 8 19 49 75.5 10.2 14.3 16.3 0.0 24.5 4.1 16.3 38.8 100.0 身体障害者療護施設 44 1 4 14 0 12 4 9 10 49 89.8 2.0 8.2 28.6 0.0 24.5 8.2 18.4 20.4 100.0 知的障害者更生施設 42 3 4 14 0 12 3 10 10 49 85.7 6.1 8.2 28.6 0.0 24.5 6.1 20.4 20.4 100.0 (上段:実数,下段:%) B当事者参加の状況 a.計画策定のための基礎資料収集の手法について [表U−7 計画策定のための基礎資料収集の手法(複数回答) 参照]  計画策定のための基礎資料については、既存資料の収集がもっとも多く46団体(82.1%)、次いで調査の実施が41団体(73.2%)、ボランティアの協力は、1団体のみ、民間団体の調査を活用したとする団体は4団体と非常に低い数値だった。 表U−7 計画策定のための基礎資料収集の手法(複数回答) 既存資料の収集 調査の実施 ボランティアの協力 民間団体の調査活用 回答なし 回答数計 46 41 1 4 1 56 82.1% 73.2% 1.8% 7.1% 1.8% 100.0% b.実施した調査の内容について [表U−7−1 実施した調査の内容 参照]  調査を実施した場合、そのほとんどは「利用者の生活実態調査」となっている(95.1%)。 表U−7−1 実施した調査の内容(複数回答) 一般住民も含めたサービスの利用意向調査 利用対象者の生活実態調査 生活環境整備状況実態調査 その他 合 計 回答数 4 39 1 7 41 % 9.8% 95.1% 2.4% 17.5% 100.0% c.調査票作成前の障害者への意見聴取の機会について [表U−7−2 調査票作成前の障害者への意見聴取の機会 参照]  障害者計画策定の基礎資料としての調査を実施するに当たって、調査票策定前に、障害者への意見聴取の機会の有無を聞いたところ、設けたとしたのは19団体(33.9%)に留まり、設けていないとしたのが21団体(37.5%)となっている。但し、調査そのものを実施していない団体が14団体に上っている。 表U−7−2 調査票作成前の障害者への意見聴取の機会 設けた 設けなかった 調査はしなかった 回答なし 合計 19 21 14 2 56 33.9% 37.5% 25.0% 3.6% 100.0% d.当事者委員の選出方法について [表U−8 当事者委員の内訳と選出方法 参照]  障害者計画の策定を審議した委員会の当事者委員の選出方法をみていくと、当事者団体・家族団体・支援者団体とも、公募による選出はなく、慣例による代表者の選出が最も多く、次いで団体からの推薦による選出となっている。内訳では、当事者団体が45団体(80.4%)、家族会が44団体(78.6%)となっていて、支援者団体は29団体(51.8%)となっている。 表U−8 当事者委員の内訳と選出方法 有 無 団体からの推薦 代表者(慣例) 公募 その他 回答なし 合計 当事者団体 回答数 45 11 21 21 0 3 11 56 % 80.4% 19.6% 37.5% 37.5% 0.0% 5.4% 19.6% 100.0% 家族会 回答数 44 12 19 22 0 3 12 56 % 78.6% 21.4% 33.9% 39.3% 0.0% 5.4% 21.4% 100.0% 支援者団体 回答数 29 27 12 13 0 4 27 56 % 51.8% 48.2% 21.4% 23.2% 0.0% 7.1% 48.3% 100.0% その他 回答数 14 42 7 5 0 3 41 56 % 25.0% 75.0% 12.5% 8.9% 0.0% 5.4% 73.2% 100.0% e.当事者委員の障害種別について [表U−9 当事者委員の障害種別(委員に以下の障害の人が含まれている自治体数)参照]  当事者委員の障害種別を見ていくと、肢体不自由が40(71.4%)と最も多く選出されており、次いで視覚障害が28(50.0%)、聴覚・平衡機能障害が24(42.9%)となっている。内部障害、知的障害、盲ろう障害、精神障害、音声・言語・そしゃく・機能障害は、共に1桁台に留まっている。 表U−9−1 当事者委員の障害種別(委員に以下の障害の人が含まれている自治体数) 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 音声・言語・そしゃく・機能障害 肢体不自由 内部障害 盲ろう障害 知的障害 精神障害 不明 その他障害 回答数 28 24 3 40 7 4 5 3 1 5 % 50.0% 42.9% 5.4% 71.4% 12.5% 7.1% 8.9% 5.4% 1.8% 8.9% f.当事者委員以外の当事者の参加について [表U−9−2 委員以外の当事者の参加(複数回答)参照]  計画策定に委員として関わる以外の方法での当事者の参加については、「障害者団体の要望書を参考とした」自治体が32(57.1%)、「懇談会を開催した」自治体が15(26.8%)、「広く意見を募集した」とする自治体が14(25.0%)、「ヒアリングを実施した」自治体が12(21.4%)、となっている一方、特に機会を設けなかったとする自治体も9団体(16.1%)に上っている。 表U−9−2 委員以外の当事者の参加(複数回答) 計画策定委員会の下位部会(障害者部会等)や作業部会で幅広く障害者の参加を募った 懇談会を開催した 公聴会を開催した 広く意見募集をした ヒアリングを実施した 障害者団体の要望等を参考にした その他 とくに機会を設けなかった(設ける予定はない) 回答なし 回答者数 回答数 2 15 6 14 12 32 8 9 1 56 % 3.6% 26.8% 10.7% 25.0% 21.4% 57.1% 14.3% 16.1% 1.8% 100.0% g.計画実施やモニタリングへの当事者の参加について [表U−9―3 計画実施やモニタリングへの当事者の参加(複数回答)参照]  計画実施やモニタリングへの当事者の参加については、「各種審議会に委員として参加」が40(71.4%)、と最も多く、次いで「常に連絡調整」20(35.7%)、「団体との定期的な話し合いの場」14(25.0%)、「個人や団体にヒアリングの実施」12(21.4%)の順となっている。 表U−9−3 計画実施やモニタリングへの当事者の参加(複数回答) 各種審議会に委員として参加 団体と定期的な話し合いの場 個人や団体にヒアリングの実施 常に 連絡調整 その他 回答数計 回答数 40 14 12 20 3 56 % 71.4% 25.0% 21.4% 35.7% 5.4% 100.0% C施策の領域ごとの策定状況 1.計画に盛り込まれており、施策として実施している 2.計画に盛り込まれているが、施策としてまだ実施されていない 3.計画に盛り込まれていないが、施策として実施されている 4.計画に盛り込まれていないし、施策としても実施していない 5.計画に盛り込まれており実施されていたが、現在は施策が廃止となった a.情報とコミュニケーション [表U−10−1 障害者計画における情報とコミュニケーション施策策定状況 参照]  「日常生活支援に必要なコミュニケーション手段の援助」としては、計画に盛り込まれており、施策として実施しているとする自治体が「手話通訳者派遣事業」が45(80.3%)と最も多く、次いで「視覚障害者情報点訳等サービス事業」が、38(67.8%)となっている。一方で、「知的障害者向けの情報サービス」は、計画に盛り込まれておらず、施策としても実施していない自治体が44(78.5%)と高い数値になっており、次いで「盲ろう者通訳派遣事業」が、27(48.2%)と高い数値になっている。  また、「行政資料の情報提供の際のコミュニケーションへの配慮」については、「点訳」(41自治体、73.2%)及び「テープ」(39自治体、69.6%)による情報提供が比較的多くの自治体で実施されている他は、「拡大印刷」「盲ろう者通訳」「知的障害者向けの情報提供サービス」は、共に計画にも盛り込まれておらず、施策としても実施していない自治体の割合が非常に高くなっている。 表U−10−1 障害者計画における情報とコミュニケーション施策策定状況 1 2 3 4 5 回答なし 合 計 計画 ○ ○ × × ○ 実施 ○ 未 ○ × 廃 情報とコミュニケーション 日常生活支援に必要なコミュニケーション手段の援助  a)視覚障害者情報点訳等サービス事業 38 0 7 9 0 2 56 67.8% 0.0% 12.5% 16.1% 0.0% 3.6% 100.0%  b)手話通訳者派遣事業 45 2 6 2 0 1 56 80.3% 3.6% 10.7% 3.6% 0.0% 1.8% 100.0%  c)要約筆記者派遣事業 46 1 6 2 0 1 56 82.1% 1.8% 10.8% 3.6% 0.0% 1.8% 100.0%  d)盲ろう者通訳派遣事業 13 6 9 27 0 1 56 23.2% 10.7% 16.1% 48.2% 0.0% 1.8% 100.0%  e)知的障害者向けの情報提供サービス 3 5 3 44 0 1 56 5.4% 8.9% 5.4% 78.5% 0.0% 1.8% 100.0%  f)その他 4 0 1 2 0 49 56 7.1% 0.0% 1.8% 3.6% 0.0% 87.5% 100.0% 行政資料の情報提供の際のコミュニケーションへの配慮  a)点訳 41 0 10 4 0 1 56 73.2% 0.0% 17.9% 7.1% 0.0% 1.8% 100.0%  b)テープ 39 1 10 5 0 1 56 69.6% 1.8% 17.9% 8.9% 0.% 1.8% 100.0%  c)拡大印刷 4 2 6 43 0 1 56 7.1% 3.6% 10.7% 76.8% 0.0% 1.8% 100.0%  d)盲ろう者通訳 8 3 6 37 0 2 56 14.3% 5.4% 10.7% 66.0% 0.0% 3.6% 100.0%  e)知的障害者向けの情報提供サービス(わかりやすく解説された資料提供、やさしくかみくだく読み手の派遣等) 2 5 3 44 0 2 56 3.6% 8.9% 5.4% 78.5% 0.0% 3.6% 100.0%  f)その他 2 0 1 3 0 50 56 3.6% 0.0% 1.8% 5.4% 0.0% 89.2% 100.0% b.法外の事業に対する財政支援について [表U−15−4 障害者計画における法外の事業に対する財政支援施策策定状況 参照]  「障害者計画における法外の事業に対する財政支援施策策定状況」については、「小規模作業所への助成」が48自治体(85.7%)となっている他は、「相談事業」は20自治体(35.7%)、「自立生活プログラムなど、障害者生活支援プログラム実施団体への助成」が11自治体(19.6%)、「介助サービス派遣団体への助成」8自治体(14.3%)と低い数値に留まっている。 表U−15−4 障害者計画における法外の事業に対する財政支援施策策定状況 1 2 3 4 5 回答なし 合 計 計画 ○ ○ × × ○ 実施 ○ 未 ○ × 廃 財政支援 法外の事業に対する財政的援助  a)小規模作業所への助成 48 0 7 0 0 1 56 85.7% 0.0% 12.5% 0.0% 0.0% 1.8% 100.0%  b)相談事業への助成 20 0 11 21 0 4 56 35.7% 0.0% 19.6% 37.6% 0.0% 7.1% 100.0%  c)介助サービス派遣団体への助成 8 0 4 41 0 3 56 14.3% 0.0% 7.1% 73.2% 0.0% 5.4% 100.0%  d)自立生活プログラムなど、障害者生活支援プログラム実施団体への助成 11 1 4 37 0 3 56 19.6% 1.8% 7.1% 66.1% 0.0% 5.4% 100.0% c.就労について [表U−15−6 障害者計画における就労施策策定状況 参照]  就労に関する施策の策定状況については、項目全体を通して、「計画にも盛り込まれておらず、施策としても実施していない」とする自治体が、他の施策(領域)に比べて、多くなっている(44.6%〜87.5%)。計画にも盛り込まれており、実施もしているとされた項目は、「障害者雇用支援センターの活用」、「福祉的就労から雇用への移行を推進するために授産施設等に対する雇用関係の情報提供や支援」を行っているとした自治体が共に17自治体(30.4%)となっている。一方で、「ジョブコーチの推進」は、4自治体(計画には盛り込まれていないが実施している自治体が10自治体)に留まり、「障害者雇用の除外率制度の縮小」については、計画に盛り込まれてかつ実施しているとする自治体はなく、計画には盛り込まれていないが実施しているとした自治体がわずか1団体となっている。 表U−15−6 障害者計画における就労施策策定状況 1 2 3 4 5 回答 なし 合 計 計画○ ○ × × ○ 実施○ 未 ○ × 廃  a)障害者雇用支援センターの活用 17 0 9 25 0 5 56 30.4% 0.0% 16.1% 44.6% 0.0% 8.9% 100.0%  b)職場適応援助者(ジョブコーチ)の推進 4 3 10 35 0 4 56 7.1% 5.4% 17.9% 62.5% 0.0% 7.1% 100.0%  c)障害者雇用の除外率制度(除外職員の設定)の縮小 0 1 1 49 0 5 56 0.0% 1.8% 1.8% 87.5% 0.0% 8.9% 100.0%  d)福祉的就労から雇用への移行を推進するために、授産施設等に対する雇用関係の情報提供や支援 17 2 12.5 49.9 0 2 56 30.4% 3.6% 12.5% 49.9% 0.0% 3.6% 100.0% (圓山里子) 2.「市町村障害者計画」策定・実施状況に関するアンケート調査結果 (1) 調査の目的  都道府県・政令指定都市、市区町村の現状の「障害者計画」策定状況が、1993年に国連総会で採択された「障害者の機会均等化に関する基準規則」(以下、「基準規則」と略)、「アジア太平洋障害者の十年12課題107の目標」(以下、「アジア太平洋107の目標」と略)の「社会への参加・統合・人権」という精神からみて、中でも「参加」に焦点をあてて、現状を把握すること。  現状の障害者計画が、平等の視点(社会的障壁の除去、アクセシビリティ、バリアフリー、障害者の社会参加等)に照らし合わせてどのような実態になっているのかを明らかにすることは、障害者の権利法制定に向けた重要な礎石としての意味をもつことになると考えられる。 (2) 調査の方法 @実施期間:2001年12月〜2002年5月 A実施方法:郵送調査 B回収率 :48.0%(1,552/3,235)  ただし、「都道府県・政令指定都市障害者計画」調査(U−1参照)より、政令指定都市のデータを「市町村障害者計画」調査に移し、市区町村・政令指定都市分として集計した。  そのため、市区町村・政令指定都市分として集計した合計は、回答数:1561である。 C調査項目 a.回答自治体の概要(人口など) b.障害者計画の策定状況 c.数値目標の設定状況 d.計画策定における当事者参加の状況 e.障害者計画における各施策の状況及び実施状況  他に、市町村の条例・規則等についての欠格条項についての設問(Vを参照)。  特に、「d.計画策定における当事者参加の状況」及び「e.障害者計画における各施策の状況及び実施状況」に関しては、調査目的である「基準規則」と「アジア太平洋107の目標」の精神である「社会への参加・統合・人権」というキーワードから障害者計画の策定・実施状況を検討できるよう、設問を工夫した。  例えば、「d.計画策定における当事者参加の状況」については、計画に先だって調査を実施した場合には調査票作成前に障害者への意見聴取の機会を設けたか否か、障害者計画策定委員会への当事者委員の選定方法、委員以外の当事者の障害者計画への参加について、計画実施やモニタリングへの当事者の参加について、といった設問がある。  また、「e.障害者計画における各施策の状況及び実施状況」については、障害者計画の中心となる福祉領域のみならず、「基準規則」で提示されている領域を参考にし、策定された計画が「社会への参加・統合・人権」に寄与するものであるかどうかを把握できるように努めた。 (3) 結果の概要  調査結果については(4)で詳しく述べるが、まず、調査全体の特徴的な結果を示す。 @障害者計画策定状況  回答した1561自治体の内、障害者計画を「策定した」あるいは「策定中」と答えた自治体は、1327自治体である。(回答した市区446の内436自治体、97.8%、回答した町村1115の内891自治体、79.9%)。障害者計画を策定した・策定中の自治体の内、数値目標が盛り込まれているのは、434自治体である(市区233自治体、町村201自治体)。 <参考> 調査A.都道府県・政令指定都市向け 回収数:56  →「障害者計画に数値目標が盛り込まれている」と回答したのは49 調査B.市区町村向け 回答数:1552  →「障害者計画に数値目標が盛り込まれている」と回答したのは427 A障害者計画における施策の設定について  数値目標を設定している場合であっても、施策によって、数値目標を設定しているか否かにばらつきがみられる。例えば、在宅サービス3本柱と位置付けられている「訪問介護」「短期入所」「日帰り介護」が60%以上であるのに対し、同様に地域での生活を支える事業である「市町村障害者生活支援事業」「障害児(者)地域療育等支援事業」「精神障害者地域生活支援センター」は20%〜30%台という結果になっている。  また、障害者計画においてどのよう施策が盛り込まれているかについての設問は、従来の福祉施策のみにとらわれず、「基準規則」の考え方を意識した施策についての設問とした。その結果、例えば、「教育」や「就労」など、障害者の社会参加という点で重要な支援が、障害者計画の中では必ずしも明確に位置付けられていない実態が明らかとなった。 B障害者計画における当事者参加  本調査は、「T.活動の概要」でも述べたように、単に障害者計画の内容を調査するのみならず、「参加」についても着目した。例えば、計画策定のための基礎資料収集の手法についての設問や、計画策定にあたって何らかの調査を実施した場合は、その調査実施における当事者参加の状況を把握した。また、障害者計画の策定を審議した委員会の当事者委員がどのように選出されたのかについても調査した。  これらの結果については後述しているが、本調査で把握できた当事者参加についてだけみても、自治体による温度差が伺える結果が現れている。 C町村における障害者計画  本報告では、自治体の権限の差や、財政規模・人口規模の背景を考え、市区と町村に分けて集計している。その結果、障害者計画が策定済である自治体が、市区では92.6%であるのに対し、町村では63.3%となっており、そもそも障害者計画が策定されているか否かで差がついているのに加え、全般的に、市区に比べて町村の方が各設問の回答割合が低い結果となっている。 (4) 結果 @回答自治体の概要 a.回答のあった自治体のプロフィール(指定都市含む、以下同じ) [母数:1,561、内訳:市区446、町村1,115] [表1:人口規模別・行政区分の状況 参照] 表1 人口規模別・行政区分の状況 人口規模 市区 町村 合計 50万人以上 回答数 24 24 % 100.0 0.0 100.0 30万人以上50万人未満 回答数 35 35 % 100.0 0.0 100.0 20万人以上30万人未満 回答数 39 39 % 100.0 0.0 100.0 10万人以上20万人未満 回答数 93 93 % 100.0 0.0 100.0 5万人以上10万人未満 回答数 137 7 144 % 95.1 4.9 100.0 4万人以上5万人未満 回答数 37 21 58 % 63.8 36.2 100.0 3万人以上4万人未満 回答数 45 47 92 % 48.9 51.1 100.0 2万人以上3万人未満 回答数 25 107 132 % 18.9 81.1 100.0 1万人以上2万人未満 回答数 6 302 308 % 1.9 98.1 100.0 5千人以上1万人未満 回答数 1 349 350 % 0.3 99.7 100.0 1千人以上5千人未満 回答数 249 249 % 0.0 100.0 100.0 1千人未満 回答数 15 15 % 0.0 100.0 100.0 無回答・不明 回答数 4 18 22 % 18.2 81.8 100.0 合計 回答数 446 1,115 1,561 % 28.6 71.4 100.0 (上段が実数,下段が%) 表2 本調査 内閣府調査 1.5% 0.4% 2.2% 1.5% 2.5% 1.3% 6.0% 3.9% 9.2% 6.9% 3.7% 3.0% 5.9% 5.1% 8.5% 8.2% 19.7% 21.8% 22.4% 26.1% 16.0% 19.7% 1.0% 1.4% 1.4% − 100.0% 100.0% b.本調査の回答自治体の代表性について  本調査の回答自治体の人口規模を「内閣府調査」(2000年度末)と対比させてみると、本調査の回答自治体の方が、やや人口規模が大きい自治体が多い傾向があるものの、「内閣府調査」とほぼ同じ結果となっている[表2参照]。  したがって、本調査の回収率は約50%ということを考えると、本調査に回答したこと自体が何らかの意味を持っている(回答した自治体は回答しなかった自治体に比べて障害者計画に「熱心である」とも考えられる)可能性は否定できないが、少なくとも人口規模をみる限り、「内閣府調査」すなわち全数調査と対応しているとみてよいと思われる。 A計画の策定状況 a.人口規模別・障害者計画の策定状況について [表3:人口規模別・障害者計画の策定状況 参照] 表3 人口規模別・障害者計画の策定状況 人口規模 策定済 策定中 検討中 予定なし 回答なし 合計 50万人以上 回答数 22 1 0 1 0 24 % 91.7% 4.2% 0.0% 4.2% 0.0% 100.0% 30万人以上50万人未満 回答数 35 0 0 0 0 35 % 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 20万人以上30万人未満 回答数 38 1 0 0 0 39 % 97.4% 2.6% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 10万人以上20万人未満 回答数 93 0 0 0 0 93 % 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 5万人以上10万人未満 回答数 133 10 1 0 0 144 % 92.4% 6.9% 0.7% 0.0% 0.0% 100.0% 4万人以上5万人未満 回答数 49 9 0 0 0 58 % 84.5% 15.5% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 3万人以上4万人未満 回答数 75 7 8 2 0 92 % 81.5% 7.6% 8.7% 2.2% 0.0% 100.0% 2万人以上3万人未満 回答数 100 21 9 1 1 132 % 75.8% 15.9% 6.8% 0.8% 0.8% 100.0% 1万人以上2万人未満 回答数 199 54 43 5 7 308 % 64.6% 17.5% 14.0% 1.6% 2.3% 100.0% 5千人以上1万人未満 回答数 216 57 55 14 8 350 % 61.7% 16.3% 15.7% 4.0% 2.3% 100.0% 1千人以上5千人未満 回答数 135 43 39 27 5 249 % 54.2% 17.3% 15.7% 10.8% 2.0% 100.0% 1千人未満 回答数 5 3 2 2 3 15 % 33.3% 20.0% 13.3% 13.3% 20.0% 100.0% NA・不明 回答数 19 2 1 0 0 22 % 86.4% 9.1% 4.5% 0.0% 0.0% 100.0% 合計 回答数 1,119 208 158 52 24 1,561 % 71.7% 13.3% 10.1% 3.3% 1.5% 100.0%  ここでは、「策定済」(1,119市区町村)と「策定中」(208市区町村)を合わせて現時点で、障害者計画を「策定している」(1,327市区町村)とみなし、「検討中」(158市区町村)と「予定なし」(52市区町村)を現時点で「策定していない」(210市区町村)とする(以下同じ)。  この結果からも、人口規模が大きくなるほど障害者計画の策定率は高くなり、人口規模の小さい自治体ほど、策定率が低くなることが明らかになる。 b.行政区分別・障害者計画の策定状況について [表4:Q2行政区分別・障害者計画の策定状況 参照]  市区では、「策定している」が436市区で、「合計」(446市区)の97.8%を占めている。  町村では、「策定している」が891町村で、「合計」(1,115町村)の79.9%と市区と比べて20%低くなっている。 ◆ 以後、「計画策定」についてみていく場合には、「策定している」と回答した市区町村の1,327を母数とする。 表4:Q2行政区分別・障害者計画の策定状況 策定済 策定中 検討中 予定なし 回答なし 合計 市区 回答数 413 23 7 3 0 446 % 92.6% 5.2% 1.6% 0.7% 0.0% 100.0% 町村 回答数 706 185 151 49 24 1,115 % 63.3% 16.6% 13.5% 4.4% 2.2% 100.0% 合計 回答数 1,119 208 158 52 24 1,561 % 71.7% 13.3% 10.1% 3.3% 1.5% 100.0% 以後、計画策定に関する設問は、1,327自治体が回答 小計:1,327 小計:210 c.行政区分別・障害者計画の策定困難な要因について [表5:Q2−1行政区分別・障害者計画の策定困難な要因(複数回答)参照]  上記でみたように、市区に比べて町村の方が障害者計画を策定していないことがわかった。それでは、町村において、計画策定困難となっているのはどのような要因があるのだろうか。  回答数200町村のうち、「担当人員の不足」が87(43.5%)と最も多く、2番目に「現状の施策で対応が可能」69(34.5%)で、3番目は「専門的人材に乏しい」67(33.5%)で、2番目とほぼ同数である。その次に「財源不足」が62(31.0%)となっている。さらにみていくと、「障害者の数が少なくニーズを把握しにくい」が43(21.5%)、「広域圏域での取り組みができないため」が20(10.0%)という結果が出ている。  この点は、とくに町村の障害者計画そのものに対する問題認識と取り組みの立ちおくれとして注視しておく必要がある。また、「担当人員の不足」87(43.5%)と「専門的人材に乏しい」67(33.5%)の二つの要因が、計画の策定困難な要因として共に高い割合を示していることから浮き彫りになっているのは、計画策定に向けた人的体制づくりのおくれである。  また、「現状の施策で対応が可能」34.5%、「障害者の数が少なくニーズを把握しにくい」21.5%と「広域圏域での取り組みができないため」10.0%という結果は、「内閣府調査」(2000年度末)で、町村では「策定済」でも、数値目標「有」が「無」の半分以下になっていることと関連があると考えられ、広域での計画策定が実施段階になると「現状維持」が続いていることが明らかになっている。 表5 Q2−1行政区分別・障害者計画の策定困難な要因(複数回答) 都道府県からの明確な指針が得られない 障害者の数が少なくニーズを把握しにくい 広域圏域での取り組みができないため 現状の施策で対応が可能 担当人員の不足 専門的人材に乏しい 財源不足 その他 回答なし 回答数計 市区 回答数 0 1 1 2 5 2 3 3 0 10 % 0.0% 10.0% 10.0% 20.0% 50.0% 20.0% 30.0% 30.0% 0.0% 100.0% 町村 回答数 8 43 20 69 87 67 62 32 9 200 % 4.0% 21.5% 10.0% 34.5% 43.5% 33.5% 31.0% 16.0% 4.5% 100.0% 合計 回答数 8 44 21 71 92 69 65 35 9 210 % 3.8% 21.0% 10.0% 33.8% 43.8% 32.9% 31.0% 16.7% 4.3% 100.0% d.行政区分別・策定時の参考資料について [表6:Q3行政区分別・策定時の参考資料(複数回答)参照]  市区と町村とも「都道府県の計画」「新長期計画・障害者プラン」を計画策定時に参考にした比率が高く(市区70%台、町村50〜60%台)、それに比べて「総理府『市町村障害者計画策定指針』」と「厚生省関係障害者プランの推進方策について」が低い(市区50%台、町村30%台)ことが目を引く。  「基準規則」と「アジア太平洋107の目標」は、非常に少なく、特に「基準規則」の認知度が低いことが上げられる。 表6 Q3行政区分別・策定時の参考資料 総理府「市町村障害者計画策定指針」 厚生省関係障害者プランの推進方策について 新長期計画・障害者プラン 都道府県の計画 他の都道府県・市町村の計画 障害者の機会均等化に関する基準規則 アジア太平洋障害者の十年107の目標 WHO国際障害分類 その他 回答なし 回答数計 市区 回答数 256 243 333 344 169 14 38 16 30 20 436 % 58.7% 55.7% 76.4% 78.9% 38.8% 3.2% 8.7% 3.7% 6.9% 4.6% 100.0% 町村 回答数 327 349 455 605 309 23 42 11 38 111 891 % 36.7% 39.2% 51.1% 67.9% 34.7% 2.6% 4.7% 1.2% 4.3% 12.5% 100.0% 合計 回答数 583 592 788 949 478 37 80 27 68 131 1,327 % 43.9% 44.6% 59.4% 71.5% 36.0% 36.0% 6.0% 2.0% 5.1% 9.9% 100.0% e.行政区分別・障害者計画見直し状況について [表7:Q2−5行政区分別・障害者計画見直し状況 参照] *母数 1,327(障害者計画を「策定している」市区町村         →「策定済」(1,119市区町村)と「策定中」(208市区町村)の合計  市区では、障害者計画を「見直している」(見直し済み・見直し予定を合わせて)が50%を超えている。町村では、「見直し済み」と「見直し予定」合わせて30%未満で、市区と比べて、およそ20%の開きがある。 表7 Q2−5行政区分別・障害者計画見直し状況 見直し済み 見直し予定 検討中 予定なし 回答なし 合計 市区 回答数 35 188 115 84 14 436 % 8.0% 43.1% 26.4% 19.3% 3.2% 100.0% 町村 回答数 12 252 252 252 123 891 % 1.3% 28.3% 28.3% 28.3% 13.8% 100.0% 合計 回答数 47 440 367 336 137 1,327 % 3.5% 33.2% 27.7% 25.3% 10.3% 100.0% f.行政区分別・実施計画策定状況について [表8:Q2−6行政区分別・実施計画策定状況 参照] *母数 1,327(障害者計画を「策定している」市区町村         →「策定済」(1,119市区町村)と「策定中」(208市区町村)の合計  市区では、実施計画を「策定している」(策定済・策定中を合わせて)が30%台、町村では20%台で、市区に比べて10%低くなっている。 表8 Q2−6行政区分別・実施計画策定状況 策定済 策定中 策定していない 回答なし 合計 市区 回答数 125 14 278 19 436 % 28.7% 3.2% 63.8% 4.4% 100.0% 町村 回答数 142 53 607 89 891 % 15.9% 5.9% 68.1% 10.0% 100.0% 合計 回答数 267 67 885 108 1,327 % 20.1% 5.0% 66.7% 8.1% 100.0% g.行政区分別・障害種別施策状況について [表9参照:Q4行政区分別・障害種別施策状況]  障害者計画において、「身体障害」「知的障害」「精神障害」「難病等」それぞれの施策に含んでいるかどうかでは、「難病等」が計画に含まれている割合が際立って少なくなっている。  また、各障害種別の施策が含まれているか否かを、策定年度別にみてみると、「精神障害」の施策を含んでいる自治体が平成8年度を境に微増しており、精神保健福祉法の影響がうかがえる。 表9:Q4行政区分別・障害種別施策状況 身体障害 知的障害 精神障害 難病等 〜H7年度回答数72 回答数 72 70 63 31 % 100.0% 97.2% 87.5% 43.1% 市区 町村 46 26 46 24 44 19 24 7 46 26 100.0% 100.0% 100.0% 92.3% 95.7% 73.1% 52.2% 26.9% H8回答数130 回答数 130 126 110 64 % 100.0% 96.9% 84.6% 49.2% 市区 町村 67 63 67 59 61 49 41 23 67 63 100.0% 100.0% 100.0% 93.7% 91.0% 77.8% 61.2% 36.5% H9回答数256 回答数 254 252 238 154 % 99.2% 98.4% 93.0% 60.2% 市区 町村 113 141 113 139 104 134 79 75 113 143 100.0% 98.6% 100.0% 97.2% 92.0% 93.7% 69.9% 52.4% H10回答数242 回答数 241 236 224 142 % 99.6% 97.5% 92.6% 58.7% 市区 町村 94 147 94 142 92 132 61 81 94 148 100.0% 99.3% 100.0% 95.9% 97.9% 89.2% 64.9% 54.7% H11回答数242 回答数 211 207 198 118 % 100.0% 98.1% 93.8% 55.9% 市区 町村 50 161 50 157 50 148 33 85 50 161 100.0% 100.0% 100.0% 97.5% 100.0% 91.9% 66.0% 52.8% H12回答数173 回答数 172 171 156 80 % 99.4% 98.8% 90.2% 46.2% 市区 町村 34 138 34 137 34 122 21 59 34 139 100.0% 99.3% 100.0% 98.6% 100.0% 87.8% 61.8% 42.4% H13回答数148 回答数 143 142 139 65 % 96.6% 95.9% 93.9% 43.9% 市区 町村 20 123 20 122 19 120 12 53 20 128 100.0% 96.1% 100.0% 95.3% 95.0% 93.8% 60.0% 41.4% 回答なし回答数95 回答数 29 29 28 16 % 30.5% 30.5% 29.5% 16.8% 市区 町村 5 24 5 24 5 23 3 13 412 83 1.7% 28.9% 41.7% 28.9% 41.7% 27.7% 25.0% 15.7% 合計回答数1,327 回答数 1,252 1,233 1,156 670 % 94.3% 92.9% 87.1% 50.5% 市区 町村 429 823 429 804 409 747 272 396 436 891 98.4% 92.4% 98.4% 90.2% 93.8% 83.8% 62.4% 44.4% 表9−1 Q2−3行政区分別・計画策定年次 〜H7年度 H8 H9 H10 H11 H12 H13 回答なし 合計 市区 回答数 46 67 113 94 50 34 20 12 436 % 10.6% 15.4% 25.9% 21.6% 11.5% 7.8% 4.6% 2.8% 100.0% 町村 回答数 26 63 143 148 161 139 128 83 891 % 2.9% 7.1% 16.0% 16.6% 18.1% 15.6% 14.4% 9.3% 100.0% 合計 回答数 72 130 256 242 211 173 148 95 1,327 % 5.4% 9.8% 19.3% 18.2% 15.9% 13.0% 11.2% 7.2% 100.0% B施策別の数値目標 [表10:Q5 施策別の数値目標設定状況 参照] *母数:回答数434(市区233、町村201) a.施策別に「数値目標を設定している」場合  市区町村の中では、障害者の地域自立生活支援の前提となる「身体障害者福祉ホーム」「精神障害者福祉ホーム」「精神障害者福祉工場」「精神障害者社会適応訓練事業」「精神障害者生活訓練施設(援護寮)」「精神科デイ・ケア施設の整備」が、10%台の低い回答率になっていることが目立つ。とくに精神障害者施策に関しては、「精神障害者福祉工場」(8.8%)をはじめ軒並み低い回答数になっている。 b.行政区分別にみた場合  町村に比べて市区の方が約2倍、または2倍を少し超えている施策は、「知的障害者地域生活援助事業」「精神障害者地域生活援助事業」「身体障害者福祉ホーム」「精神障害者福祉ホーム」「知的障害者授産施設(通所)」などとなっている。 c.数値目標の設定方法について  数値目標の設定方法については、「回答なし」と答えている市区町村の比率がすべて50%以上になっており、全体的に非常に高い比率になっていることが目をひく。「回答なし」の70%台が5施策、80%台が11施策、90%台が1施策(精神障害者福祉工場)であり、「回答なし」の70%以上の施策数が16あり、23の施策数のうち74%を占めている。  調査票が答えづらい設問になっているという問題を抱えており、また、数値目標の設定の仕方自体に難しい問題を孕んでいるという限定があるにせよ、この結果をみる限りでは、国の「障害者プラン」に盛り込まれている数値目標の設定方法に対して、市区町村の関心が極めて薄いことが明らかになっているのではないだろうか。  この結果の裏返しとして、「設定方法」に回答した市区町村の比率は「知的障害者地域生活援助事業」「知的障害者授産施設(通所)」が10%台になっている以外は非常に低くなっている。一方、施策の「訪問介護(ホームヘルパー)」「短期入所(ショートステイ)」「身体障害者日帰り介護」では、「設定方法」の「従来の施策の延長線上で設定した」「実際のサービスの利用対象となる人への生活状況の実態調査に基づいて算出した」が10%を超えている。 表10 Q5 施策別の数値目標設定状況 数値目標を設定している市区町村 設 定 方 法 回答者数 市区回答数233 町村回答数201 合計回答数434 従来の施策の延長線上で設定した 一般住民も含めたサービスの利用意向調査に基づいて算出した 実際のサービスの利用対象となる人への生活状況の実態調査に基づいて算出した 住民や障害者団体からの要望に基づいて設定した その他 回答なし 知的障害者地域生活援助事業 153 81 234 46 13 58 28 23 266 434 65.7 40.3 53.9 10.6 3.0 13.4 6.5 5.3 61.3 100.0 精神障害者地域生活援助事業 100 44 144 35 9 33 17 16 324 434 42.9 21.9 33.2 8.1 2.1 7.6 3.9 3.7 74.7 100.0 身体障害者福祉ホーム 46 25 71 14 5 17 4 14 380 434 19.7 12.4 16.4 3.2 1.2 3.9 0.9 3.2 87.6 100.0 精神障害者福祉ホーム 42 20 62 14 3 19 4 12 382 434 18.0 10.0 14.3 3.2 0.7 4.4 0.9 2.8 88.0 100.0 身体障害者通所授産施設 87 56 143 29 9 39 7 17 333 434 37.3 27.9 32.9 6.7 2.1 9.0 1.6 3.9 76.7 100.0 知的障害者授産施設(通所) 130 71 201 35 12 48 21 24 293 434 55.8 35.3 46.3 8.1 2.8 11.1 4.8 5.5 67.6 100.0 精神障害者(入所・通所)授産施設 68 40 108 21 7 25 10 14 357 434 29.2 19.9 24.9 4.8 1.6 5.8 2.3 3.2 82.3 100.0 精神障害者福祉工場 24 14 38 9 2 10 4 8 401 434 10.3 7.0 8.8 2.1 0.5 2.3 0.9 1.8 92.4 100.0 小規模作業所に対する助成 77 45 122 29 6 15 19 12 353 434 33.0 22.4 28.1 6.7 1.4 3.5 4.4 2.8 81.3 100.0 障害児通園(デイサービス)事業 61 37 98 22 7 19 12 9 365 434 26.2 18.4 22.6 5.1 1.6 4.4 2.8 2.1 84.1 100.0 重症心身障害児(者)通園事業 41 31 72 17 4 13 6 11 383 434 17.6 15.4 16.6 3.9 0.9 3.0 1.4 2.5 88.2 100.0 市町村障害者生活支援事業 92 43 135 34 6 21 12 19 342 434 39.5 21.4 31.1 7.8 1.4 4.8 2.8 4.4 78.8 100.0 障害児(者)地域療育等支援事業 55 32 87 20 5 14 9 8 378 434 23.6 15.9 20.0 4.6 1.2 3.2 2.1 1.8 87.1 100.0 精神障害者地域生活支援センター 66 24 90 19 6 24 9 10 366 434 28.3 11.9 20.7 4.4 1.4 5.5 2.1 2.3 84.6 100.0 精神障害者社会適応訓練事業 35 24 59 15 3 15 4 8 388 434 15.0 11.9 13.6 3.5 0.7 3.5 0.9 2.1 89.4 100.0 精神障害者生活訓練施設(援護寮) 49 26 75 23 3 18 7 13 370 434 21.0 12.9 17.3 5.3 0.7 4.1 1.6 3.0 85.3 100.0 精神科デイ・ケア施設の整備 40 21 61 19 5 14 3 7 386 434 17.2 10.4 14.1 4.4 1.2 3.2 0.7 1.6 88.9 100.0 訪問介護(ホームヘルパー) 175 132 307 59 18 80 11 29 237 434 75.1 65.7 70.7 13.6 4.1 18.4 2.5 6.7 54.6 100.0 短期入所(ショートステイ) 176 109 285 60 15 75 15 27 242 434 75.5 54.2 65.7 13.8 3.5 17.3 3.5 6.2 55.8 100.0 身体障害者日帰り介護 168 101 269 51 19 68 12 28 256 434 72.1 50.2 62.0 11.8 4.4 15.7 2.8 6.5 59.0 100.0 在宅知的障害者日帰り介護 117 63 180 29 11 46 9 17 322 434 50.2 31.3 41.5 6.7 2.5 10.6 2.1 3.9 74.2 100.0 身体障害者療護施設 102 59 161 37 9 37 10 16 325 434 43.8 29.4 37.1 8.5 2.1 8.5 2.3 3.7 74.9 100.0 知的障害者更生施設 131 57 188 46 9 41 16 19 303 434 56.2 28.4 43.3 10.6 2.1 9.4 3.7 4.4 69.8 100.0 (上段:実数、下段:%) C当事者参加の状況 a.計画策定のための基礎資料収集の手法について [表11:Q6 計画のための基礎資料収集の手法 参照] *母数:1,327(市区町村の回答数)  ここでは市区町村合わせて計画策定のため、事前に「調査の実施」を行ったと回答した市区町村が1006(75.8%)だった。次に多かったのは「既存資料の収集」で598(45.1%)だった。 表11:Q6 計画のための基礎資料収集の手法 既存資料の収集 調査の実施 ボランティアの協力 民間団体の調査活用 合計 市区 回答数 214 359 34 15 436 % 49.1% 82.3% 7.8% 3.4% 100.0% 町村 回答数 384 647 42 22 891 % 43.1% 72.6% 4.7% 2.5% 100.0% 合計 回答数 598 1,006 76 37 1,327 % 45.1% 75.8% 5.7% 2.8% 100.0% b.実施した調査の内容について [表11−1:Q6−1実施した調査の内容 参照] *母数:1,006([表1:Q6]で調査を行ったと回答した市区町村、以下同じ)  事前調査を行ったとした自治体を対象に、実施した調査の内容を聞いたところ「利用対象者の生活実態調査」が、市区町村それぞれ70%台になっているが、公共交通やまちづくりなどにかかわる障害者の利用に配慮した「生活環境整備状況実態調査」を実施したのは、市区と町村で10%台という対照的な結果が出ている。 表11−1:Q6−1実施した調査の内容 一般住民も含めたサービスの利用意向調査 利用対象者の 生活実態調査 生活環境整備状況実態調査 その他 合計 市区 回答数 110 285 45 16 359 % 30.6% 79.4% 12.5% 4.5% 100.0% 町村 回答数 182 471 87 40 647 % 28.1% 72.8% 13.4% 6.2% 100.0% 合計 回答数 292 756 132 56 1,006 % 29.0% 75.1% 13.1% 5.6% 100.0% *Q6で調査を行ったと回答した1,006自治体への設問 c.調査票作成前の障害者への意見聴取の機会について [表11−2:Q6−3 調査票作成前の障害者への意見聴取の機会 参照] *母数:1,006  調査票作成前に当事者である団体等から意見を聞くことは、計画策定過程と実施状況において障害当事者の「参加・参画」の度合いを計る上で、とても重要なポイントになる。  「利用対象者の生活実態調査」等を実施する上で、調査票作成前に障害者の意見を聞く機会を「設けた」市区町村は53.3%で、「設けなかった」(43.1%)と比べて10%の差にとどまり、拮抗している状況にある。とくに町村(回答数647)では、「設けた」(45.7%)よりも「設けなかった」(49.9%)の方が、わずかではあれ上回っている。この結果は、「調査票」そのものの内容が、障害当事者の特性やニーズを反映しているのか、という疑問につながるものだ。 表11−2:Q6−3 調査票作成前の障害者への意見聴取の機会 設けた 設けなかった 回答なし 合計 市区 回答数 240 111 8 359 % 66.9% 30.9% 2.2% 100.0% 町村 回答数 296 323 28 647 % 45.7% 49.9% 4.3% 100.0% 合計 回答数 536 434 36 1,006 % 53.3% 43.1% 3.6% 100.0% *Q6で調査を行ったと回答した1,006自治体への設問 d.当事者委員の選出方法について [表12:Q7−1・2 当事者委員の内訳と選出方法 参照] *母数:436(市区)、891(町村)  障害者計画の策定を審議した委員会の当事者委員の選出方法をみると、市区では「当事者団体」「家族会」とも「団体からの推薦」と「代表者(慣例)」がほぼ同じ比率だが、町村では「代表者(慣例)」の方が、「団体からの推薦」よりも4倍高くなっている。「団体からの推薦」の方が「代表者(慣例)」よりも当事者団体としての意思決定が反映されやすいことから、この点は見直される必要があるといえる。  一方、「公募」は、市区町村とも「当事者団体」「家族会」「支援者団体」それぞれ0.2〜0.3%と極めて少ないことが上げられる。 表12:Q7−1・2 当事者委員の内訳と選出方法 市  区 有 無 団体からの推薦 代表者(慣例) 公募 その他 回答なし 合計 当事者団体 回答数 361 75 167 174 1 11 83 436 % 82.8% 17.2% 38.3% 39.9% 0.2% 2.5% 19.0% 100.0% 家族会 回答数 291 145 137 124 1 12 162 436 % 66.7% 33.3% 31.4% 28.4% 0.2% 2.8% 37.2% 100.0% 支援者団体 回答数 182 254 74 85 1 17 259 436 % 41.7% 58.3% 17.0% 19.5% 0.2% 3.9% 59.4% 100.0% その他 回答数 159 277 41 53 10 42 290 436 % 36.5% 63.5% 9.4% 12.2% 2.3% 9.6% 66.5% 100.0% 町村 有 無 団体からの推薦 代表者(慣例) 公募 その他 回答なし 合計 当事者団体 回答数 633 258 108 504 2 30 247 891 % 71.0% 29.0% 12.1% 56.6% 0.2% 3.4% 27.7% 100.0% 家族会 回答数 466 425 84 338 3 22 444 891 % 52.3% 47.7% 9.4% 37.9% 0.3% 2.5% 49.8% 100.0% 支援者団体 回答数 260 631 44 175 2 29 641 891 % 29.2% 70.8% 4.9% 19.6% 0.2% 3.3% 71.9% 100.0% その他 回答数 244 647 21 120 5 87 658 891 % 27.4% 72.6% 2.4% 13.5% 0.6% 9.8% 73.8% 100.0% e.当事者委員の障害種別について [表13−1:Q7当事者委員の障害種別(委員に以下の障害の人が含まれている自治体数)] *母数:1,327(市区436、町村891)  障害者計画の策定を審議した委員会の当事者委員の障害種別をみていくと、市区町村合わせて、群を抜いて多いのが「肢体不自由」(60%台)、以下は多い順に「視覚障害」(18%台)、「聴覚・平衡機能障害」(15%台)、「内部障害」(14%台)、「知的障害」(14%台)、「精神障害」(9%台)になっている。この中で「知的障害」「精神障害」が4〜5番目になっているが、現状では家族が委員になっている場合が多いとも考えられる。 表13−1:Q7当事者委員の障害種別 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 音声・言語・そしゃく・機能障害 肢体不自由 内部障害 盲ろう障害 知的障害 精神障害 不明 その他障害 回答数計 市区 回答数 151 133 15 323 60 8 91 66 8 27 436 % 34.6% 30.5% 3.4% 74.1% 13.8% 1.8% 20.9% 15.1% 1.8% 6.2% 100.0% 町村 回答数 92 69 11 508 133 6 98 54 12 15 891 % 10.3% 7.7% 1.2% 57.0% 14.9% 0.7% 11.0% 6.1% 1.3% 1.7% 100.0% 合計 回答数 243 202 26 831 193 14 189 120 20 42 1,327 % 18.3% 15.2% 2.0% 62.6% 14.5% 1.1% 14.2% 9.0% 1.5% 3.2% 100.0%  f.当事者委員以外の当事者の参加について [表13−2:Q8委員以外の当事者の参加(複数回答)参照] *母数:1,327(市区436、町村891)  障害者計画の策定を審議した当事者委員以外の当事者の参加についてみると、「意見の募集」では、市区の60%台に比べ町村になると6%台と著しく低くなっているのが目立つ。  また、「団体の要望等を参考」では、市区が54.4%、町村でも31.5%になっている一方で、「作業部会等に障害者が参加」になると、市区は8.0%、町村は5.2%ときわめて低くなっていることが上げられる。 表13−2:Q8委員以外の当事者の参加(複数回答) 作業部会等に障害者が参加 懇談会の開催 公聴会の開催 意見の 募集 ヒアリングの実施 団体の要望等を参考 その他 とくに なし 回答なし 回答数計 市区 回答数 35 76 13 290 13 237 39 56 16 436 % 8.0% 17.4% 3.0% 66.5% 3.0% 54.4% 8.9% 12.8% 3.7% 100.0% 町村 回答数 46 138 12 58 135 281 59 290 109 891 % 5.2% 15.5% 1.3% 6.5% 15.2% 31.5% 6.6% 32.5% 12.2% 100.0% 合計 回答数 81 214 25 348 148 518 98 346 125 1,327 % 6.1% 16.1% 1.9% 26.2% 11.2% 39.0% 7.4% 26.1% 9.4% 100.0% g.計画実施やモニタリングへの当事者の参加について [13−3:表Q9計画実施やモニタリングへの当事者の参加(複数回答)参照] *母数:1,327(市区436、町村891)  計画の策定と実施状況に対するモニタリングに当事者が参加するということは、参加度を計る上で重要な意味をもつ。市区では、「各種審議会に委員として参加」「団体と定期的な話し合いの場」 「個人や団体にヒアリングの実施」において30%台を占めているが、町村では「各種審議会に委員として参加」「団体と定期的な話し合いの場」が10%台に落ち込んでいることが目立つ。 表13−3:表Q9計画実施やモニタリングへの当事者の参加(複数回答) 各種審議会に委員として参加 団体と定期的な話し合いの場 個人や団体にヒアリングの実施 常に連絡調整 その他 回答なし 回答数計 市区 回答数 164 134 151 99 36 36 436 % 37.6% 30.7% 34.6% 22.7% 8.3% 8.3% 100.0% 町村 回答数 165 130 246 202 89 173 891 % 18.5% 14.6% 27.6% 22.7% 10.0% 19.4% 100.0% 合計 回答数 329 264 397 301 125 209 1,327 % 24.8% 19.9% 29.9% 22.7% 9.4% 15.7% 100.0% h.地方障害者施策推進協議会の設置状況と当事者委員の障害種別について [表14:Q10地方障害者施策推進協議会の設置状況 参照]  また、計画の策定と実施状況についての恒常的なモニタリングの仕組みとして重要な役割を担う地方障害者施策推進協議会の設置は、市区で25.4%(「条例により設置」8%、「条例はないが設置」17.4%)、町村で7.4%(「条例により設置」1.3%、「条例はないが設置」6.1%)というわずかな数値に留まり、「設置していない」という市区が66.5%、町村で78.6%という高い数値になっている。 表14:Q10地方障害者施策推進協議会の設置状況 条例により設置 条例はないが設置 設置を準備 設置していない 回答 なし 政令指定都市 合計 市区 回答数 35 76 13 290 13 9 436 % 8.0% 17.4% 3.0% 66.5% 3.0% 2.1% 100.0% 町村 回答数 12 54 13 700 112 0 891 % 1.3% 6.1% 1.5% 78.6% 12.6% 0.0% 100.0% 合計 回答数 47 130 26 990 125 9 1,327 % 3.5% 9.8% 2.0% 74.6% 9.4% 0.7% 100.0%  それとともに、前記eの障害者計画の策定を審議した委員会の当事者委員の障害種別と比べて、地方障害者施策推進協議会の当事者委員の障害種別は、市区で「肢体不自由」、「聴覚・平衡機能障害」、「視覚障害」が10%台になっているのみで、それ以外は1桁台に留まっているという低い状況にある。町村では、「肢体不自由」の当事者委員が10%台である以外は1桁台に留まっている。 [表14−1:Q10 地方障害者施策推進協議会:当事者委員の障害種別(委員に以下の障害の人が含まれている自治体数)参照] 表14−1:Q10 地方障害者施策推進協議会:当事者委員の障害種別 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 音声・言語・そしゃく・機能障害 肢体 不自由 内部障害 盲ろう 障害 知的障害 精神障害 不明 その他 障害 回答数計 市区 回答数 62 59 5 113 27 4 33 23 1 10 436 % 14.2% 13.5% 1.1% 25.9% 6.2% 0.9% 7.6% 5.3% 0.2% 2.3% 100.0% 町村 回答数 19 14 4 106 31 1 24 9 2 1 891 % 2.1% 1.6% 0.4% 11.9% 3.5% 0.1% 2.7% 1.0% 0.2% 0.1% 100.0% 合計 回答数 81 73 9 219 58 5 57 32 3 11 1,327 % 6.1% 5.5% 0.7% 16.5% 4.4% 0.4% 4.3% 2.4% 0.2% 0.8% 100.0% D施策の領域ごとの策定状況 [表15−1〜6:障害者計画における領域ごとの施策の策定状況について 参照] 1.計画に盛り込まれており、施策として実施している 2.計画に盛り込まれているが、施策としてまだ実施されていない 3.計画に盛り込まれていないが、施策として実施されている 4.計画に盛り込まれていないし、施策としても実施していない 5.計画に盛り込まれており実施されていたが、現在は施策が廃止となった a.生活支援について  「市町村障害者生活支援事業」「障害児(者)地域療育等支援事業」「訪問介護(ホームヘルプサービス)事業(多様な供給主体による実施)」は、「1.計画に盛り込まれており、施策として実施している」市区町村が25%〜38%になっているが、「精神障害者地域生活支援センター」は9.3%と対照的な落ち込みとなっている。その関係で、「精神障害者地域生活支援センター」は、「4.計画に盛り込まれていないし、施策としても実施していない」市区町村が49.4%と最も多くなっている。 表15−1 障害者計画における生活支援施策の策定状況 計画にもあり、実施もしている 市区N=436 町村N=891 1 2 3 4 5 計画 ○ ○ × × ○ 回答なし 合 計 実施 ○ 未 ○ × 廃 生活支援 生活支援事業  a)市町村障害者生活支援事業 184 330 514 214 99 319 1 180 1,327 42.2% 37.0% 38.7% 16.1% 7.5% 24.0% 0.1% 13.6% 100.0%  b)障害児(者)地域療育等支援事業 145 191 336 179 142 442 1 227 1,327 33.3% 21.4% 25.3% 13.5% 10.7% 33.3% 0.1% 17.1% 100.0%  c)精神障害者地域生活支援センター 71 53 124 231 78 656 3 235 1,327 16.3% 5.9% 9.3% 17.4% 5.9% 49.4% 0.2% 17.7% 100.0% 訪問介護(ホームヘルプサービス)事業(多様な供給主体による実施) 172 333 505 110 201 335 0 176 1,327 39.4% 37.4% 38.1% 8.3% 15.1% 25.2% 0.0% 13.3% 100.0% b.情報とコミュニケーション  日常生活支援に必要なコミュニケーション手段の援助として、「視覚障害者情報点訳等サービス事業」は、「1.計画に盛り込まれており、施策として実施している」市区が44%だが、町村はその7分の1(7%台)に留まっている。  「1.計画に盛り込まれており、施策として実施している」市区町村の特徴的な結果をみていくと、「手話通訳者派遣事業」は、市区では63%台、町村では11%台、「要約筆記者派遣事業」は市区で25%だが、町村は5%台となっている。  行政資料の情報提供に際するコミュニケーションの配慮として、「点訳」は市区で47%台だが、町村は5%台、「テープ」は市区で62%台、町村は11%台、「拡大印刷」は市区で6%台、町村は1%台、「盲ろう者通訳」は市区で10%台、町村は2%台になっており、計画にもあり、実施している市区町村の数が多くない上に、市区と町村では落差がはっきり出ている。  また、「盲ろう者通訳派遣事業」「知的障害者向けの情報提供サービス」「拡大印刷」「盲ろう者通訳」「知的障害者向けの情報提供サービス」では、「4.計画に盛り込まれていないし、施策としても実施していない」市区町村が68%〜70%台に達しており、とくに知的障害者への情報・コミュニケーション支援については極端に少なく、今後の支援費制度への移行に伴い差し迫った課題になっている。c.住宅について  「障害者向け公営住宅の供給」では、「1.計画に盛り込まれており、施策として実施している」市区が51%台だが、町村は12%台に留まっている。また、「障害者向け公営住宅の供給」と、民間住宅のリフォーム促進としての「増改築相談員制度などを活用した住宅リフォームに関する相談体制の整備」「住宅改修制度に対する自治体独自の施策」については、「4.計画に盛り込まれていないし、施策としても実施していない」市区町村が35%〜49%を占めており、大きく施策が立ちおくれている。 表15−2 障害者計画における情報とコミュニケーション施策の策定状況 計画にもあり、実施もしている 市区N=436 町村N=891 1 2 3 4 5 計画 ○ ○ × × ○ 回答なし 合 計 実施 ○ 未 ○ × 廃 情報とコミュニケーション 日常生活支援に必要なコミュニケーション手段の援助  a)視覚障害者情報点訳等サービス事業 192 61 253 201 68 643 0 162 1,327 44.0% 6.8% 19.1% 15.1% 5.1% 48.5% 0.0% 12.2% 100.0%  b)手話通訳者派遣事業 278 102 380 245 95 433 0 174 1,327 63.8% 11.4% 28.6% 18.5% 7.2% 32.6% 0.0% 13.1% 100.0%  c)要約筆記者派遣事業 107 42 149 240 65 693 0 180 1,327 24.5% 4.7% 11.2% 18.1% 4.9% 52.2% 0.0% 13.6% 100.0%  d)盲ろう者通訳派遣事業 38 16 54 131 34 919 0 189 1,327 8.7% 1.8% 4.1% 9.9% 2.6% 69.3% 0.0% 14.2% 100.0%  e)知的障害者向けの情報提供サービス 11 15 26 174 15 924 0 188 1,327 2.5% 1.7% 2.0% 13.1% 1.1% 69.6% 0.0% 14.2% 100.0%  f)その他 16 16 32 36 2 218 0 1,039 1,327 3.7% 1.8% 2.4% 2.7% 0.2% 16.4% 0.0% 78.3% 100.0% 行政資料の情報提供に際するコミュニケーションの配慮  a)点訳 206 41 247 196 86 624 0 174 1,327 47.2% 4.6% 18.6% 14.8% 6.5% 47.0% 0.0% 13.1% 100.0%  b)テープ 269 102 371 127 158 493 0 178 1,327 61.7% 11.4% 28.0% 9.6% 11.9% 37.2% 0.0% 13.4% 100.0%  c)拡大印刷 25 9 34 129 36 935 0 193 1,327 5.7% 1.0% 2.6% 9.7% 2.7% 70.5% 0.0% 14.5% 100.0%  d)盲ろう者通訳 43 17 60 137 29 905 0 196 1,327 9.9% 1.9% 4.5% 10.3% 2.2% 68.2% 0.0% 14.8% 100.0%  e)知的障害者向けの情報提供サービス (わかりやすく解説された資料提供、やさしくかみくだく読み手の派遣等) 9 11 20 145 16 951 0 195 1,327 2.1% 1.2% 1.5% 10.9% 1.2% 71.7% 0.0% 14.7% 100.0%  f)その他 9 15 24 28 2 223 0 1,050 1,327 2.1% 1.7% 1.8% 2.1% 0.2% 16.8% 0.0% 79.1% 100.0% d.法外の事業に対する財政支援について  「小規模作業所への助成」は、「1.計画に盛り込まれており、施策として実施している」市区は、67%台を占めているが、町村は33%台にとどまっている。  また「相談事業への助成」「介助サービス派遣団体への助成」「自立生活プログラムなど、障害者生活支援プログラム実施団体への助成」は、「4.計画に盛り込まれていないし、施策としても実施していない」市区町村が52%台〜70%台を占めており、介助保障を中心とする自立生活につながる法外事業の財政支援に対して消極的になっていることがはっきりうかがえる。 表15−3 障害者計画における住宅施策の策定状況 計画にもあり、実施もしている 市区N=436 町村N=891 1 2 3 4 5 計画 ○ ○ × × ○ 回答なし 合 計 実施 ○ 未 ○ × 廃 住  宅 障害者向け公営住宅の供給  a)市町村障害者生活支援事業 224 109 333 305 59 470 0 160 1,327 51.4% 12.2% 25.1% 23.0% 4.4% 35.4% 0.0% 12.1% 100.0%  民間住宅のリフォーム促進  b)増改築相談員制度などを活用した住宅リフォームに関する相談体制の整備 119 99 218 180 76 658 4 191 1,327 27.3% 11.1% 16.4% 13.6% 5.7% 49.6% 0.3% 14.4% 100.0%  c)住宅改修制度に対する自治体独自の施策 193 215 408 111 90 516 6 196 1,327 44.3% 24.1% 30.7% 8.4% 6.8% 38.9% 0.5% 14.8% 100.0%  d)訪問介護(ホームヘルプサービス)事業(多様な供給主体による実施) 172 333 505 110 201 335 0 176 1,327 39.4% 37.4% 38.1% 8.3% 15.1% 25.2% 0.0% 13.3% 100.0% e.教育について  教育ニーズの支援で浮き彫りになっているのは、「4.計画に盛り込まれていないし、施策としても実施していない」市区町村が特に多いという実態だ。「教育の場における介助者の派遣」「障害をもった児童が使いやすい教材が準備されている」「手話通訳などのコミュニケーション手段が保障されている」「補助教員の加配チーム・ティーチング制の採用」「手話や点字、必要なリハビリテーション等の障害児特有の教育機会の保障」の施策は、計画にもなく実施もしていない市区町村が50%〜68%になっている。また、公立小中学校の設備の問題として、「エレベーター」と「点字ブロック」は、計画にもなく実施もしていない市区町村が50%台になっている。  この結果からも、教育ニーズの支援に関する施策の実施、及び、設備の立ち後れが、障害児が普通学校に就学することを困難にする要因になっていることが明らかになった。 表15−5 障害者計画における教育施策策定状況 計画にもあり、実施もしている 市区N=436 町村N=891 1 2 3 4 5 計画 ○ ○ × × ○ 回答なし 合 計 実施 ○ 未 ○ × 廃 教  育 教育ニーズの支援  a)教育の場における介助者の派遣 63 43 106 101 114 801 0 205 1,327 14.4% 4.8% 8.0% 7.6% 8.6% 60.4% 0.0% 15.4% 100.0%  b)障害をもった児童が使いやすい教材が準備されている 72 67 139 107 200 659 1 221 1,327 16.5% 7.5% 10.5% 8.1% 15.1% 49.7% 0.1% 16.7% 100.0%  c)手話通訳などのコミュニケーション手段が保障されている 28 18 46 115 43 896 0 227 1,327 6.4% 2.0% 3.5% 8.7% 3.2% 67.5% 0.0% 17.1% 100.0%  d)補助教員の加配 38 66 104 92 155 749 1 226 1,327 8.7% 7.4% 7.8% 6.9% 11.7% 56.4% 0.1% 17.0% 100.0%  e)チーム・ティーチング制の採用 24 34 58 69 101 861 1 237 1,327 5.5% 3.8% 4.4% 5.2% 7.6% 64.9% 0.1% 17.9% 100.0%  f)手話や点字、必要なリハビリテーション等の障害児特有の教育機会の保障 43 30 73 118 66 833 0 237 1,327 9.9% 3.4% 5.5% 8.9% 5.0% 62.8% 0.0% 17.9% 100.0%  g)その他 12 20 32 22 9 208 0 1,056 1,327 2.8% 2.2% 2.4% 1.7% 0.7% 15.7% 0.0% 79.6% 100.0% 公立小中学校の設備  a)エレベーター 65 29 94 202 91 714 2 224 1,327 14.9% 3.3% 7.1% 15.2% 6.9% 53.8% 0.2% 16.9% 100.0%  b)障害をもつ人が利用可能なトイレ 135 102 237 192 225 440 1 232 1,327 31.0% 11.4% 17.9% 14.5% 17.0% 33.2% 0.1% 17.5% 100.0%  c)点字ブロック 52 28 80 200 77 725 1 244 1,327 11.9% 3.1% 6.0% 15.1% 5.8% 54.6% 0.1% 18.4% 100.0%  d)スロープ 126 103 229 195 216 448 2 237 1,327 28.9% 11.6% 17.3% 14.7% 16.3% 33.8% 0.2% 17.9% 100.0% f.就労について  就労支援では、「4.計画に盛り込まれていないし、施策としても実施していない」市区町村が、「障害者雇用支援センターの活用」(51%)、「職場適応援助者(ジョブコーチ)の推進」(70%)、「障害者雇用の除外率制度(除外職員の設定)の縮小」(75%)、「福祉的就労から雇用への移行を推進するための、授産施設等に対する雇用関係の情報提供や支援」(43%)となっている。  「福祉的就労から雇用への移行を推進するための、授産施設等に対する雇用関係の情報提供や支援」などの一般就労に必要な施策に対する立ちおくれが際立っている。さらに一般就労に向かうための新しい施策(「障害者雇用支援センターの活用」「職場適応援助者(ジョブコーチ)の推進」など)への取り組みが現時点では、始まったばかりか、または白紙に近い状態にあるといえるようだ。 表15−6 障害者計画における就労施策の策定状況 市区N=436 町村N=891 1 2 3 4 5 計画 ○ ○ × × ○ 回答なし 合計 実施 ○ 未 ○ × 廃 就労 就労支援  a)障害者雇用支援センターの活用 110 76 186 210 62 672 0 197 1,327 25.2% 8.5% 14.0% 15.8% 4.7% 50.6% 0.0% 14.8% 100.0%  b)職場適応援助者(ジョブコーチ)の推進 30 10 40 123 31 934 0 199 1,327 6.9% 1.1% 3.0% 9.3% 2.3% 70.4% 0.0% 15.0% 100.0%  c)障害者雇用の除外率制度(除外職員の設定)の縮小 11 20 31 78 18 988 0 212 1,327 2.5% 2.2% 2.3% 5.9% 1.4% 74.5% 0.0% 16.0% 100.0%  d)福祉的就労から雇用への移行を推進するための、授産施設等に対する雇用関係の情報提供や支援 133 141 274 231 59 568 0 195 1,327 30.5% 15.8% 20.6% 17.4% 4.4% 42.8% 0.0% 14.7% 100.0% (圓山里子) 3.「障害者計画に対する当事者団体の評価についてのアンケート調査」結果 (1) 調査の目的 @全国各自治体の障害者計画策定に関する障害者当事者団体の認識の状況を把握する。 A障害者計画策定・実施における、障害者当事者団体の参加の状況を把握する。 (2) 調査対象  都道府県・市区町村レベルで活動する障害者当事者団体(家族の団体も含む)。 (3) 調査実施の方法、回収率 @各都道府県の障害者社会参加推進センターに、地域で活動する障害者団体について情報提供を依頼し、対象団体を把握した。また、「アジア・太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムに参加している全国団体に、都道府県・市区町村の関係団体に関する情報提供を依頼した。 A把握した1949団体に調査票を郵送し、日常的に活動している自治体を1カ所特定して回答を依頼した。 B回答のあった団体は959で、回収率は49.2%であった。  なお、今回の調査については、JD(日本障害者協議会)やDPI日本会議のネットワーク等を通じて、都道府県や国の広域レベルで活動している団体にも協力を呼びかけた。広域レベルの団体の場合には、計画策定の際の調査実施状況等、回答を「非該当」として取り扱ったほうがよい設問も一部存在する。しかし、回答方法についての説明が不十分であったためか、個々の回答において「評価対象自治体」が統一されておらず、設問によって所在地の市区町村について回答したり、活動対象となっている広域自治体で回答したりしている例があるなど、評価対象自治体の記入欄に記入された内容にもとづいて区別をしていくことが困難であった。そのため、広域レベルの団体と市区町村レベルの団体とを分けずに、各団体の回答結果を一括して集計することとした。 (4) 調査実施時期  2002年5月〜6月 (5) 調査結果 @回答した団体の属性 a.会員数100名以下の団体が48.4%を占めている。 表1 団体の会員数 100名以下 101〜500名 501〜1000名 1001〜5000名 5001名以上 回答なし 合 計 465 271 59 47 9 108 959 48.4 28.3 6.2 4.9 0.9 11.3 100.0 (上段は実数、下段は%、以下同じ) b.身体障害者本人が参加する団体が60.8%と最も多い。また、回答した団体の64.0%では、異なる立場、異なる障害種別の人が一緒に参加して活動している(表2−2)。 表2−1 団体の構成メンバー(複数回答) 身体障害者本人 身体障害者家族 知的障害者本人 知的障害者家族 精神障害者本人 精神障害者家族 専門職 その他 回答なし 回答者数 583 207 277 198 261 133 284 203 34 959 60.8 21.6 28.9 20.6 27.2 13.9 29.6 21.2 3.5 100.0 表2−2 団体の構成メンバーの属性数(団体ごとの、表2−1の回答数) 1つだけ 2つ 3つ 4つ以上 回答なし 合 計 311 325 128 161 34 959 32.4 34.0 13.3 16.8 3.5 100.0 614  64.0% A地元自治体の障害者計画についての認識と参加の状況 a.計画が策定されていると認識している団体が80.1%であるが、「わからない、知らない」と回答した団体も10.4%ある。   なお、自治体調査では、市区町村の85.0%が計画を策定していると回答している。 表3 計画策定状況についての認識 策定されている 策定されていない わからない、知らない 回答なし 合 計 768 71 100 20 959 80.1 7.4 10.4 2.1 100.0 →*以下、768団体の回答 b.計画策定時の調査について、「生活状況の実態調査が実施された」と認識している団体が41.8%、「生活環境整備状況の実態調査」が30.6%、「サービスの利用意向調査」が22.1%で、何らかの調査が実施されたと認識している団体は69.4%となっている。一方、「いずれについても実施されなかった」も12.8%であり、また、「わからない」が12.9%あることも注意しておく必要がある。  なお、本設問については、自治体調査と同じ選択肢で質問しており、自治体調査では、「生活状況の実態調査を実施」と回答した自治体が70%を超えている。 表4 調査実施についての認識(複数回答) 一般住民も含めたサービスの利用意向調査が実施された 実際のサービス利用対象となる人への生活状況の実態調査が実施された 障害者の利用に配慮した生活環境整備状況(公共交通など)の実態調査が実施された その他 いずれについても実施されなかった わからない 回答なし 回答者数 170 321 235 81 98 99 38 768 22.1 41.8 30.6 10.5 12.8 12.9 4.9 100.0 533 69.4% c.計画策定時のヒアリングや懇談会について、「実施された」と認識しているのは66.7%で、そのうち、ヒアリングや懇談会に出席したと回答したのは85.9%となっている。 表5 計画策定時の、障害者団体に対するヒアリングや懇談会についての認識 実施された 実施されなかった わからない 回答なし 合 計 512 161 87 8 768 66.7 21.0 11.3 1.0 100.0 表6 ヒアリングや懇談会への出席 出席した 出席しなかった 回答なし 合 計 合 計 440 63 9 512 768 85.9 12.3 1.8 100.0 100.0 d.計画策定委員会に本人または家族が委員として参加したと回答したのは65.2%で、参加した委員の立場は、本人が46.9%、家族が38.7%となっている。また障害種別では、肢体不自由が44.9%、知的障害が32.9%、精神障害が29.9%となっている。 表7 計画策定委員会への参加状況 参加した 参加しなかった わからない 回答なし 合 計 501 156 89 22 768 65.2 20.3 11.6 2.9 100.0 表8 委員として参加した人の属性(立場) 本人 家族 本人と家族両方 回答なし 合 計 235 194 58 14 501 46.9 38.7 11.6 2.8 100.0 表9 委員として参加した人の属性(障害種別)(複数回答) 肢体不自由 聴覚障害 視覚障害 内部障害 知的障害 精神障害 その他 回答なし 回答者数 225 83 115 67 165 150 35 11 44.9 16.6 23.0 13.4 32.9 29.9 7.0 2.2 e.計画策定に対しては、「要望書の提出や行政交渉」(52.3%)、「学習活動を行った」(31.9%)など、何らかの活動を行った団体が76.0%で、そのうち「他団体と連携・協力しながらすすめた」のは50.2%となっている。  また、「働きかけを何も行わなかった」と回答した団体も16.5%ある。 表10 障害者計画への団体からの働きかけの状況(複数回答) 学習活動を行った 委員会の傍聴を行った 要望書の提出や行政交渉を行った その他 何も行わなかった わからない 回答なし 回答者数 245 87 402 90 127 40 17 768 31.9 11.3 52.3 11.7 16.5 5.2 2.2 100.0 表11 何らかの活動を行ったと回答した団体の、他障害関係団体等との連携・協力の状況 他団体と連携・協力しながらすすめた 特に連携・協力はしなかった 特に連携・協力はしなかったが、資料送付等の情報提供は行った その他 回答 なし 合 計 293 172 79 20 20 584 50.2 29.5 13.5 3.4 3.4 100.0 f.計画に対し「十分に意見が反映された」「一部反映された」と回答した団体はあわせて61.8%で、「あまり反映されなかった」「まったく反映されなかった」はあわせて20.5%となっている。 表12 計画に対する評価(意見反映についての認識) 十分に反映された 一部反映された あまり反映されなかった まったく反映されなかった どちらともいえない わからない 回答なし 合 計 92 383 111 47 54 61 20 768 12.0 49.9 14.5 6.1 7.0 7.9 2.6 100.0 475 61.8% 158 20.5% g.計画に関する自治体からの情報提供について、「説明会の席上、ろう者への通訳が用意されていた」(22.1%)、「わかりやすく解説された資料提供や、やさしくかみくだく読み手の派遣」(14.5%)など、何らかの配慮がなされていた団体が50.1%となっている。  一方、「何の配慮もなかった」と回答した団体も33.3%ある。 表13 計画に関する自治体からの情報提供における、コミュニケーション配慮の有無(複数回答) ITなどで、誰もが情報入手できるようになっていた 点訳された資料があった 音声による説明のテープが用意されていた 拡大印刷された資料が用意されていた 説明会の席上、ろう者への通訳が用意されていた わかりやすく解説された資料提供や、やさしくかみくだく読み手の派遣など 何の配慮もなかった 回答なし 回答者数 91 99 50 83 170 111 256 127 768 11.8 12.9 6.5 10.8 22.1 14.5 33.3 16.5 100.0 385 50.1% h.自治体と障害をもつ本人または家族との間での情報交換や協議の場について、「必要に応じたヒアリング」や「定期的な話し合い」「審議会への参加」など何らかの形で設定されていると回答した団体は70.0%となっている。また、「設定されていない」と回答した団体も15.6%ある。 表14 自治体との、情報交換や協議の場の状況(複数回答) 各種審議会へ障害をもつ本人または家族が委員として参加している 障害者団体等との定期的な話し合いの場がある 必要に応じて、障害者をもつ本人または家族の個人や団体に対してヒアリングが行われている 障害者団体等が実際に施策に関わっているので、常に連絡調整が行われている その他 情報交換や協議の場は設定されていない わからない 回答なし 回答者数 313 325 326 218 70 150 71 66 959 32.6 33.9 34.0 22.7 7.3 15.6 7.4 6.9 100.0 672 70.0% i.障害者施策をすすめる協議会または検討会が「設置されている」と回答した団体が50.5%、「設置されていない」が23.6%で、「わからない」と回答した団体も21.2%ある。  また、協議会または検討会に本人または家族が委員として参加していると回答した団体は80.9%となっている。参加した委員の立場は、本人が47.2%、家族が37.2%で、障害種別では、肢体不自由が44.9%、精神障害が31.8%、知的障害が29.5%となっている。  なお、計画策定委員会では、本人が46.9%、家族が38.7%で、障害種別では肢体不自由が41.0%、知的障害が32.9%、精神障害が29.9%で、傾向はほぼ一致している。 表15 障害者施策をすすめる協議会または検討会の設置状況 設置されている 設置されていない わからない 回答なし 合 計 485 226 203 45 959 50.5 23.6 21.2 4.7 100.0 表16 協議会または検討会への参加状況 参加している 参加していない わからない 回答なし 合 計 393 73 10 9 485 80.9 15.1 2.1 1.9 100.0 表17 委員の属性(立場) 本人 家族 本人と家族両方 回答なし 合 計 186 146 47 14 393 47.2 37.2 12.0 3.6 100.0 表18 委員の属性(障害種別)(複数回答) 肢体不自由 聴覚障害 視覚障害 内部障害 知的障害 精神障害 その他 回答なし 回答者数 161 67 89 59 116 125 26 10 393 41.0 17.0 22.6 15.0 29.5 31.8 6.6 2.5 100.0 (朝比奈ミカ) U−4 調査結果をみて 都道府県及び市区町村障害者計画策定に関する 自治体調査結果から 上田 征三(うえだ ゆくみ) 1.新「障害者基本計画」と「障害者プラン」について  「福祉計画」(または「社会福祉計画」)は、社会政策(social planning)を、第一義的には行政の責任として計画的・合理的に進めるもので、その政策の実現のための理念や目的、そして、具体的実施計画までの全部あるいは一部を含んだ「行政計画」といえる。  障害者分野の「福祉計画」は、1993年3月に障害者対策推進本部(関係19省庁で構成)が決定した「障害者対策に関する新長期計画」(国の「障害者基本計画」)と、その「実施計画」で数値目標を掲げた「障害者プラン〜ノーマライゼーション七か年戦略〜」(1995.12、障害者対策推進本部、19省庁合意)であった。しかし、その計画は、地域生活支援の乏しさや精神障害分野の内容が薄い等の問題を残して今年度で終了し、新たな「障害者基本計画」(2002.12.24 閣議決定)と「重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)」(2002.12.24 障害者施策推進本部決定)が発表された。  その新計画にも、いくつかの要点が欠落しているといわざるを得ない。まず、「はじめに」や「基本的方針」の一部では、これまでの「ノーマライゼーション」等の理念や目標を継承したような文言になっているが、「重点的に取り組む課題」「分野別施策の基本的方向」等の内容では、それを具現化する法律や制度改正のことについてほとんど触れられておらず、基本的には現在の仕組みを徐々に修正していくというものにとどまっている。  また、具体的な項目については、目標としているサービス量がニーズ量を充分調査した上で積み上げられたものではなく、特に重要な地域生活支援の目標はきわめて不十分である。  以上のことをふまえて、今回の調査が目的とした、「全国の『障害者計画』がどこまで、どのように機能しているのかを点検、評価」、「計画自体を策定していない行政に対しては、計画策定への問題意識を喚起」、「障害者自身が、政策決定の場へ関わる道筋をつけ、評価指針として国際的基準を提示し、それらの周知を行う」と関連させて考えてみたい。 2.都道府県障害者計画及び市区町村障害者計画の策定状況から (1) 障害者計画の策定状況から  2003年3月末現在の「障害者計画」(ここでは、「基本計画」「実施計画」の両方か、または、どちらかの一方を指す)策定の主な概要を以下にまとめた(表1、表2)。その結果をまず、今回の市区町村の策定率でみてみると、回答自治体1,561のうち71.7% (1,119)がいずれかの計画を策定済としている。また、都道府県・政令指定都市59では「基本計画」は1998年3月末までに100%が策定済だが、「基本計画」に数値目標有は、50.1%(30)と低く、さらに、通常、数値目標が組み入れられるべき「実施計画」策定率は、2002年3月末でも55.9%(33)にとどまっている。  市区町村の策定率が低いことや数値目標がないといったことは以前から指摘されていたが(今回の調査では数値目標有は434自治体 32.7%)、まず、都道府県・政令指定都市が市区町村と積極的に連携して、「基本計画」と「実施計画」を策定し数値目標を掲げるべきである。 表1.都道府県・指定都市障害者計画策定の概要     (2002.3.31現在:資料 内閣府編「平成14年版障害者白書」から) 計画の種類 対象数 策定済数 数値目標有 精神障害施策有 基本計画(構成比:%) 59 59 30 59 100.0 100.0 50.1 100.0 実施計画(構成比:%) 59 33 33 33 100.0 55.9 55.9 55.9 表2.市区町村障害者計画の策定状況(資料:総理府及び内閣府から) 調査時点 対象市町村数 策定済み数 策定率% 1995年5月末 3,246 299 9.2 1996年4月末 3,243 334 10.3 1997年3月末 3,243 581 17.9 1998年3月末 3,243 1,079 33.3 1999年3月末 3,243 1,603 49.4 2000年3月末 3,240 2,058 63.5 2001年3月末 3,238 2,424 74.9 2002年3月末 3,234 2,706 83.7  今回の調査において「障害者計画」を策定していない自治体では、特に、町村については計画策定を困難にしているが、主な理由として「担当人員の不足」(43.5%)、「専門的人材に乏しい」(33.5%)等をあげている。しかし、このことは、単なる「財源不足」(31.0%)や、直接権限を有しない幅広い施策が関係したり、制度上障害種別にサービスを準備しなければならないといった理由ばかりではなく、何よりも、問題認識が乏しく取組む姿勢が問われているといわざるを得ないのではないだろうか。 (2) 障害者計画における当事者参加について  地方障害者施策推進協議会の設置は、13.3%(市区で25.4%、町村で7.4%)と非常に低かった。総理府の調査から、1999年3月末時点の調査結果をみると、都道府県・指定都市には全て障害者施策推進協議会が設置してあるものの(障害のある人は平均3人、委員数の約15%)、市区町村の場合、設置されているのはやはりわずかに16.3%であったが、今回の調査結果は、4年前よりも低くなっているという点は見過ごすことができない。  都道府県・指定都市、市区町村が、「障害者計画」を策定する際に「障害者基本法」第7条2の5で、「都道府県は、都道府県障害者計画を策定するに当たつては、地方障害者施策推進協議会の意見を聞かなければならない。地方障害者施策推進協議会を設置している市町村が市町村障害者計画を策定する場合においても、同様とする。」と規定しているが、それを受けて設置している市町村の7割近くが「障害者計画」を策定済み(1998年3月末、総理府)で、協議会を設置していることが策定を促進してきたのではないかということが、以前から指摘されてきたにもかかわらず設置が進まなかったことは非常に問題である。  また、今回の調査では、地方障害者施策推進協議会の当事者委員の障害種別は、市区で「肢体不自由」、「聴覚・平衡機能障害」、「視覚障害」が10%台、それ以外は1けた台にとどまっているという低い結果が出ている。地方障害者施策推進協議会に知的障害者本人が入っているのは北海道、神奈川県、大阪市のみ(全日本手をつなぐ育成会 2002.10)という報告もあるが、知的障害や精神障害、その他の障害者が参画できるような協議会や委員会づくりが急務であろう。 (3) 障害者計画策定時の参考資料について  市区町村が、何を参考にしているかという結果を表3にまとめた。その結果、「都道府県障害者計画」「新長期計画・障害者プラン」を計画策定時に参考にした比率が高く、次に、「厚生省関係障害者プランの推進方策について」と「総理府『市町村障害者計画策定指針』」が続いた。しかし、「アジア太平洋107の目標」と「障害者の機会均等化に関する基準規則」(1993.12.20採択、以下「基準規則」)は非常に少なく、特に「基準規則」の認知度が低いことがわかる。北欧の多くの自治体が、1990年代の後半には、障害者計画の理念と目標をはっきりさせ、手順を踏んで策定できる、まさに道具として「基準規則」を活用し成果を上げていることが報告されているが、それは、行政はもちろんのこと当事者団体等が率先してその普及を図った結果ともいえる。  もっとも、4割以上が参考にしたという「市町村障害者計画策定指針」(障害者対策推進本部、1995.5)には、「留意点」として「市町村の障害者計画を−中略−遅くとも平成8年度中に策定されることが望ましい」としていたが、その年度末の実際の策定率は、17.9%であったように、『絵に描いた餅』にならないようにしなければならない。 表3.策定時の参考資料 総理府「市町村障害者計画策定指針」 厚生省関係障害者プランの推進方策について 新長期計画・障害者プラン 都道府県の計画 他の都道府県・市町村の計画 障害者の機会均等化に関する基準規則 アジア太平洋障害者の十年107の目標 WHO国際障害分類 その他 回答 なし 回答数計 合計 回答数 583 592 788 949 478 37 80 27 68 131 1,327 % 43.9% 44.6% 59.4% 71.5% 36.0% 2.8% 6.0% 2.0% 5.1% 9.9% 100.0% 3.障害者計画と今後の課題 (1) 現状分析  これまでの障害者計画に関わることを簡単に整理すると、以下の点があげられる。 @ まず、地方自治体の「障害者計画」については、その策定を義務づけなかったことをあげなければならない。「老人福祉法」(第20条の8)や「老人保健法」(第46条の18)では、それぞれ「市町村老人福祉計画」「市町村老人保健計画」を一体のものとして作成するように義務づけたが、「障害者計画」では国への策定は義務づけたが、地方自治体には国の「障害者基本計画」(市町村は「都道府県計画」も)を基本にし、「地方の状況等を踏まえて策定するよう努めなければならない」としたのみである。 A 国と地方の問題であるが、地方分権への流れの中で、市区町村が現実にたくさんの課題を抱えており、例えば、障害別の法体系はバラバラで、法体系や制度の一貫性のなさが障害者施策を余計に複雑にしている。その結果、「障害者計画」は策定義務化されていないこともあって、さらに、後まわしにされているといった状況ではないだろうか。 B マンパワー不足のことだが、市区町村が障害者施策に取り組めるというような条件を整えるために、国がどれほどの努力をしてきたかということである。地方自治体が、実施できる権限や機能を予算の裏付けをしたうえで執行できるように、大幅な改革をしなければ直接サービスを提供する機関等のマンパワーは強化されないだろう。地方自治体で策定が進まないのは、各地方自治体の努力も足りないかもしれないが、国は責任をもっと明確にし、積極的に策定支援をすべきだろう。 C 新「障害者計画」でも、目標値が低く、しかも、その達成もおぼつかない項目がいくつか予想される。「地域生活支援」としながら、その施策は具体性に欠けその手だてが不十分である。 (2) 今後の重点課題  今後、障害者計画策定上の重点課題として、まず、以下の点をとりあげたい。 @ニーズ調査を  今回の調査では、市区町村の関心が極めて薄いことが改めて明らかになった。関心のなさが、実態把握の欠如となり、それをもとにいくら論議しても、理念や目標を実現する計画は策定されるはずがない。バリアフリーを進める上で重要な、公共交通や「まちづくり」などにかかわる障害者の利用に配慮した「生活環境整備状況実態調査」を実施したのは、市区町村で10%台という結果が出ている。現実にできるできないだけではなく、総合的なニーズ調査をまず実施し、ニーズの総量について把握することが先決である。各自治体で積み上げることにより、都道府県レベルと国レベルの総量が一層明らかになるだろう。本来なら、それなくして国や都道府県や市区町村の「障害者計画」は成り立たないはずである。 A新たな「市町村障害者計画策定指針」策定を  今回の調査では、「策定時の参考資料」を尋ねているが、このことは一体何を基準にして策定するかという段階で非常に重要になってくる。本調査の目的でもある「評価指針として国際的基準を提示し、それらの周知を行うこと」では、まず、「基準規則」の活用をあげるべきだろう。計画の理念や目的、計画への参加といったことに関する評価は数量としてあらわしにくいが、「基本計画」と「実施計画」の土台となるものである。具体的には、「基準規則」では、かなりの部分でソーシャルプランニングに触れていて、例えば、「施策形成と計画立案」(規則14)や「障害を持つ人の組織」(規則18)で、「政府は、障害を持つ人、家族、権利擁護者の組織の結成と強化を経済的ならびに他の方法で奨励し、支援すべきで、障害を持つ人の役割には、方策の計画・実施・評価、社会の意識向上、変化の提唱」と明記している。  国連の、これまでの各宣言や条約はもとより、「基準規則」そして「アジア太平洋障害者の十年107の評価項目」(2002.12)、2002年10月の、これからの「十年」の行動計画である「びわこミレニアムフレームワーク」等の国際基準の理解を深め、計画策定の指針として活用できるための研修等の取り組みが必要である。また、以上の国際基準に則って、新「市町村障害者計画策定指針」を早急に策定しなければなないだろう。 B障害者施策の法改正と他の計画との統合を  「福祉計画」は、今日の経済政策と連動して、「行政計画」としての役割がますます大きくなってきているといえるだろう。また、地域の役割がますます大きくなると同時に、地方自治体の社会福祉政策の質を決めるといってもいい。  1990年6月には「老人福祉法等の一部を改正する法律」(福祉関係8法改正)で、「老人保健福祉計画」の策定を義務づけたが、法律による総合的・本格的計画づくりは初めてといわれた。これは、1989年のゴールドプラン(在宅福祉三本柱)を追認・整備したもので、ゴールドプランの目標量を各自治体に配分するものであった。  また、2000年6月には「社会福祉法」が成立し、市区町村が「地域福祉計画」を、都道府県が「地域福祉支援計画」を策定することが定められた(2003.4.1施行)。「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針のあり方について(一人ひとりの地域住民への訴え)」(2002.1.28、社会保障審議会福祉部会)では、「老人保健福祉計画・介護保険事業計画、障害者計画、児童育成計画、その他(まちづくり等)を総合したモデルを図示している」が、そのことがうまく機能すれば、「福祉でまちづくり」をする上で、非常にいい機会だといえるだろう。  ただ、法制化するまでの流れで、次第に曖昧化されたと思わざるを得ない点を見逃してはならない。つまり、「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」(1998.6.17、中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会)」や「社会福祉基礎構造改革を進めるに当たって(追加意見)」(1998.12.8、中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会)等では、「地域福祉計画」についてかなり明確に述べられていたことが、「社会福祉法」の「地域福祉計画」規定では、非常に曖昧で、策定義務なのか努力義務なのかさえはっきりしなくなったのである。  しかしながら、今年4月から施行のその「地域福祉計画」策定を、各地域で当事者が参画してつくりあげることは、他の計画との調整や統合を必然的にせざるを得なくなるわけで、そのことによって、ニーズの総量が明らかになり、次にどのようなサービスが必要かが、初めてより意味のあるものとして検討されることになるだろう。その意味は非常に大きいといえる。 U−4 調査結果をみて 障害者計画と当事者団体の関係 川内 美彦(かわうち よしひこ) 1.はじめに  障害者計画は、障害者基本法第7条の2によって求められている。  ここでは国に「障害者基本計画」を策定することを求めており、地方自治体には「都道府県障害者計画」および「市町村障害者計画」を策定するように求めているが、国については策定が義務化されているのに対し、都道府県や市町村に対しては「努めなければならない」という、いわゆる努力義務を求めているに過ぎない。  「都道府県障害者計画」は「当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画」と定義づけられており、また「市町村障害者計画」は「当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画」と定義づけられている。  本稿はこの障害者計画について、障害のある人の当事者団体、都道府県、市町村に対して、その策定の状況等をアンケート調査した結果に基づいている。  本稿でしばしば引用する「障害者計画に対する当事者団体の評価についてのアンケート調査」(本報告書P.38参照、以下同じ)は全国1949の当事者団体に調査票を郵送し、959団体から回答を得た。回収率は49.2%である。  障害者計画はその自治体が障害のある人をどう扱うかを定めるものであり、障害者団体の諸活動のうちでも最も関心の高いものの一つであるべきだと思われるが、それにしてはこの回収率は私の予想よりは低いものであった。ちなみに並行して行われた自治体へのアンケートでは、都道府県・政令指定都市に対するアンケート(P.9参照)の回収率が94.9%、市町村に対するもの(P.18参照)は48.0%となっている。  自治体による回答について内閣府調査による自治体の人口規模分布と本調査におけるそれとを比較すると、人口規模2万人を境として、それ未満では本調査に回答した自治体の比率が人口規模分布の比率に比して少なく、それ以上では多くなっている(P.20参照)。これは人口規模の大きな自治体ほど熱心に回答していることを示しており、このようなアンケートに回答する体制がとられているかどうかが人口規模と関連するのではないかと推測される。  当事者団体の約半数が本調査に回答しなかった理由も、同様の規模の問題があるのかもしれない。 2.地元自治体の障害者計画についての認識と参加の状況  計画が策定されていると認識している当事者団体が80.1%あった(表1)。一方、市町村の85%が計画を策定していると回答している(表2)から、計画についての認識は両者で共有されているものと思われる。 表1:計画策定状況についての認識(P.39参照) 策定されている 策定されていない わからない、知らない 回答なし 合  計 768 71 100 20 959 80.1 7.4 10.4 2.1 100.0 表2:行政区分別・障害者計画の策定状況(P. 参照) 策定済 策定中 検討中 予定なし 回答なし 合 計 市区 回答数 413 23 7 3 0 446 % 92.6% 5.2% 1.6% 0.7% 0.0% 100.0% 町村 回答数 706 185 151 49 24 1,115 % 63.3% 16.6% 13.5% 4.4% 2.2% 100.0% 合計 回答数 1,119 208 158 52 24 1,561 % 71.7% 13.3% 10.1% 3.3% 1.5% 100.0% 以後、計画策定に関する設問は、1,327 自治体が回答 小計:1,327 小計:210  策定されていると認識している団体に聞くと、計画策定時の調査について、何らかの調査が実施されたと認識している当事者団体は69.4%あるが(表3)、市区町村で生活状況の実態調査を実施したと回答したところは75.1%あり(表4)、調査への認識は両者でほぼ共有されているものと思われる。  また計画策定時のヒアリングや懇談会について、実施されたと認識している当事者団体は66.7%あるが(表5)、市区町村で意見聴取の機会を設けたのは53.3%である(表7)。  アンケートに回答した当事者団体は959、市区町村は1552であるから、認識している比率が必ずしも両者で一致するとは限らないが、ヒアリングや懇談会に出席したと回答している当事者団体が85.9%(表6)という高率であることは、当事者は意見表明をしたがっているし、意見聴取の機会が設けられれば高い参加意識を持っているということを示しているといえよう。 表3:調査実施についての認識(複数回答)(P.40参照) 一般住民も含めたサービスの利用意向調査が実施された 実際のサービス利用対象となる人への生活状況の実態調査が実施された 障害者の利用に配慮した生活環境整備状況(公共交通など)の実態調査が実施された その他 いずれについても実施されなかった わからない 回答なし 回答者数 170 321 235 81 98 99 38 768 22.1 41.8 30.6 10.5 12.8 12.9 4.9 100.0 533 69.4% 表4:実施した調査の内容(出典:P.28参照) 一般住民も含めたサービスの利用意向調査 利用対象者の 生活実態調査 生活環境整備状況実態調査 その他 合 計 市 区 回答数 110 285 45 16 359 % 30.6% 79.4% 12.5% 4.5% 100.0% 町 村 回答数 182 471 87 40 647 % 28.1% 72.8% 13.4% 6.2% 100.0% 合 計 回答数 292 756 132 56 1,006 % 29.0% 75.1% 13.1% 5.6% 100.0% *Q6で調査を行ったと回答した1006自治体への設問 表5:計画策定時の障害者団体に対するヒアリングや懇談会についての認識(P.40参照) 実施された 実施されなかった わからない 回答なし 合 計 512 161 87 8 768 66.7 21.0 11.3 1.0 100.0 表6:ヒアリングや懇談会への出席 出席した 出席しなかった 回答なし 合 計 440 63 9 512 85.9 12.3 1.8 100.0 表7:調査票作成前の障害者への意見聴取の機会(出典:P.29参照) 設けた 設けなかった 回答なし 合計 市区 回答数 240 111 8 359 % 66.9% 30.9% 2.2% 100.0% 町村 回答数 296 323 28 647 % 45.7% 49.9% 4.3% 100.0% 合計 回答数 536 434 36 1,006 % 53.3% 43.1% 3.6% 100.0% *Q6で調査を実施したと回答した1006自治体への設問 3.計画策定委員会への参加  自治体の当事者委員数は市区で993人、町村で1603人、計2596人である。一方障害者計画を「策定した」あるいは「策定中」と答えた自治体は、市区で436、町村で891であるから(P.24参照)、1自治体あたりの当事者委員数(※1)は表8のようになる。 表8:自治体あたりの当事者委員数 策定・策定中 当事者委員数 (※1) 市区 436 993 2.28人 町村 891 1603 1.80人 全体 1327 2596 1.96人  この表を見ると、市区部のほうが、町村部よりも当事者委員を多く入れていることが分かるが、それにしても障害者計画の当事者が2人程度しか委員として入っていないというのは、誰のための計画かを考えると、あまりにも少ないといわざるを得ない。  障害は多様であり、それぞれに直面する問題やニーズは異なっているという理解が十分にあれば、もう少し当事者委員数を増やさなければならないということが自明であろうと思われるが、このあたりの自治体の姿勢には首を傾げざるを得ない。  当事者側へのアンケート調査によると、計画策定委員会へ本人または家族が委員として参加したと回答したのは501団体、65.2%(表9)。計画への働きかけを行った団体(後述)が76%に上っていることと比較すると、やはり自治体にはもう少し当事者委員の重要性を認識していただきたいものである。 表9:計画策定委員会への参加状況(P.40参照) 参加した 参加しなかった わからない 回答なし 合 計 501 156 89 22 768 65.2 20.3 11.6 2.9 100.0 4.計画に対しての働きかけ  障害者計画へ働きかけを行ったと回答した当事者団体が76%に上っており(表10)、これはヒアリングや懇談会への出席率に表れた高い参加意欲にも関連していようが、当事者団体の活発な動きを表している。しかしながら意見が反映されたと回答した団体は61.8%に留まっている。(表11)  本アンケート調査では、働きかけた結果として意見が反映されたのかどうかはわからないが、障害者計画が障害のある人の生活に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、当事者の意見が十分反映されていないのでは、何のための障害者計画なのかといわざるを得ない。 表10:障害者計画への団体からの働きかけの状況(複数回答)(P.41参照) 学習活動を行った 委員会の傍聴を行った 要望書の提出や行政交渉を行った その他 何も行わなかった わからない 回答なし 回答者数 245 87 402 90 127 40 17 768 31.9 11.3 52.3 11.7 16.5 5.2 2.2 100.0 584 76.0% 表11:計画に対する評価(意見反映についての認識)(P.41参照) 十分に反映された 一部反映された あまり反映されなかった まったく反映されなかった どちらともいえない わからない 回答なし 合 計 92 383 111 47 54 61 20 768 12.0 49.9 14.5 6.1 7.0 7.9 2.6 100.0 475 61.8% 158 20.5% 5.情報保障  計画に関する自治体からの情報提供について、コミュニケーションに配慮されていたと回答した団体は、およそ半分の49.8%(表12)。これは明らかに低い。  情報保障の内容については、典型的な手話通訳や点訳資料のほか、音声テープや拡大印刷によって資料が用意されていたり、ITによって広く公開されるなど、その方法がニーズに応じて多様化していることが伺える。特筆すべきはわかりやすく解説された資料提供や、やさしくかみくだく読み手の派遣などこれまで見落とされがちだった配慮が結構行われていることである。その一方で、何の配慮もなかったと回答した団体が33.3%もあり(表12)、自治体ごとの格差を感じる。たとえ委員にそのような配慮が必要な人がいなかったとしても、ITによる公開などはなされるべきであるし、コミュニケーションへの配慮が必要な人が委員にいないこと自体が不自然な委員構成ではないかと思われる。 表12:計画に関する自治体からの情報提供における、コミュニケーション配慮の有無(複数回答)(P.41参照) ITなどで、誰もが情報入手できるようになっていた 点訳された資料があった 音声による説明のテープが用意されていた 拡大印刷された資料が用意されていた 説明会の席上、ろう者への通訳が用意されていた わかりやすく解説された資料提供や、やさしくかみくだく読み手の派遣など 何の配慮もなかった 回答なし 回答者数 91 99 50 83 170 111 256 127 768 11.8 12.9 6.5 10.8 22.1 14.5 33.3 16.5 100.0 385 50.1% 6.自治体とのパイプ  自治体との情報交換や協議の場について、何らかの形で設置されているとの回答が70.0%ある(表13)ことから見ると、このアンケートに回答した中ではかなりの団体が自治体とのパイプを持っていることになる。そのわりに上記の情報保障の悪さが気になるが、多様な手段による情報保障が常識となり、それに対してきちんと予算が準備されるようになるまで、当事者団体としては働きかけを継続する必要がある。  問題はこの情報交換や協議の場が常設のものであり、臨機応変に開催されているかというところにあり、それを可能にするには、行政側から必要な情報が十分に提供されることで参加者の誰もが同じ基礎知識をもつことができる環境が必要である。  情報交換や協議の場という形式よりも、そこで何が議論され、それがどう活用されていくかという実質のほうが重要であり、その実質が確保されていくことを求め続けていく活動を止めてはならないだろうと思う。 表13:自治体との、情報交換や協議の場の状況(複数回答)(P.42参照) 各種審議会へ障害をもつ本人または家族が委員として参加している 障害者団体等との定期的な話し合いの場がある 必要に応じて、障害をもつ本人または家族の個人や団体に対してヒアリングが行われている 障害者団体等が実際に施策に関わっているので、常に連絡調整が行われている その他 情報交換や協議の場は設定されていない わからない 回答なし 回答者数 313 325 326 218 70 150 71 66 959 32.6 33.9 34.0 22.7 7.3 15.6 7.4 6.9 100.0 7.地方障害者施策推進協議会の設置状況  地方障害者施策推進協議会は障害者基本法第27条によって定められた機関であり、都道府県と政令指定都市に設置が求められている。  都道府県と政令指定都市に置かれる地方障害者施策推進協議会は、下記の事務をつかさどるとされている。 1.当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議すること。 2.当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。  また市町村は、地方障害者施策推進協議会を置くことができるとされていて、その設置は市町村の任意となっている。市町村の障害者施策推進協議会の役割は、下記のように述べられている。  「当該市町村における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項及び障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議させる」。  障害者基本法第7条の2、第5項では、都道府県および政令指定都市に対して、「都道府県障害者計画を策定するに当たっては、地方障害者施策推進協議会の意見を聴かなければならない」と求めており、市町村に対しても、地方障害者施策推進協議会を設置している場合には同様のことを求めている。つまり地方自治体が障害者計画を策定する際には、この障害者施策推進協議会の役割が非常に大きいのである。  地方障害者施策推進協議会の設置状況について市区町村調査では、その設置が任意であるということのためか、13.3%ときわめて低いレベルに留まっている(表14)。  その内訳として、条例により設置しているのが3.5%、条例はないが設置しているというところが9.8%となっている(表14)。地方障害者施策推進協議会は前述のように計画の策定に大きな影響力を持つとともに、施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議するという、モニタリングの役割を持っており、これなくしては計画の効果が検証できないはずだが、それが設置されていない、されているとしても条例に定められていないという極めて不安定なよりどころの基に設置されているというのは理解しがたい。計画は作ることだけが目的ではないはずだ。  ここで不思議なのは当事者側の認識で、障害者施策をすすめる協議会または検討会が設置されていると回答した団体が50.5%に上っており(表15)、市区町村調査と大きなズレを見せている。  質問の表現が異なっているため、何らかの誤解が生じている可能性があり、これ以上のことは言及できないが、この協議会の役割やその存在について、当事者側が何らかの誤解をしている可能性も考えられる。 表14:地方障害者施策推進協議会の設置状況(P.32参照) 条例により設置 条例はないが設置 設置を準備 設置していない 回答なし 政令指定都市 合計 市区 回答数 35 76 13 290 13 9 436 % 8.0% 17.4% 3.0% 66.5% 3.0% 2.1% 100.0% 町村 回答数 12 54 13 700 112 0 891 % 1.3% 6.1% 1.5% 78.6% 12.6% 0.0% 100.0% 合計 回答数 47 130 26 990 125 9 1,327 % 3.5% 9.8% 2.0% 74.6% 9.4% 0.7% 100.0% 表15:障害者施策をすすめる協議会または検討会の設置状況(P.42参照) 設置されている 設置されていない わからない 回答なし 合 計 485 226 203 45 959 50.5 23.6 21.2 4.7 100.0 表16:協議会または検討会への参加状況(同上) 参加している 参加していない わからない 回答なし 合 計 393 73 10 9 485 80.9 15.1 2.1 1.9 100.0 8.まとめ  障害者計画は都道府県にしても市町村にしても、「障害者のための施策に関する基本的な計画」である。しかしながらこの重要な計画の策定が地方自治体では任意であるということ自体にボタンの掛け違いがあるように思われる。  本稿で何度も指摘したように、誰のための障害者計画なのかという視点が確立されていないと、ボタンの掛け違いにも気づかないことになる。  ここで気になるのは、障害者計画は障害者基本法で定められているという点である。  障害者基本法はその第1条で「この法律は、障害者のための施策に関し、基本的理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて障害者の自立と社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加を促進することを目的とする」と書かれており、あくまでも行政側の立場で作られた法律であるということができる。  このことは同法第27条によって定められた地方障害者施策推進協議会の目的でも色濃く示されていて、同協議会の役割の一つは都道府県、市町村とも、「障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議する」とされている。  障害者基本法がこのような基本姿勢である限り、障害者計画は行政主導であり、当事者はあくまでも意見を述べるお客様としての扱いに留まる可能性がある。参加から参画へという流れを受けて、障害のある当事者がいかに政策決定に関与していくかが問われているという時代背景の中で、当事者を主体とした考え方で法体系を再検討する必要があるのではないだろうか。  参画については上記のように、現行の法的枠組みの中では基本的な問題があると思われるが、それにしても当事者は発言しないわけにはいかない。より多様な障害当事者を巻き込みながら、各種の委員会に委員として関与できる者はもちろんのこと、関与できない者も様々な手段によってその意見を表明していく必要がある。幸い今は、電話、ファックス、郵便、電子メールなど多様な意思伝達手段があるので、自分に適した方法が選択できる。行政側に望むのは、徹底した情報公開と、パブリック・コメントなどの当事者が意見表明できる機会の設定、寄せられた意見に対する丁寧な返答を公開で行うこと、作りっぱなしではなく将来に向かって計画や制度を改善していく仕組みの構築などである。(なおこれは、どの案件についても行政システムとして定着させる必要がある。)  計画策定も重要ではあるが、計画がきちんと実行されるかどうかがより重要であることは論を待たない。実施状況を含めた更なる検証と、それに基づいた改善が継続されることが必要である。 U−4 調査結果をみて 市町村障害者計画の策定状況について 岩崎 晋也(いわさき しんや)  市町村の障害者計画の策定状況については、年々策定率が上昇しているとはいえ、人口規模の小さい自治体、とりわけ町村自治体において策定率が低いことは、内閣府の調査からも指摘されていたことである(2002年3月末現在の町村策定率80.2%)。  今回の調査では、その策定していない自治体の策定困難な要因を調査している点が重要である。本報告書で分析しているように、「担当人員の不足」、「現状の施策で対応が可能」、「専門的人材に乏しい」、「障害者の数が少なくニーズを把握しにくい」などの要因が上位に来ている。しかしこの現状を受け入れるのではなく、未策定の自治体でも障害者計画の策定を行うためにはいかなる働きかけが必要なのだろうか。  第1に、「担当人員の不足」や「専門的人材に乏しい」という要因は、小規模の自治体であればあるほど現実的な問題と言える。予算措置が十分でない中での地方分権化の促進が行われている中、介護保険、支援費制度への移行など、福祉関連の市町村の自治体事務は近年飛躍的に増加している。そうした中で、計画策定まで手が回らないというのは正直な回答かもしれない。しかし障害をもつ人にとってみれば、市町村に権限が委譲されている状況だからこそ、自分の住んでいる市町村がいかなる施策の方針をもつのかが、生活に密接な問題となっていることは言うまでもない。  この要因に対しては、本報告書の「W−1.調査結果からみえてきた課題」でも指摘することになるが、障害をもつ当事者が計画策定に関わるという方向性が考えられる。ただし、行政に対して要求を突きつけることと、計画策定に責任を持って加わることとは意味が違う。障害をもつ当事者が行政から信頼されるパートナーとなることが求められているのだ。このことは要求活動を一切しないで、行政の要望どおりに仕事をすることを意味するわけではない。それぞれの立場の違いや置かれている状況を相互に理解しあう中で、現実的な施策にしていくことが求められている。  さらに市町村を単位とする施策では、障害をもつ人のみを対象とした施策よりも、高齢者や、児童、さらには地域住民一般を対象とする複合的な施策の方が効率的な場合がある。実際障害者計画を策定している自治体でも、障害者計画を単独の計画というよりは、地域福祉計画の一領域として、他の計画と関連づけている自治体が多いのではないだろうか。そういう意味では、信頼されるパートナーとは、単に障害担当の行政部局から信頼されるだけでなく、地域住民の一員として地域福祉全般の施策との関連に目配りをし、住民からも信頼される策定委員であることが求められる場合も少なくないのではないだろうか。  障害をもつ当事者が地域福祉全般に関心をもち、地域のいろいろな関係者が相互につながりを持つことは、結果として、障害をもつ人はもとより、多くの住民にとって住みやすい街づくりにつながると思う。  第2に、「現状の施策で対応が可能」や「障害者の数が少なくニーズの把握がしにくい」という要因の方が、私には深刻な問題だと思える。確かに、とても人口が少ない自治体では、1人1人のニーズが個人名で把握されており、不特定の人を対象に、集合的なニーズを把握して設計する計画をあえて立てなくてもよいという自治体もあるかもしれない。しかしこの要因を挙げた自治体の大半は、ある程度の人口規模を有しており、住民1人1人のニーズが個人名で把握されているとは思えないのだ。こうした要因を挙げた自治体は、障害をもつ人の特別なニーズを把握することもなく、単に国が示す事業を最低限実施するにとどまっている可能性がある。そして、障害をもつ当事者の状況を見ても、1人1人のニーズを訴える組織も場もなく、孤立している可能性もあるのではないだろうか。逆にこうした状況だからこそ、行政に「現状のままでよい」、「ニーズが把握できない」と回答させる結果になったとも考えられる。  障害をもつ人へのサービスの権限を市町村に委譲することは、地域福祉の観点からは望ましいことであるが、もっとも懸念されるのは、サービスの地域間格差である。そしてそれを生みだす一つの要因が、障害者団体の運動力の地域間格差とも言えるのではないだろうか(もちろん行政の姿勢や財政力の違いなどがより重要な要因だが)。  障害者団体の今後の課題として、自らの市町村だけではなく、地域ブロックや都道府県単位での連携と支援がこれまで以上に重要となってくると思う。  最後に、既に計画を策定しているところの見直しについて、特に「予定なし」と回答している自治体(市区19.3%、町村28.3%)の問題について触れたいと思う。本報告書では、計画策定年次とのクロス集計がなされていないのだが、来年度の支援費制度への移行、今年の精神障害者の地域生活支援の市町村移管など、近年の激動する障害者施策に策定年次の古い計画が対応できているとは思えない。  また、策定年次が比較的最近の計画であっても、見直しの予定がないと回答した自治体については、計画のモニタリングがきちんと行われているか、チェックする必要がある。一旦計画を立てたら見直しをしないで実施し続けられる計画だとすると、運用する行政の硬直化はもとより、計画の内容自体がよほど抽象的で空虚な内容ではないかとの疑いが発生する。計画は、計画を策定したところで終わるのではなく、計画をどのように実施するのかの方が重要である。計画を策定したから行政責任は果たしたと言わせないために、障害者団体が積極的に計画の内容のチェックとモニタリングを行うことが求められていると言える。 都道府県・政令指定都市障害者計画における数値目標について 小澤 温(おざわ あつし)  数値目標は、数値目標値自体が利用者数や利用者のニーズからみて妥当性があるかどうかの検討がまず必要だが、具体的な施策の達成評価の指標としては重要である。  数値目標の有無については、85%以上の項目では、知的障害者地域生活援助事業(グループホーム)、精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)、知的障害者通所授産施設、精神障害者生活訓練施設(援護寮)、身体障害者日帰り介護、身体障害者療護施設、知的障害者更生施設、があげられる。逆に、60%以下の項目では、身体障害者福祉ホーム、精神障害者福祉工場、小規模作業所に対する助成、精神障害者社会適応訓練事業、精神科デイケア施設の整備、があげられる。知的障害者、精神障害者のグループホームでは85%以上の自治体が数値目標を掲げているのに対して、身体障害者の福祉ホームでは60%以下の自治体しか数値目標を掲げていないことについては、現実の整備数の少なさや整備の困難さなどが予想されて数値目標化を躊躇していることも考えられる。同様のことは、精神障害者福祉工場についても考えられる。  数値目標の設定方法だが、「従来の施策の延長線上で設定した」で25%以上の項目は、知的障害者地域生活援助事業(グループホーム)、精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)、身体障害者通所授産施設、精神障害者授産施設、市町村障害者生活支援事業、障害児(者)地域療育等支援事業、精神障害者地域生活支援事業、精神障害者生活訓練施設(援護寮)、身体障害者療護施設、知的障害者更生施設、があげられる。これに対して、「実際のサービス利用対象となる人への生活状況の実態調査に基づいて算出した」で25%以上の項目は、身体障害者通所授産施設、知的障害者通所授産施設、訪問介護(ホームヘルパー)、短期入所(ショートステイ)、身体障害者日帰り介護、があげられる。つまり、「実際のサービス利用対象となる人への生活状況の実態調査に基づいて算出した」数値目標は、在宅サービス3本柱(ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス)を除いてあまりなく、ほとんどの場合は、「従来の施策の延長線上で設定した」ことが考えられる。本来ならば、すべての項目で生活状況の実態調査を十分踏まえて数値目標を設定する必要があると思うが、そのような実態調査を十分踏まえる余裕がないまま数値目標を設定したことが考えられる。  「住民や障害者団体からの要望に基づいて設定した」は、すべての項目で10%未満であり、住民や障害者団体の政策立案、計画策定のための運動のあり方を今後検討する必要がある。 「障害者計画に対する当事者団体の評価についてのアンケート調査」 結果報告について 福島 智(ふくしま さとし) 1.調査の性格と調査対象の概要  本調査の目的は、第1に、全国各自治体の障害者計画策定に関する障害者当事者団体の認知の状況の把握であり、第2に、障害者計画策定・実施における、障害者当事者団体の参加の状況の把握である。  調査票を郵送した対象は、全国1949団体で、日常的に活動している自治体を1カ所特定して回答を依頼している。そのうち、回答のあった団体は959で、回収率は49.2パーセントである。ほぼ5割の回収率だが、全国の1000近い障害者団体の回答がえられたことは意義深い。  対象団体の属性は、会員数が100名以下の小さな団体が48.4パーセント、101〜500名が、28.3パーセントである。  なお、「障害者当事者団体」の定義をどうとらえるかが問題である。たとえば、身体障害者に限れば、「本人が参加する団体」が回答した団体の60.8パーセントだが、回答した団体の64.0パーセントは、複数の属性(立場・障害種別)の人が参加して活動している。つまり、「家族」、「専門職」、「その他」(友人・ボランティア等か?)といった「障害者本人」ではない人も少なからず含まれている、という状況をまず認識すべきである。 2.地元自治体の障害者計画についての認識と参画の状況  障害者計画が策定されていると認識している団体が80.1パーセント(自治体調査では、85パーセントが策定)と、認識度が低くはないものの、一方で、「わからない、知らない」と回答した団体も10.4パーセントあることは見逃せない。同様に、計画策定時の調査について、「何らかの調査が実施されたと認識している団体」は69.4パーセントだが、1割強が、「分からない」、「回答なし」であることは注意すべきだろう。こうした傾向は、「計画策定時の、障害者団体に対するヒアリングや懇談会についての認識」に関する質問への回答にも見受けられる。  すなわち、「障害者計画」への感心は概ね高いとはいえ、必ずしも把握・認識していない団体も一部には確かに存在する、ということである。その原因・理由として、後述する情報・コミュニケーションへの配慮の欠如が関連していると思われる。  また、より厳密に、障害者計画策定にあたって、「実際のサービス利用対象となる人への生活状況の実態調査を実施した」と回答したのは、同じ質問に対して、自治体調査では70パーセント以上であったにもかかわらず、当事者団体は、41.8パーセントにとどまっており、かなりの認識のずれがうかがえる。  次に、計画策定作業への本人、家族の参画状況である。まず、「計画策定委員会に本人または家族が委員として参加した」と回答したのは65.2パーセントであり、これは一見高率のように思えるが、そうではないだろう。「参加しなかった」が2割、「分からない」が1割存在することに注目すべきである。つまり、障害者計画策定過程において、3割前後の策定委員会は、「障害者本人ではなく、その家族でもない」メンバーのみで構成されていた、という状況に留意すべきである。  計画に対しての働きかけは、76.0パーセントが何らかの働きかけを行ったと回答したものの、働きかけを何も行わなかったと回答した団体も16.5パーセントある。  その結果、計画に対し意見が反映されたと回答した団体は、61.8パーセントあるものの、「どちらとも言えない」や「分からない」を含め、否定的な全体の評価が4割近く存在する事実は、深刻にうけとめるべきである。  続いて、計画に関する自治体からの情報提供についてである。  「コミュニケーションに配慮されていた」と回答した団体は、50.1パーセントで、半数にとどまっている点が問題だ。明確に、「何の配慮もなかった」と回答した団体も33.3パーセントある。より具体的にみると、さらにその深刻な状況がうかびあがる。たとえば、次のようである。  「ITなどで,誰もが情報入手できるようになっていた」、「点訳された資料があった」、「拡大印刷された資料が用意されていた」は、いずれも1割程度である。  「説明会の席上、ろう者への通訳が用意されていた」が22.1パーセント、「わかりやすく解説された資料提供や、やさしくかみくだく読み手の派遣など」が14.5パーセント、「音声による説明のテープが用意されていた」にいたっては、わずか6パーセントしかない。  たとえ優れた内容の障害者計画が策定されたとしても、その計画に関する情報提供が適切になされていなければ、なんの意味もない。今後、この情報・コミュニケーション面での配慮、対応がいっそう求められるだろう。 3.今後の障害者施策の推進  さて、最後に、計画策定後の障害者施策推進について、考える。  障害者施策をすすめる協議会または検討会が設置されていると回答した団体は50.5パーセントにとどまっており、「わからない」、と回答した団体も21.2パーセントある。 協議会または検討会に本人または家族が委員として参加していると回答した団体は80.9パーセントだが、もともと半数の団体しか「設置されている」と回答していない、という事実を勘案すれば、けっして十分とは言えない。  以上をもとに今後の市町村における障害者施策推進にむけての課題を整理すると、概ね次の4点になるだろう。 1、当事者、それも障害者本人の参画の制度的推進。 2、障害者計画をはじめ、市町村の施策全般について、情報・コミュニケーションのバリアフリー化をはかる。とくに、視覚障害者への情報保障、知的障害者への「分かりやすい内容説明」、文章力にハンディのあるろう者への手話での情報提供などが重要である。 3、行政と当事者の相互コミュニケーションの活発化。たんに計画の策定にとどまるのではなく、行政と当事者との日常的なコミュニケーションと議論を通じて、計画を生きた施策にしていくためには、常に改正・革新しつづけることが必要である。 4、身体障害者だけでなく、知的障害者、精神障害者の本人参加を当事者の政策立案過程に明確に位置付けていく必要がある。 「障害者施策推進フォーラム協議会」の活動報告について キャンペーン委員 森 祐司(もり ゆうじ)  この事業の着目すべき点は、DPI日本会議を中心とした障害者福祉の専門家による評価委員会が、「市町村障害者計画」「欠格条項」の詳細な調査を行い、その調査結果を活用して障害当事者団体である障害者社会参加推進センターが全国レベルでキャンペーン活動・要望活動を展開したことにある。  そもそも社会参加推進センターは、平成10年、厚生省(当時)の指導により、障害者の社会参加促進施策を総合的かつ効果的に推進するため、3障害(身体、知的、精神)共通の事業推進組織として設立され、障害の有無にかかわらず誰もが家庭や地域で明るく暮らせる社会づくりに向けて、障害者自らによる諸種の社会参加促進施策を実施し、地域における自立と社会参加を推進することを目的として、各都道府県・政令指定都市に設置されたものである。  この障害者社会参加推進センターを中心に障害者団体による「障害者施策推進フォーラム協議会」の設立が進められ、最終的に34団体が「障害当事者の社会への参加・統合・人権」という視点で決議書や要望書を作成し、内閣総理大臣の挨拶文を添え、知事・市区町村長・各障害福祉課等に要望活動を行った。  この取り組みにおいて重要なことは、障害種別・障害者団体にとらわれず、障害者当事者団体が地方レベルで一致団結を行い、活動したことであり、各地域の新聞等に大きく取り上げられている。  そしてこの事業のもう一つの大きな特色として、平成14年1月、厚生労働省障害保健福祉部が各都道府県・政令指定都市の障害保健福祉課へ支援と協力を呼びかけの文章を障害保健福祉部社会参加推進室長名で発信され、また、平成14年7月、「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム八代英太組織委員長が、小泉内閣総理大臣より、全国の都道府県知事、市区町村長に向けた、障害者施策推進に関する挨拶文(「メッセージ」)を受取り、これを一つの旗印とすることができたことにある。  今回の調査により、障害者団体のさまざまな問題が浮き彫りになったが、障害者団体の存在意義も今まで以上に明確になったと思われる。この調査結果を真摯に受止め、これらの問題を解決していきたいと考えている。また、「障害者施策推進フォーラム協議会」が活動した今回の行動は、これが終わりではなく、これがはじまりであるとの認識に立ち、「新・アジア太平洋障害者の十年」に向け、積極的に取り組んでいきたいと考えている。 V 欠格条項 ワーキングチーム 瀬山 紀子(せやま のりこ) 1.欠格条項調査の概要 (1) 調査実施の経過とその目的  本調査は、「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムキャンペーン委員会政策部会が、「欠格条項総点検キャンペーン」として、全国の都道府県・指定都市、市町村を対象に、障害者の社会参加を法律上閉ざしている障害を理由とした資格制限、利用制限などの欠格条項の実態を明らかにするために実施したものである。  国レベルでの障害者欠格条項に関する取り組みは、1993年に策定された「障害者対策に関する新長期計画」に法制度のバリア除去の必要性が書かれて以降、見直し・検討する課題となってきた。また、新長期計画後、欠格条項の見直しをより一層進めるために、国は1999年8月に「障害者に係る欠格条項の見直しについて」という文書を各省庁に示し、「障害者が社会活動に参加することを不当に拒む要因」となる欠格条項のさらなる見直しを図ることを目的に、政府としての対処方針を定め、現在も国レベルでの取り組みを進めている。  こうした国レベルでの欠格条項と同時に、都道府県・市町村の自治体が保持する条例・規則のなかに障害を理由とした欠格条項が存在している。しかし、そうした自治体レベルの欠格条項について、これまで網羅的な調査はなく、そのために自治体が保持する欠格条項の問題に対する認識や、それを除去するための取り組みは、これまで十分に行われてはこなかった。  本調査は、自治体レベルでの障害者欠格条項の実態を総点検することで、@法制度のバリアとしての欠格条項が国レベルに留まらず、自治体レベルの問題であることを明らかにし、Aそうしたバリアを除去するための取り組みが現在必要とされていることを明らかにする、という二つの目的によってすすめられた。 (2) 調査実施の時期と方法  本調査は、2001年12月〜2002年5月に、全国の自治体(都道府県・指定都市、市町村)に、アンケート調査票を郵送し、回答を求めるという方法で行われた。なお、本調査は同じくアジア太平洋障害者の十年最終年記念フォーラム政策部会が行った「(全国自治体における)障害者計画の策定・実施状況」についてのアンケート調査と合わせて実施した。 (3) 調査の対象と内容  本調査で対象とした欠格条項は、@自治体が持つ条例・規則といった法規に規定されている障害を理由とした制限、A受験資格に規定されている障害を理由とした制限、B受験時(試験)における適切な配慮の有無、C公営住宅の入居に関する制限規定、D公的施設の利用に関する制限規定、E議会や教育委員会等の傍聴に関する制限規定の6項目である。  また、特に本調査では、条例・規則といった法規に示される欠格事由の有無と合わせて、資格試験実施段階での実質的な制限(受験資格)、及び受験時における必要な配慮の実施の有無について調査対象に定め、実質的な制限をもたらす制度を幅広く調査することを目的とした。その際、選択肢には、障害種別による制限規定をあげた選択肢ではなく、どのような表現において制限が行われているかを把握するために、制限の具体的な表記内容を上げた(特に精神障害に関する規定は複数の表現による)。  なお、本調査での対象を絞り込むに当たっては、先行する全家連(全国精神障害者家族会連合会)モノグラフにおける欠格条項調査と、障害者欠格条項をなくす会の公的施設の利用、及び、会議や行政委員会の傍聴制限に関する調査結果を参考にした。 2.都道府県・指定都市調査 集計結果 回収状況:都道府県・政令指定都市向け:94.9%(56/59) 16−1 条例・規則などに資格制限(欠格事由)が設けられていますか。  警察職員、ふぐ処理師(ふぐ調理師)に、複数の欠格条項がみられる。警察職員、ふぐ調理師の欠格事由は、都道府県の保持する条例・規則に規定されたものである。 表V−1 該当する条例・規則等がない 該当する条例・規則等に資格制限(欠格事由)に関する規定はない 精神障害 精神病 てんかん 知的障害 色覚障害 視覚障害(目の見えない者などの規定) 聴覚障害(耳の聞こえない者などの規定) 口のきけない者 体が不自由な者 その他の障害・病気 回答なし 回答者数 都道府県一般事務職員 14 37 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 5 56 25.0 66.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.8 8.9 100.0 都道府県現業職員 17 33 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 56 30.4 58.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 10.7 100.0 消防職員 6 13 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 37 56 10.7 23.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 66.1 100.0 警察職員 13 27 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 15 56 23.2 48.2 0.0 0.0 0.0 0.0 1.8 1.8 0.0 0.0 0.0 0.0 26.8 100.0 学校職員 23 24 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9 56 41.1 42.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 16.1 100.0 ふぐ処理師・ふぐ調理師 15 10 4 5 1 0 2 5 0 0 0 4 19 56 26.8 17.9 7.1 8.9 1.8 0.0 3.6 8.9 0.0 0.0 0.0 7.1 33.9 100.0 (上段:実数,下段:%,以下同じ) 16−2 募集要項等に書かれている受験資格に以下に該当する制限を設けていますか。  都道府県の一般事務職員、現業職員及び学校職員の場合、受験資格に制限を設けていないとの回答が70%を上まわった。回答なしが70%を上まわった消防職員については、そもそも都道府県では受験を実施していない場合があることによると思われる。一方で、警察職員については、色覚、聴覚についても制限を設けていることが明らかになっている。「精神が正常であること」という規定による制限は、ふぐ調理師でみられた。 表V−2 受験資格に制限は設けていない 心身ともに健康であること(業務遂行に支障のない健全な身体であること) 自力で通勤し勤務遂行可能なこと 活字印刷文による出題に対応可能な人 色覚が正常であること 聴覚が正常であること 精神が正常であること その他 回答なし 回答者数 都道府県一般事務職員 40 2 7 10 1 0 0 5 4 56 71.4 3.6 12.5 17.9 1.8 0.0 0.0 8.9 7.1 100.0 都道府県の現業職員 44 0 1 4 0 0 0 3 6 56 78.6 0.0 1.8 7.1 0.0 0.0 0.0 5.4 10.7 100.0 消防職員 6 5 1 2 2 3 0 3 42 56 10.7 8.9 1.8 3.6 3.6 5.4 0.0 5.4 75.0 100.0 警察職員 24 7 1 2 12 3 0 8 14 56 42.9 12.5 1.8 3.6 21.4 5.4 0.0 14.3 25.0 100.0 学校職員 41 2 1 0 0 0 0 5 8 56 73.2 3.6 1.8 0.0 0.0 0.0 0.0 8.9 14.3 100.0 ふぐ処理師・ふぐ調理師 22 2 1 1 1 0 3 4 26 56 39.3 3.6 1.8 1.8 1.8 0.0 5.4 7.1 46.4 100.0 16−3 過去5年以内に、以下に該当する試験、また試験の際の通訳配置等を行いましたか。  「実施していない」という回答が、50%以上になったものは、警察職員、都道府県の現業職員。点字試験については、学校職員が42.9%(24都道府県、指定都市含む)、都道府県の一般事務職員で21.4%にあたる12都道府県(指定都市含む)が実施している。試験場のアクセスについても、学校職員、都道府県の一般事務職員で多く見られた。学校職員については、他のものと比べ、試験の際の配慮が全般的におおく実施されていることが明らかになった。 表V−3 実施していない 点字試験を実施 拡大文字試験を実施 手話通訳、筆記通訳の配置 試験場のアクセスや構造の配慮 その他 回答 なし 回答 者数 都道府県の一般事務職員 16 12 16 16 29 5 3 56 28.6 21.4 28.6 28.6 51.8 8.9 5.4 100.0 都道府県の現業職員 37 4 4 5 11 0 6 56 66.1 7.1 7.1 8.9 19.6 0.0 10.7 100.0 消防職員 11 1 1 0 3 0 41 56 19.6 1.8 1.8 0.0 5.4 0.0 73.2 100.0 警察職員 30 1 2 1 10 2 16 56 53.6 1.8 3.6 1.8 17.9 3.6 28.6 100.0 学校職員 10 24 11 20 21 8 9 56 17.9 42.9 19.6 35.7 37.5 14.3 16.1 100.0 ふぐ処理師・ふぐ調理師 23 1 1 1 3 2 27 56 41.1 1.8 1.8 1.8 5.4 3.6 48.2 100.0 17−1 貴自治体の公営住宅単身入居者募集要項、しおり等に障害・病気を理由とした入居制限に関する記載がありますか。  入居制限を設けていない自治体が半数の29都道府県(指定都市含む)にのぼった。しかし、常時介助を必要とする重度身体障害者に関する入居制限を設けている自治体が9都道府県。但し、常時介助を必要とする重度障害者については、「重度身体障害者であっても居宅で常時介助を受けられる者であれば可」といった規定も見られるため、この調査では、どのレベルでの制限であるかをはっきりさせることができなかったことが問題としてあげられる。精神障害者、知的障害者についての制限が少なかったことについても、制限がないと考えるよりも、そもそも、入居者として想定されていない(入居枠が設定されていない)といったことと、公営住宅法施行令第6条が、単身入居できる者の例示規定であり、精神障害者、知的障害者の場合、その規定の対象になっていないことによって、制限されていること自体が認識されていないということが問題としてあげられる。 表V−4 入居資格に関する制限はない 常時介助を必要とする重度身体障害者に関する入居制限を設けている 精神障害に関する入居制限を設けている 知的障害に関する入居制限を設けている その他 回答なし 回答者数 29 9 4 4 10 7 56 51.8 16.1 7.1 7.1 17.9 12.5 100.0 17−2 貴自治体の公的施設の利用に関して、障害を理由とする制限が設けられていますか。  都道府県、指定都市レベルでは、公的施設の利用制限はほぼ見られない。また、都道府県、指定都市レベルでは、公的施設の利用に関する条例や規則を設けていないとした自治体も10%前後見られた。 表V−5 市民施設 福祉施設 保養施設 教育施設 生涯学習施設 図書館 スポーツ施設 該当する条例・規則等がない 6 5 5 7 3 5 6 10.7 8.9 8.9 12.5 5.4 8.9 10.7 該当する条例・規則等に利用制限に関する規定はない 38 45 27 40 44 48 48 67.9 80.4 48.2 71.4 78.6 85.7 85.7 精神に異常のある者(精神異常者) 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 精神病者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 精神錯乱者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 精神に障害がある者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 精神に疾患がある者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 精神的に欠陥がある者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 精神薄弱 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 白痴 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 知的障害 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 てんかん 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 目の見えない者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 耳の聞こえない者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 口のきけない者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 体が不自由な者 0 0 0 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 その他 0 1 0 0 1 0 0 0.0 1.8 0.0 0.0 1.8 0.0 0.0 回答なし 12 5 24 9 9 2 2 1.4 8.9 42.9 16.1 16.1 3.6 3.6 回答者数 56 56 56 56 56 56 56 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 17−3 貴自治体の議会、委員会等の傍聴に関して、障害を理由とする制限が設けられていますか。    都道府県、指定都市レベルでは、議会・委員会等の傍聴に関する制限は見られない。 表V−6 該当する条例・規則等がない 該当する条例・規則等に利用制限に関する規定はない 精神に異常のある者(精神異常者) 精神病者 精神錯乱者 精神に障害がある者 精神に疾患がある者 精神的に欠陥がある者 精神薄弱 白痴 知的障害 てんかん 目の見えない者 耳の聞こえない者 口のきけない者 体が不自由な者 その他 回答なし 回答者数 議会 5 49 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 56 8.9 87.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 3.6 100.0 教育委員会 5 47 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 56 8.9 83.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 7.1 100.0 人事(公平)委員会 10 17.9 41 73.2 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 5 8.9 56 100.0 3.市町村調査 集計結果 回収状況:市区町村向け:48.0%(1,552/3,235) 19−1 条例・規則などに資格制限(欠格事由)が設けられていますか。  市町村の一般事務職員、及び現業については、少数自治体ではあるが、精神障害に関する欠格条項、また、知的障害、視覚障害、聴覚障害、身体障害に関する欠格条項を設けている自治体が見られた。警察職員、学校教員、ふぐ調理師については、87%以上が「回答なし」になっており、これらの資格については許認可権を市町村自治体が持たないことによると考えられる。また、学校教員については、国レベルで定められている学校教育法の規定との関連で、そもそも自治体レベルの条例・規則において資格制限を定めることはないとの判断が結果のような回答なしにつながったと考えられる。 表V−7 該当する条例・規則等がない 該当する条例・規則等に資格制限(欠格事由)に関する規定はない 精神障害 精神病 てんかん 知的障害 色覚障害 視覚障害(目の見えない者などの規定) 聴覚障害(耳の聞こえない者などの規定) 口のきけない者 体が不自由な者 その他の障害・病気 回答 なし 回答者数 市町村一の事務職員 741 606 4 3 0 2 0 1 2 1 3 4 193 1,552 47.7 39.0 0.3 0.2 0.0 0.1 0.0 0.1 0.1 0.1 0.2 0.3 12.4 100.0 市町村の現業職員 673 545 5 4 1 3 1 1 2 1 3 4 328 1,552 43.4 35.1 0.3 0.3 0.1 0.2 0.1 0.1 0.1 0.1 0.2 0.3 21.1 100.0 消防職員 265 141 12 12 5 10 25 28 24 16 21 11 1,105 1,552 17.1 9.1 0.8 0.8 0.3 0.6 1.6 1.8 1.5 1.0 1.4 0.7 71.2 100.0 警察職員 143 13 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1,396 1,552 9.2 0.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 89.9 100.0 学校教員 163 31 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1,358 1,552 10.5 2.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 87.5 100.0 ふぐ処理(調理)師 142 12 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1,398 1,552 9.1 0.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 90.1 100.0 19−2 募集要項等に書かれている受験資格に以下に該当する制限を設けていますか。  市町村の一般事務職員、及び現業職員については、「自力通勤」、および「活字印刷文に対応可能な人」に限るとする実質的な制限を設ける自治体が複数存在した。また、少数自治体ではあるが、聴覚障害、精神障害に関する制限を設けている自治体が存在することも明らかになった。また「心身共に健康であること」という表現で事実上の制限を図っている自治体は、全体の9%(一般事務、現業とも139自治体)にのぼった。しかし、警察職員、学校教員、およびふぐ調理師については、市町村レベルでは募集を実施していない場合があり、回答なしが90%以上を占める結果となっている。 表V−8 受験資格に制限は設けていない 心身ともに健康であること(業務遂行に支障のない健全な身体であること) 自力で通勤し勤務遂行可能なこと 活字印刷文による出題に対応可能な人 色覚が正常であること 聴覚が正常であること 精神が正常であること その他 回答なし 回答者数 市町村一般事務職員 913 139 111 98 0 2 8 183 205 1,552 58.8 9.0 7.2 6.3 0.0 0.1 0.5 11.8 13.2 100.0 市町村の現業職員 810 139 73 57 0 1 7 151 384 1,552 52.2 9.0 4.7 3.7 0.0 0.1 0.5 9.7 24.7 100.0 消防職員 182 85 35 25 82 57 17 70 1,177 1,552 11.7 5.5 2.3 1.6 5.3 3.7 1.1 4.5 75.8 100.0 警察職員 57 2 1 0 0 0 0 6 1,486 1,552 3.7 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 95.7 100.0 学校職員 90 6 2 1 0 0 0 8 1,446 1,552 5.8 0.4 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.5 93.2 100.0 ふぐ処理師・ふぐ調理師 55 1 1 0 0 0 0 5 1,490 1,552 3.5 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 96.0 100.0 19−3 過去5年以内に、以下に該当する試験、また試験の際の通訳配置等を行いましたか。  市町村の一般事務職員、及び現業職員については、共に70%以上の自治体が過去五年以内には「実施していない」との回答を寄せた。試験に際する適切な配慮として、比較的多かったものは、「試験場のアクセスや構造の配慮」(一般事務4.1%、現業1.6%)で、手話通訳・筆記通訳の配置や、拡大文字試験、点字試験については、事務職で1%強、現業で1%未満に留まった。また、試験に際した「適切な配慮」を一つ以上実施した自治体の多くが、一つのみの実施に留まっている。 表V−9 実施していない 点字試験を実施 拡大文字試験を実施 手話通訳、筆記通訳の配置 試験場のアクセスや構造の配慮 その他 回答なし 回答者数 市町村の一般事務職員 1,231 23 21 28 63 23 194 1,552 79.3 1.5 1.4 1.8 4.1 1.5 12.5 100.0 市町村の現業職員 1,120 10 2 9 25 9 381 1,552 72.2 0.6 0.1 0.6 1.6 0.6 24.5 100.0 消防職員 352 2 0 5 12 2 1,181 1,552 22.7 0.1 0.0 0.3 0.8 0.1 76.1 100.0 警察職員 70 0 0 0 0 2 1,480 1,552 4.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 95.4 100.0 学校職員 107 0 0 0 1 3 1,441 1,552 6.9 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 92.8 100.0 ふぐ処理師・ふぐ調理師 68 0 0 0 0 2 1,482 1,552 4.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 95.5 100.0 表V−10 実施していない 1つのみ 実施 2つ実施 3つ実施 4つ実施 5つ実施 回答なし 合計 市町村の一般事務職員 1,231 105 14 7 1 0 194 1,552 79.2 6.8 0.9 0.5 0.1 0.0 12.5 100.0 市町村の現業職員 1,120 49 1 0 1 0 381 1,552 72.1 3.2 0.1 0.0 0.1 0.0 24.5 100.0 消防職員 352 17 2 0 0 0 1,181 1,552 22.7 1.1 0.1 0.0 0.0 0.0 76.1 100.0 警察職員 70 2 0 0 0 0 1,480 1,552 4.5 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 95.4 100.0 学校職員 107 4 0 0 0 0 1,441 1,552 6.9 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 92.8 100.0 ふぐ処理師・ふぐ調理師 68 2 0 0 0 0 1,482 1,552 4.4 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 95.5 100.0 20−1 貴自治体の公営住宅単身入居者募集要項、しおり等に障害・病気を理由とした入居制限に関する記載がありますか。  都道府県指定都市の調査と同じく、入居制限を設けていないとする自治体が半数以上の913自治体にのぼった。しかし、常時介助を必要とする重度身体障害者に関する入居制限を設けている自治体が136自治体(8.8%)存在した。但し、都道府県調査結果でもふれたように、常時介助を必要とする重度障害者については、「重度身体障害者であっても居宅で常時介助を受けられる者であれば可」といった規定を設けている自治体も存在するため、この調査では、どのレベルでの制限であるかをはっきりさせることができなかった。また、精神障害、知的障害についての制限が少なかった(共に4%以下)ことについても、都道府県・指定都市調査結果と同じく、制限がないと考えるよりも、そもそも、入居枠が設定されていないという問題、また、公営住宅法施行令第6条が、単身入居できる者の例示、規定であり、精神障害者、知的障害者の場合、その規定の対象になっていないことによって、制限されていること自体が認識されていないことが問題としてあげられる。 表V−11 入居資格に関する制限はない 常時介助を必要とする重度身体障害者に関する入居制限を設けている 精神障害に関する入居制限を設けている 知的障害に関する入居制限を設けている その他 回答なし 回答者数 913 136 60 38 182 319 1,552 58.8 8.8 3.9 2.4 11.7 20.6 100.0 20−2 貴自治体の公的施設の利用に関して、障害を理由とする制限が設けられていますか。  少数自治体ではあるが、公的施設の利用制限を有する自治体が存在することが明らかになった。また、利用制限の多くは、精神障害に関する制限であることが明らかになった。市民施設では、14の自治体が「精神に異常のある者」、3つの自治体が「精神病者」「精神に障害がある者」、2つの自治体が「精神錯乱者」の規定で、利用を制限していることが明らかになった。  また、精神障害を理由とした利用制限は、教育施設、生涯学習施設、図書館、スポーツ施設にそれぞれ複数存在することが明らかになっている。 表V−12 該当する条例・規則等がない 該当する条例・規則等に利用制限に関する規定はない 精神に異常のある者(精神異常者) 精神病者 精神錯乱者 精神に障害がある者 精神に疾患がある者 精神的に欠陥がある者 精神薄弱 白痴 知的障害 てんかん 目の見えない者 耳の聞こえない者 口のきけない者 体が不自由な者 その他 回答なし 回答者数 市民施設 295 860 14 3 2 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 52 329 1,552 19.0 55.4 0.9 0.2 0.1 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 3.4 21.2 100.0 福祉施設 287 898 7 1 1 3 0 0 0 0 1 0 1 1 1 1 47 312 1,552 18.5 57.9 0.5 0.1 0.1 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.1 0.1 0.1 3.0 20.1 100.0 保養施設 292 307 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 22 931 1,552 18.8 19.8 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.4 60.0 100.0 教育施設 284 492 2 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 27 749 1,552 18.3 31.7 0.1 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.7 48.3 100.0 生涯学習施設 261 563 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 31 697 1,552 16.8 36.3 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 2.0 44.9 100.0 図書館 297 771 6 4 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 44 430 1,552 19.1 49.7 0.4 0.3 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 2.8 27.7 100.0 スポーツ施設 284 910 10 3 2 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 51 295 1,552 18.3 58.6 0.6 0.2 0.1 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 3.3 19.0 100.0 20−3 貴自治体の議会、委員会等の傍聴に関して、障害を理由とする制限が設けられていますか。  議会及び教育委員会の傍聴について、「白痴」を理由とした傍聴制限を設けている自治体が存在するいことが明らかになった。また、教育委員会の傍聴に関しては、「精神に異常のある者(精神異常者)」の規定で制限を設けている自治体が201自治体に上るなど、精神障害に関わる多くの欠格条項(傍聴制限)が存在する実態が明らかになった。 表V−13 該当する条例・規則等がない 該当する条例・規則等に利用制限に関する規定はない 精神に異常のある者(精神異常者) 精神病者 精神錯乱者 精神に障害がある者 精神に疾患がある者 精神的に欠陥がある者 精神薄弱 白痴 知的障害 てんかん 目の見えない者 耳の聞こえない者 口のきけない者 体が不自由な者 その他 回答なし 回答者数 議会 252 962 61 11 7 14 4 2 1 1 0 0 0 0 0 0 85 174 1,552 16.2 62.0 3.9 0.7 0.5 0.9 0.3 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 5.5 11.2 100.0 教育委員会 275 721 201 9 11 46 7 6 3 1 0 0 0 0 0 0 60 265 1,552 17.7 46.5 13.0 0.6 0.7 3.0 0.5 0.4 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 3.9 17.1 100.0 人事(公平)委員会 496 435 20 1 2 6 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 22 579 1,552 32.0 28.0 1.3 0.1 0.1 0.4 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.4 37.3 100.0  (補足)  なお、法律との関連では、都道府県・指定都市、市町村共に、自治体職員に関しては地方公務員法第16条(成年被後見人又は被保佐人を、条例で定める場合を除き「欠格」とする規定)、学校職員については、学校教育法第9条(成年被後見人又は被保佐人を欠格とする規定)に基づいて定めているとする回答が複数寄せられた。また、公営住宅については、入居者資格を定めた公営住宅法第23条及び施行令第6条(身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることができず、又は受けることが困難であると認められる者を除くとする規定)に基づくとする回答があった。  さらに、本調査では自治体の障害者雇用(障害者別枠採用試験)や試験の実施形態などについてはふれることができなかったほか、自治体間の公的施設の形態の違いに対応する設問が設定できなかったなどの問題があげられる。 V―4 調査結果をみて 欠格条項についての実態と課題 大石剛一郎(おおいしごういちろう) 第1 総  論 1 欠格条項とは、特定の障害や病気を持つ人を類型的・一般的・一律に排除することを内容とする、法令等の規定を言う。欠格条項の背景には、抽象的な社会防衛(異質なもの・危険に思えるものはとにかく排除・隔離しようとする考え方)を中心とした「全体的な利益」(と思われているもの)を守ろうとする「社会的意思」がある。欠格条項は、地域社会における「差別と偏見」の産物であり、「差別と偏見」を制度化したもの、と言える。 2 「差別と偏見」には合理性がないことと同じ流れで、欠格条項に合理性はない。もしも各制度・システムの根本的・本来的な趣旨・目的が不当に害される危険が発生したら、個別・具体的にその危険に応じて的確に対応すれば良いのであり、その方が有効に対応できる。欠格条項により特定の人を一律に排除してしまうことは一般に、各制度・システムの根本的・本来的な趣旨・目的(万人の幸福追求)に反するものである。昔、ある学校教師が「通学すること自体に様々なハードルを設けられる「障害を持つ生徒」一般よりも、障害を持たない所謂「不良生徒」個別の方がずっと、授業の妨げになるし、学習・教育効果も低い」と述べていたことを思い出す。 3 「障害」はその大きな一要素として、「社会的不利」を含む。社会的不利の解消のためには、社会の側に「適切な配慮」「補助」が必要である。欠格条項を設けることは、その制度・場面における「適切な配慮」「補助」の放棄を意味する。所謂「インクルージョン」の否定を意味する。 4 更に、欠格条項は、自由と権利を奪うという意味において、実質的に見て、障害を理由とする言わば「刑罰」に近い。刑罰には罪刑法定主義があり、広い行政裁量による科刑は認められない。他方、欠格条項は、行政作用・行政の運用の中で、安易に設けられる。 5 欠格条項は厳存する。政府は「欠格条項の見直し」の方針を打ち出したが(平成11年8月9日総理府障害者施策推進本部)、その中身は、「障害を理由とする欠格条項は合理性のある限度に止めよう」と言うことに止まり、「障害を理由とする欠格条項は、適切な配慮・補助の放棄であって、合理性はない」と言い切らなかった。ゆえに禍根を残した。国家の法令レベルでも、欠格条項は少なからず残っているし、地域生活の身近な場面ほど、法規によらない、「なし崩し」的な欠格条項が散在しているようである。 第2 各  論 1 職員採用における「実質的な受験制限」 (1) 今回のアンケート調査結果によれば、条例・規則等によるストレートな資格制限が、都道府県・政令指定都市レベルでは警察職員及びふぐ調理師に関して、市町村レベルでは一般事務職員・現業職員に関して、(数は少ないものの)未だ存在する。抽象的な危険の取締りに対する積極性が想定される警察職員については、その危うさを感じつつも「そうだろうな」と思ってしまうが、障害を持つ人の刑事手続保障の悲惨な状況を考えると、この部分の資格制限の廃止には一定の重要な意味があろう。  他方、地方自治体の職員に関する資格制限が条例・規則等の規定として(少数であっても)明確に存在することは、障害をもつ人の社会参加を推進する言わば「責任母体」たる地方自治体自身が、「欠格条項の肯定される余地」を積極的に認めていることを意味するものであろう。このことは、地方自治体の職員以外の場面における欠格条項の可能性を肯定・助長する作用があるものと思われ、障害を持つ人の社会参加を阻害する要因としてのマイナス意義は大きい。ここでは、前述の平成11年8月9日の総理府障害者施策推進本部による欠格条項の見直し(政府方針)が、欠格条項の完全撤廃という形で基本理念を打ち出したとは言えない内容になっていることの影響は否定できないだろう。  少なくとも地方自治体の職員の欠格条項は、「まず隗より始めよ」の故事に習い、障害を持つ人の社会参加推進のため、完全撤廃すべきである。 (2) また、同アンケート調査結果によれば、募集要項等により「心身の健康」「自力による通勤と勤務」「活字印刷文による出題に対応可能」などのハードルを設ける「実質的な受験制限」については、都道府県・政令指定都市レベルでも市町村レベルでも少なくとも10〜20パーセント程度残っている。  この種の実質的な受験制限は、受験自体できないということで、制限の効果が具体的・直接的であり、障害を持つ人が地方自治体の職員になるという形でクリアかつ公的に社会参加することを阻害してしまう効果は大きい。また、これは法規によらない実質的な欠格条項であり、安易に設定されやすいうえに、「法律の根拠に基づかない行政作用による国民の自由・権利制限」という要素が強く、その法的な問題性は大きい。従って、この種の実質的な欠格条項は、絶対的に排除されるべきである。 2 受験における「適切な配慮」・「補助」 (1) 今回のアンケート調査結果によれば、都道府県・政令指定都市の現業職員・警察職員では50パーセント以上、市町村の一般事務職員・現業職員については70パーセント以上の割合で、受験における「適切な配慮」・「補助」がなされていない。 (2) 障害の特徴に応じた必要な配慮・補助がないことは、前述の募集要項等におけるハードル同様、法規によらない実質的な欠格条項であり、パーセンテージが高いことともあいまって、障害を持つ人の社会参加を阻害する効果及び法的な問題性は非常に大きい。 (3) 必要な配慮・補助がないことは「外から見えにくいハードル」の性質を持つ。であるだけに、個別の状況・ニーズに注意してチェックする必要があるが、そもそも必要な配慮・補助がないということ自体が、障害を持つ人を積極的に社会から排除しているに等しい、という認識を浸透させる必要がある。そのためには、むしろ直裁に、全ての場面における「機会の平等」を実現するために、全ての場面における「障害の特徴に応じた必要な配慮・補助の必要性」を明確に定める法規の制定が積極的に求められるべきであろう。 3 公営住宅への入居制限、議会・教育委員会等への傍聴制限 (1) 今回のアンケート調査結果によれば、公営住宅への入居制限については、都道府県・政令指定都市、市町村いずれにおいても、10〜20パーセント程度存在するようである。但し、制限対象は主として「常時介助を要する重度身体障害者」であり、精神障害・知的障害についてはそもそも入居対象として想定されていない実態があるという。 (2) また、同調査によれば、公的施設の利用制限については、都道府県・政令指定都市レベルではほとんど見られないが、市町村レベルでは少数ながら、教育・学習・スポーツ施設などにおいて「精神異常者」「精神錯乱者」「精神に欠陥がある者」などという表現により、主として精神障害に関する制限が存在することが明らかになった。 (3) 更に、同調査によれば、議会・委員会の傍聴についての制限(障害を理由とする)に関して、都道府県・政令指定都市レベルでは見られないが、市町村レベルでは少数ながら、「白痴」とか「精神異常者」「精神錯乱者」「精神に欠陥がある者」などという表現により精神障害に関する制限が残存していることが明らかになった。 (4) 障害を理由とする欠格条項は、社会における障害に対する「差別と偏見」の象徴であり、それらの『制度化』という性質を持つ。社会における「差別と偏見」は主として、社会の障害に対する「無知」から来る。社会の障害に対する無知は、障害を持つ人の存在が見えにくい、障害を持つ人の声が聞こえにくい、というところに一つの大きな原因がある。  障害を理由とする公営住宅への入居制限や公的施設の利用制限は、地域において、障害を持つ人の存在を見えにくくするものである。とくに地域生活の身近な部分を担う市町村レベルでより制限が目立つこと、教育・学習・スポーツといった気軽に交流しやすい場面での制限があることのマイナス意義は大きい。  議会・委員会の傍聴についての制限は、障害を持つ人の声を聞こえにくくするものである。権利は主張しないと保障されない。権利主張するためには、権利の保障・侵害状況を知らなければならない。  傍聴制限は権利状況を知ることを阻害することにより、権利主張を阻害するという効果を持つ。  更に、「白痴」「精神異常者」「精神錯乱者」「精神に欠陥がある者」などの用語を放置しておくことの「差別と偏見」助長効果も看過できない。  障害を理由とする公営住宅への入居制限や公的施設の利用制限、議会・委員会の傍聴についての制限は、全て撤廃すべきである。問題や危険は、適切な配慮・補助の保障と発生してからの対応(障害を持たない人の場合同様)によって処理されるべきものである。 第3 結  論  欠格条項に合理性はない。のみならず、欠格条項は、障害を持つ人から、社会参加の機会を奪い、権利主張機会を奪い、その存在自体、社会の差別と偏見を助長するものであり、そのマイナスの意義・効果は大きい。  欠格条項は完全撤廃すべきである。が、シラミ潰し作戦は無駄が多い。前提として明確に「差別と偏見の禁止」を制度化すべきである。厳然と存在しかつ排斥されるべき「差別と偏見」の内容・類型・基準などを明確にし、これを具体的な法律によって、制裁規定付きで禁止するべきである。  社会全体の意識改革を待つことはできないし、全面的には期待できない。残念ながら、「差別と偏見」はいつでも、どこにでも存在する。だからこそ、律する決め事が必要である。その決め事によって社会の自覚を促進させる手法が手早いし、現代の日本人向きだと思う。 W−1 調査のまとめ 調査結果からみえてきた課題 ワーキングチーム 金   政 玉  以下の中で、各調査―(1)「都道府県・政令指定都市障害者計画」策定・実施状況に関する調査、(2)「市町村障害者計画」策定・実施状況に関するアンケート調査、(3)当事者団体アンケート調査の結果、(4)「欠格条項総点検キャンペーン」調査―の結果からみえてきた課題をワーキングチームとしてとりまとめてみた。 (1)「都道府県・政令指定都市障害者計画」策定・実施状況に関するアンケート調査を終えて  〜これからの課題〜 @各施策が当事者の権利を保障するものになっていくためには、どのようなことが必要か。 a.地域生活支援につながる施策の数値目標が低い数値に留まっている一方、最も数値目標の設定率が高い施策が身体障害者療護施設44自治体(89.8%)になっていることから明らかなように、入所施設偏重の傾向が浮き彫りになっている。地域生活移行への具体的ビジョンが求められている。 b.行政資料の情報提供を含むコミュニケーションの配慮については、拡大印刷、盲ろう者通訳、知的障害者向けの情報提供サービスは、計画にも盛り込まれておらず、施策としても実施していない自治体の割合が非常に高くなっている。支援費等の利用契約型サービスの制度化において、情報提供にかかわる障害種別とニーズに応じた施策づくりが、一層重要になっている。 c.「基準規則」と「アジア太平洋107の評価項目」の認知度が低いことを踏まえ、国際基準を広く周知し、計画策定の指針として活用できるための研修等の取組みが必要である。 A当事者の「参加」がより主体的・実質的になっていくためにはどのようなことが必要か。 a.調査票作成前に、障害者団体等から意見を聞くことは、計画策定過程と実施状況において障害当事者の「参加・参画」の度合いを計る上で、重要なポイントになるという観点から、調査票作成前の障害者団体などへの意見聴取の機会を増やしていくことが必要である。 b.障害者計画の策定を審議する委員会の当事者委員の選出方法については、「公募」がまったくない。計画策定への当事者の積極的な参画の機会を確保するということから、「公募」方式を、工夫をこらして実施していくこと必要がある。 (2)「市町村障害者計画」策定・実施状況に関するアンケート調査を終えて  〜これからの課題〜 @各施策が当事者の権利を保障するものになっていくためには、どのようなことが必要か。 a.この施策別の数値目標の設定は、国の「障害者プラン」を受けてのものだが、この結果をみる限りでは、国の「障害者プラン」に盛り込まれている数値目標の設定自体に対して、市区町村の関心が極めて薄いことが明らかになっている。数値目標は、高齢者を対象とする施策をベースに実施されている可能性がある。また、障害者の社会参加を支援するために必要な施策についても、いわゆる福祉の領域からはずれてしまうと、障害者計画における施策の位置付けが低くなるという結果になっている。今後、個別施策の実施主体である基礎自治体レベルで、障害者の特性やニーズをいかに把握し、また、有効な施策を実施していくかを注意深く点検していく必要がある。 b.「利用対象者の生活実態調査」が、市区町村それぞれ70%台になっているが、公共交通や「まちづくり」などにかかわる障害者の利用に配慮した「生活環境整備状況実態調査」を実施したのは、市区と町村で10%台という対照的な結果が出ている。障害者の社会参加を地域生活の多くの場面で進めていくために「まちづくり」などにかかわる障害者の利用に配慮した生活環境整備に関する総合的な実態調査が必要である。 c.障害種別では、「精神障害」に対する施策上の対応が特に遅れている現状があり、障害間の格差の解消とともに、「障害」の発生を環境的要因からとらえ、具体的なニーズ調査などから社会生活上の不利益を把握していくことが必要である。 A当事者の「参加」がより主体的・実質的になっていくためにはどのようなことが必要か。 a.調査票作成前に、障害者団体等から意見を聞くことは、計画策定過程と実施状況において障害当事者の「参加・参画」の度合いを計る上で、重要なポイントになるという観点から、調査票作成前の障害者団体などへの意見聴取の機会を増やしていくことが必要である。 b.障害者計画の策定を審議する委員会の当事者委員の選出方法については、計画策定への当事者の積極的な参画の機会を確保するということから、「公募」方式を、工夫をこらして実施していくことが必要である。 c.障害者計画の策定を審議した当事者委員以外の当事者の参加についてみると、町村で、市区に比べて著しく低い結果となった「意見の募集」を、今後、積極的に進める必要がある。また、政策立案に参画していくためにも作業部会等に当事者が参画する機会を増やしていくことが重要である。 d.計画の策定と実施については、恒常的なモニタリングの仕組みをつくるために、条例等により地方障害者施策推進協議会を設置して、モニタリングを制度化することが重要である。それとともに、障害種別ごとの「当事者参加」を広く進めていくことが重要であり、当事者の意見を十分に聴取することが必要である。 e.障害者計画を策定していない自治体、とりわけ、町村については、計画策定を困難にしている要因が「担当人員の不足」(43.5%)「専門的人材に乏しい」(33.5%)となっている。また、市区に比べて財源や人口規模といった基礎自治体としての力量の不足が考えられる。しかし、だからこそ、障害の専門家である障害当事者が、障害者計画の策定に関わることが必要である。 f.「基準規則」と「アジア太平洋107の評価項目」の認知度が低いことを踏まえ、国際基準を広く周知し、計画策定の指針として活用できるための研修等の取組みが必要である。 (3)当事者団体アンケート調査の結果について  〜これからの課題〜 @計画策定時の調査(同じ選択肢)について、自治体調査(市区町村)では、サービス利用者の生活状況の実態調査を実施したと回答した自治体は70%以上だったが、当事者団体アンケートでは、41.8%に留まっており、自治体側と当事者団体側では、生活実態調査の実施に対する認識にギャップが見られる。(表5参照) A当事者団体調査の結果は、計画に対して活発に働きかけている様子はうかがえるものの、「特に他団体と連携・協力はしなかった」という回答が43%となっている。当事者団体間のより積極的な連携・協力が求められるのではないか。(表11・表12参照) B計画策定について、当事者の「参加」は、団体を通した「参加」がなされている。その裏付けとして、自治体調査の委員選出方法では、団体からの代表か従来からの慣例が多い。しかし、計画に意見が反映されなかったと回答した当事者団体は20.5%になっており、「団体」からの代表が必ずしも当事者の意見を反映していない場合がある。  計画策定に関する委員会にできるだけ多くの当事者の参加を得る、委員の選出は団体代表や公募方式を併用する。そして委員会のなかでの当事者の数的優位を確保し、あわせて当事者サイドの多様な意見を吸い上げること。さらに、公聴会や各種障害者団体へのヒアリング、意向調査などさまざまな手法も併用して、できるだけ幅広くたくさんの当事者の意見を吸い上げることが必要ではないか。 (表13・表15参照) C計画に関する自治体からの情報提供について、コミュニケーションに何の配慮もされなかったと回答した当事者団体が33.3%にのぼっていることは、今後の重要な課題として銘記しておく必要がある。(表14参照) D「新プラン」の原案のなかで、当事者の政策立案過程への参加、とりわけ知的障害者本人と精神障害者本人の参加が書き込まれている。  今回の調査では団体の属性の分析は限界があったが、委員会等には慣例による団体代表が多く参加しており、「慣例」とは知的や精神の場合、9割方家族団体であろうと推察される。新プランの指摘を待つまでもなく、知的と精神の本人参加を当事者の政策立案過程に明確に位置付けていく必要がある。(表6〜表10、表16〜表19参照) (4)「欠格条項総点検キャンペーン」調査を終えて  〜自治体の保持する欠格条項の実態とこれからの課題〜 @ 自治体条例・規則及び、受験資格等にみる欠格条項 a.都道府県・指定都市が許認可権を持つ免許及び資格の制限規定(資格制限)に関しては、数は少ないが警察職員及びふぐ調理師に関する条例に依然として資格制限があることが明らかになった。 b.市町村の一般事務職員、及び現業職員に限って結果をみていくと、少数ではあるが、条例・規則に精神障害、精神病、知的障害、視覚障害、聴覚障害、口のきけないもの、体が不自由なもの、その他障害・病気を理由とした欠格条項を有する自治体が存在することが明らかになった。 c.都道府県・指定都市、市町村共に、条例や規則等では制限規定がない資格においても、応募要項等に示された受験資格で「活字印刷文による出題に対応可能な人」や「心身ともに健康であること」、「自力で通勤し勤務遂行可能なこと」といった、実質的な意味での「制限」があることが明らかになった。 A 受験時における適切な配慮の実施状況 a.試験の際の適切な配慮については、過去5年以内には実施していないと答えた自治体が都道府県・指定都市の一般事務職員でも16自治体(全体の28.6%)、市町村においては、一般事務職員で79.3%(1231自治体)、現業職員で72.2%(1120自治体)に及んだ。 b.受験時における適切な配慮の実施の有無は、条例や規則等の法規、受験資格に示された欠格条項と同時に、実質的な意味での社会参加を可能にするために欠かせない問題である。本調査は、「欠格条項」と合わせて、実質的な意味での参加を拒む要因となりうる受験時の適切な配慮の欠如という問題とその実態を明らかにした。 B 公営住宅の入居制限についての実態 a.公営住宅の入居制限に関しては、常時介助を必要とする重度身体障害者に関する入居制限を設けている自治体が都道府県・指定都市で9自治体(16.1%)、市町村で136自治体(8.8%)存在することが明らかになった。 b.公営住宅は、それまで、常時介助を必要とする障害を持つ人の入居を制限していた公営住宅法施行令(第6条)が、2000年に、「常時介護が必要なものでも介護を受けることができるならば、単身用公営住宅の入居を認める」とする規定に変わったことによって、門戸が開かれてきたと言われている。しかし、本調査は、依然として少なくない数の自治体が、重度障害者については入居を制限するとした認識を保持していることを明らかにした。また、精神障害や知的障害のある人については、入居枠を設けていないとする自治体が多数存在し、現在もなお、公営住宅の入居には、バリアが存在していることが明らかになっている。 C 公的施設の利用制限及び、行政委員会等の傍聴制限の実態 a.都道府県・指定都市においては、公的施設の利用制限及び議会・教育委員会等の傍聴についての障害を理由とした制限は、ほぼ見られなかったが、市町村調査においては、精神障害に関わる多くの欠格条項が存在する実態が明らかになった。 b.精神障害に関わる利用制限については、「精神に異常のあるもの」といった表現が多く見られるほか、「精神に欠陥がある者」や「精神錯乱者」といった表現による制限規定を設けている自治体が存在したほか、「精神薄弱」や「白痴」という旧態依然の規定による傍聴制限を設けている自治体が、現在もなお存在することが明らかになった。 〜これからの課題〜  国においては、障害者に係る欠格条項の見直しに向けた対処方針(@欠格、制限等の対象の厳密な規定への改正、A絶対的欠格から相対的欠格への改正、B障害者を表す規定から障害者を特定しない規定への改正、C資格・免許等の回復規定の明確化―1999年8月障害者施策推進本部決定 以下、対処方針とする)に基づき、関係省庁において見直しが行われてきた。見直しは、基本的に対処方針のAにそって改正され、資格試験を受ける門戸がこれまでよりも開かれたといえる。  しかし欠格及び制限の対象の「厳密な規定」と、「視覚、聴覚、音声若しくは言語又は精神の機能の障害」により、「必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」(医師法等の一部を改正する法律の厚生労働省令事項)というように、各種機能の障害名と病名の特定が併置される形で残されているために、どのような点が見直されたのかが明確になっていない現状にある。こうした現状を踏まえた上で、自治体は、法規に示された欠格条項の問題点を認識し、根本的な障壁除去に向けた策を講じる必要がある。  同時に、ADA(障害をもつアメリカ人法 1990年)が規定する「差別」の定義(「応募者または従業員である有資格の個人の既知の身体的・精神的制限に対する合理的な便宜を提供しないこと」)を踏まえ、受験時における適切な配慮が実施されていないことが、「差別」に相当するという考え方を、国及び自治体の法制度を改正する際に定着させていく必要がある。  具体的には、「適切な配慮」として、@国及び地方公共団体は、障害者が資格や免許等に基づく業務に就いている間は、その障害者が必要とする補助手段に係る経費等を支援するための必要な措置、A資格や免許等を取得した障害者を雇用する事業主は、その障害者が必要とする補助手段の確保のため必要な措置、B資格や免許等の取得に際し、その修業や卒業が条件となっている大学等の教育機関は、必要な課程の履修にあたり、障害者が必要とする補助手段の確保に必要な措置等を講じることが今後の課題として求められる。  また、本調査は、公営住宅の入居制限に関して、常時介助を必要とする重度身体障害者に関する入居制限を設けている自治体が少なくないことを明らかにしたという点で、身辺自立ができない重度身体障害者に対して、地域で介助サービス等の必要なサポートを受けて自立生活を行う権利を認めない、またはそうした自立生活のあり方を理解できない自治体が多い現状を明らかにした。同時に、知的障害と精神障害のある人に対して、単身入居の枠を設けていないこと自体が、当事者を自立できる対象としてみなしていないことになり、差別と偏見を拡大・助長しているという点も問題として浮かび上がってきた。  自治体は、こうした自治体のあり方が、障害者の地域での自立生活を妨げる要因となることを理解し、制限をなくす方策を講ずる必要がある。  精神障害と知的障害がある人に対して、公的施設の利用制限及び議会・教育委員会等の傍聴を制限する場合に「精神に異常のあるもの」「精神に欠陥がある者」や「精神錯乱者」または「精神薄弱」や「白痴」という差別的表記をしている自治体が少なくない。  こうした根強い差別と偏見を解消していくための解釈基準を定め、障害者への利用制限、傍聴制限等を法律、条例等によって明確に禁止し、それを地域レベルの人権教育・啓発の取組みに位置づけていくことが必要である。 W―2 所  感 調査結果をみて思うこと キャンペーン委員 加藤 真規子(かとう まきこ)  精神障害者の社会福祉施策の立ち遅れは、声や数字になりにくいといわれている。  偏見・差別が根強いために、本人・家族ともに主張しないからだ。今回の調査結果をみると、私たちの周囲でおきている住居、就労、自立支援等の手立てがほとんど皆無であること、精神障害への偏見・差別を撤廃するための社会的支援に向けた努力の立ち遅れがはっきり数字になって証明されたと思う。  欠格条項の調査結果からも精神障害者が多くの文化施設、たとえば図書館やプールから締め出されていることが読み取れる。  また「精神障害者」を表す言葉として「精神異常者」「精神病者」「精神的に欠陥がある者」など、「偏見・差別」を感じるものも多く、「問題」があるのは精神障害者の方であるという、行政というか社会というか地域というものの思い込みがリアルに迫ってくる。  「白痴」という表現を使っている自治体すらあり、「障害者が差別を受けない権利」を保障する行政の義務・責任の明確化など未だ遠いことなのだと腹が立つのを通り越して、気が滅入り、悲しい。市町村という私たちの生活に身近なところほど、「地域」というと聞こえはいいが、封建的で、保守的で、泥臭い人間関係で、私たちを悩ますのだ。その現実がこうした条例の中に正体を温存させて、私たちを苦しめる。しかも行政に携わる多くの人々は、その古い条例の存在に無自覚で過ぎていくのだ。本当に精神障害者は地域で暮らしていていいのだろうかとさえ思うことがある。  住居は、在宅生活の基本である。マンションや一戸建てを購入したり、借りたりすることができるだけの資金や保証人があればよいが、多くの精神障害者は生活保護や障害年金に依拠している経済生活である。保証人がいなくて困っている人も多く、地域との関係が悪く「退院しても戻ってこないで!」と言われている人もいるし、その地元にだけは戻りたくないという人もいる。公営住宅に単身の精神障害者は入ることができないという欠格条項もある。  精神病は、思春期に発病することが多い。学校に再入学したり、進学したいという思いを持ち続けているのは、私だけではない。しかし、それを支援するシステムは日本にはない。しかも日本は大変な学歴主義である。いろいろな人々と交流したり、豊かな精神生活をおくり体も心もみがきたいと考えるのは、精神障害者も一般の人々と同じである。チャンスがあれば海外にも行ってみたいとみんなが願っている。  ピアサポート活動の有効性も近年やっと提唱されるようになってきている。精神障害をもち、社会的支援もほとんどない環境の中で、私たちはみんなで協力しながらここまで生きのびてきた。これからも仲間の退院促進、自立生活支援、権利擁護に取組んでいきたい。 W―2 所  感 アンケート調査結果について キャンペーン委員 堀内 生太郎(ほりうちせいたろう)  アジア太平洋障害者の十年最終年記念フォーラムでは札幌、大阪の両国際会議のほかにバリアフリーキャンペーンとして、障害者基本法に定められている障害者計画の策定状況と、いわゆる障害者の欠格条項に対する地方自治体の取り組みについてアンケート調査を実施した。調査は3,000を超える全国の自治体と、およそ1,500の各都道府県に所在する障害者福祉団体に対して行った膨大なもので、設問の設定、調査用紙の送付回収、集計分析作業に携わった関係者各位の多大なご苦労に深甚なる謝意を表したい。  今回の調査は、@障害者の自立を可能とするための全国の障害者計画がどのように機能しているか、A障害者計画未策定の市町村に対して問題意識の喚起、B地方自治体に対する欠格条項総点検の促進などを狙って実施するものであるが、一方、調査対象となる地方自治体は現在、@地方分権(機関委任事務の廃止)に伴う諸問題、A地方自治体の財源難、B町村合併の加速という大きな難題を抱えており、調査結果の分析に際してこの点を特に留意する必要がある。  わが国の地方自治体はこれまで機関委任事務制度の下で中央省庁の下請機関として活動することが多く、社会福祉もその埒外ではなかった。しかしながら2000年4月に実施された地方分権一括法の実施に伴い、生活保護に関する事務が法定受託事務とされ、従来の機関委任事務と同様厚生労働省の所管事務となったが、それ以外の社会福祉は全て自治事務となり、地方自治体が法令に基づき独自に解釈し執行することとなっている。社会福祉の分野ではこれまで地域福祉が唱えられてきたものの、あくまでも中央省庁主導型で展開されてきた。これが地方分権一括法の制定によって、名実ともに地方自治体の自主的な活動が求められている。社会福祉部門においては介護保険の導入に伴う事務が大きな比重を占めるようになっており、相対的に障害者福祉分野に対する注力の度合いが低下しつつあるのではないかと危惧されるところであり、この点に今回の調査結果が注目される。  法制上は地方分権が飛躍的に促進されたが、その一方わが国の財政は危機に瀕しており、地方自治体自身が財政難を抱えている上に地方分権に伴う所要財源の委譲が行われていないという問題がある。今般その一端を露呈したのが、厚生労働省予算のホームヘルプ補助金問題である。地方自治体が障害者計画の裏付けとなる財源の手当てが保障されないまま策定を余儀なくされていることが調査結果にどのように反映されているかが注目される。  同じ地方自治体といっても、人口で見る限り大きな較差がある。都道府県では1,000万人を超える東京都から、100万人にも満たない鳥取県もあり、市町村レベルでは5,000人以下の所も少なくない。現在、地方分権の受け皿である地方自治体の効率運営のために、市町村合併推進法が2005年3月末までの期限で設けられており、各地で市町村合併のための住民投票、合併協議会が設置されている。現存する3,300を数える大小の地方自治体のうち、はたしてどの位の自治体がこの調査を受け入れるか、どのような調査結果が得られるかに、今回の調査結果が注目される。  以上3点の留意事項を前提に、更には地域における障害者団体の活動実態にも触れるアンケート調査結果について、以下の通り所感を述べたい。 (1)  自治体障害者計画策定の実態と課題 @ 回答率について  今回の調査は全国3,235の市町村に発送されたが、1,552の自治体、率にして約半数の48%から回答が寄せられている。この回答率は市町村の障害者福祉に対する関心の度合いを示すものという解釈も成り立つが、全国の市町村のうち約半数(1,657)が合併に関する調査研究を始めている(2001年9月末現在、総務省調査)という実態を考えれば、何ら強制力を持たない今回の調査に対するこの回答率は、関係者のご努力とともに高く評価される。 A 調査結果所感  都市部と町村を区分した調査結果が出されているが、障害者計画が策定困難な理由で担当人員や専門的人材、財源の不足などが上位を占めており、地方自治体の現状を鑑みるならば人口が多いほど回答内容が充実しているのは当然の結果であるといえよう。  ここで特に注目されるのは、障害者計画の策定に際しての参考資料と、具体的な施策の都道府県別実施状況の格差である。  参考資料の上位を占めるのは第1に都道府県の計画であり、7割の市町村がこれを参考にしており、次いでおよそ6割が新長期計画・障害者プランとなっている。今後地方分権が進む中で、障害者福祉に関する施策は都道府県の影響が大きいこと、従って障害者団体の運動は、都道府県レベルの組織に重点を置き、組織強化を図るべきではないかというヒントを示している。  もう一つの都道府県別の具体的な事業や助成の計画、実施状況を見ると、都道府県別にかなりの開きがある。一般的に障害者福祉に熱心ではないかと思われているところで、意外に低い数字を示しているところも見受けられる。単に数字を低いところを指摘して、より実績を上げるべきであるという結論を出すのは簡単である。しかしながら何故そのような数字を示しているのかを突き止める必要があろう。中央で設定した行政施策そのものがご当地において果たして適切かどうかという地域的な問題もあり、あるいはまたご当地における他の施策でより以上の効果を上げていることも考えられる。今後このデータをもとに、そのデータが何を意味しているのか、それぞれの地域の行政担当者、障害者団体がともに意見を交換しながら、地方分権を通じての地域福祉の充実を図る必要がある。  なお施策策定における障害当事者、関係者の参加については、行政の障害者福祉に対する取り組み姿勢として考えるだけでなく、「住民参加で障害者団体が計画作りに参加する際に、各障害者団体がそれぞれ自分のところの主張ばかりされていては、方向がまとまらなくなる恐れがありますね。障害者団体が福祉全般を考えて、計画作りに参加する力量は、すでに備えていると考えていいのでしょうか。」という月刊福祉の座談会で発言された大橋日社大教授の発言に耳を傾ける必要がある。  (2)  欠格条項についての実態と課題  本調査は全国の地方自治体に対する欠格条項に関する初めての網羅的な調査として高く評価される。特にこの設問に対する回答は、各自治体の福祉部門の担当者だけでなく、その他の部門の協力を必要としており、各設問とも無回答の割合が多いのはその事実を示しているのではないかと推測される。  この調査結果は現状をありのままに示したものであり、貴重な資料として今後の障害者福祉の活動に役立つものと思われる。考え方にもよるが欠格条項問題については、遅速の差はあるものの、各自治体とも前向きに改善に取り組んでいる様が窺える。  欠格条項関係の改善は、各自治体内部での取り組み姿勢に左右されるところが大きいと考えられる。統一的な点検表などに基づき、各部門一斉に問題点を探し、改善に努めることが必要であるが、既存の条例、規則を始め自治体内部の各種通達、実務書類の文言をすべてチェックするのは容易ではない。取り組みを強化するには、首長および議会の強い意志が必要であり、そのためには地域における障害者団体の効果的な活動が求められよう。また、今後新たに発生するかもしれない新規事態に対する予防は、地方公務員に対する研修の中で、この問題を取り上げて正しく指導することがもっとも効果的ではなかろうか。その点では、今回の設問の中で、欠格条項問題に取り組む地方自治体の動向、担当部署、取り組みに対する指示(具体的な内容と指示を出した時期)そのような動きを生じるきっかけとなった事象などの記載があれば、今後の対応に有益であったのではなかろうか。  なお公営住宅問題については、単に入居者資格だけではなく、バリアフリーなど障害者、高齢者の在宅福祉を推進する上で非常に重要な問題を含んでいるので、今後の取り組みの中で解決することが必要であろう。 (3) 当事者団体へのアンケート調査について考える  即に述べてきたところであるが、地方分権、地域福祉の時代に、地方の障害者福祉団体の果たす役割は極めて大きい。今回のアンケート調査は、今後の団体活動を推進する上で有益な情報が含まれていると思われ、その結果をどのように生かすか、当事者団体の力量が問われているものと考える。 W―2 所  感 今回の調査の結果と今後の課題について 評価委員会委員長 北野 誠一(きたの せいいち)  1981年の国際障害者年と1983年からの国連の障害者の10年をふまえて、我が国は1982年に「障害者対策に関する長期計画」を作成した。そしてそれ以来、いくつかの障害者に関する長期計画とそれに関連する法律を作成してきた。ひとつは1993年の障害者基本法に基づく「新長期計画」であり、もうひとつは1995年の数値目標を伴った障害者プラン(ノーマライゼーション七カ年戦略)である。さらにハートビル法、交通バリアフリー法、そして「欠格条項」の見直しが始められている。国連もまた「国際障害者の十年」の後、アジア太平洋地域における「アジア太平洋107の目標」を掲げた「アジア太平洋障害者の十年」を作成するとともに1993年には将来の障害者権利条約の礎となる「障害者の機会均等化に関する基準規則」を作成している。  そして2003年から我が国はこれまでの措置制度から利用契約に基づく支援費制度に移行しようとしている。さらにそれをふまえて(?)、新しい障害者基本計画と新障害者プランが作られた。  しかし問題は山積みである。  この山のような問題を整理して大きく分ければ3つある。 @障害者支援に関する基礎的(ベイシック)な部分、つまりナショナルミニマムやシビルミニマムの理解も実現もできていない。  この問題は、今回の調査においても、私達が都道府県・市町村の障害者計画の調査結果で明確にした点である。  例えば、表15−1の障害者計画における生活支援3事業の実際において、市町村生活支援事業、障害児地域療育等支援事業、精神障害者地域生活支援センターそれぞれについて、それを計画、実施している市町村はそれぞれ39%、25%、9%であり、計画しているがまだ実施していない市町村が16%、14%、17%である。さらに計画も実施もしていない市町村がそれぞれ35%、50%、67%である。  問題は国が前二者の補助金を廃止し、一般財源化をはかったことである。それに対する国の説明は以下のとおりである。  「市町村、都道府県のこのような役割は、支援費制度の施行に伴い、どこの地域においても整備されるべき一般的な機能であり、市町村、都道府県が担うべき本来的な機能といえる。また、相談支援事業の運営は、地域の関係資源の状況等に応じて、地域の主体性を活かして、弾力的に運営していくべきものである。こうしたことから、実施主体が特定され、画一的な運営になりがちな補助事業よりは、地方交付税による対応が適当であることから、2事業については一般財源化を行ったものである。またこれら2事業の一般財源化に当たっては、地方特例交付金及び地方交付税の増額により、所要の財源が確保されているほか、基準財政需要額に参入されることとなっている。今後、地方財政計画の内容等が明らかになった時点で、別途、その内容についてお知らせすることとしている。従って、現在既に2事業を実施している市町村、都道府県においては、それぞれ所要の財源の手当が行われているので、その旨財政当局の理解を求めることにより、引き続き、事業の実施が確保されるようお願いするとともに、この点については、市町村に対して強力に指導をお願いしたい。また、現在、2事業を未実施の市町村、都道府県においては、支援費制度における相談支援の重要性を十分勘案するとともに、所用の財源手当が行われているので、速やかに、地域における障害者(児)の相談支援体制の確立に向けた取り組みをお願いしたい。」  国は一般財源化に当たっては地方交付税等の増額がされているというが、これまで実際それを実施している市町村にとっては明らかに補助金カットであり、やろうと計画していたことろでは、明確なインセンティブは失われたも同然である。計画しているし、やる気のない市にとってはそれは無意味に少し交付税が増えるだけである。  一方で国はこの事業をナショナルミニマムととらえていることが以下の文章で分かる。  「支援費制度は、障害者(児)の自己決定・自己選択により、自らが契約によりサービスを利用する仕組みであり、また、すべての市町村において支援費対象サービスについて支給決定が行われることになる。従って、サービスの選択等サービスの利用援助としての相談支援機能の役割は、いっそう重要なものとなるとともに、全国どこの市町村においても、障害者(児)に対する相談支援機能を整備していただくことが重要となる。地域における相談支援は、支援費対象サービスに限られるものではないが、支援費対象サービスについては、利用者が支給決定の申請をするに際して、相談支援機能を十分活用し、適切な利用に結びつく支援を行っていくことが重要である。なお、そうした市町村における相談支援体制は、今後、障害者(児)の潜在的なニーズを的確に引き出し、地域におけるサービス提供体制の充実を図っていく上でも、重要な役割を果たすことになる。」  そこまで言うならば、国はナショナルミニマムとしてこの事業を市町村にやらせる義務がある。やらせるという表現が地方分権に反するというなら誘導する義務がある。そうしてそのためにはすべての市町村に補助金を付けるか、それとももっと思い切った一般財源措置が必要不可欠である。  私達は、現在やっている市町村や、やろうと計画していた市町村が、今後具体的にどうなっていくのかを厳しくチェックしてゆかねばならない。 A障害者を国民や市民としての平等な権利主体として位置づけ、何が障害者に対する権利侵害(差別)であり、それをなくすためにはどのような戦略をとるべきかについての法もシステムも欠落している。  このことは@と深く関係している。障害者支援に関するナショナルミニマムがいかなるものかは、結局同じ国民あるいは市民として障害者の権利性をどこまでどのようにして保障するかを意味するからである。  もちろん国家予算や自治体予算は無限ではないゆえに、障害を持つ国民(市民)と障害を持たない国民(市民)、あるいは同じ障害を持つ国民(市民)においてもさまざまな障害種別や障害程度において、必ずしも利害が一致するとは限らない。  問題はナショナルミニマム(シビルミニマム)として、どこまでを一致する着地点と定めるかである。  例えばパスポートセンターのある行政の窓口が3階にあると仮定しよう。そこにエレベーターがない場合に次のような理屈(屁理屈)があったとしよう。例えばもともと障害者が海外に出かけるなどということは想定していなかったとか、旅客機や客船はバリアフリーになっていないとかいった馬鹿げた理由だったとしよう。ここで障害を持つ市民と障害を持たない市民との間に利害の不一致があると考えるのは愚かな論理である。すべての国民(市民)が権利主体として、そこを利用する可能性があるとすれば、初めから最大限のユニバーサルデザインをふまえたシステムにしておけばよいだけである。つまりは誰もが使いやすいエレベーター等が初めから自然にあればよいのである。そのことに金がかかるから利害が対立すると考えるのは、女性の便所は金がかかるという論理と同じくらい馬鹿げている。海外に行くのは男の仕事で、海外は怖いところだから女性は行ってはいけないといった論理がいかに馬鹿げていようとも、障害者に対するバリアフリーがないのは、それと似たり寄ったりの論理であることに気付くべきである。  今回の調査では、特に「欠格条項」の問題を取り上げたが、未だ市町村に特に精神障害者に対する欠格条項が存在し、あたりまえの市民としての参画を拒んでいることは大きな問題である。さらに公務員採用において、未だ受験資格を制限し、点字試験や手話通訳等といった必要な合理的配慮を欠いている都道府県・市町村が見られことは、未だ必要な合理的配慮がなければ同じ国民(市民)としての権利主体として、あたりまえの生活ができない障害者に対するナショナルミニマム(シビルミニマム)意識が、形成・定着しきれていない現状を示している。  そのことをふまえて、一刻も早く、必要な合理的配慮を欠いた対応は権利侵害(差別)であることを明確にするとともに、その権利を救済するシステムを組み込んだ「障害者差別禁止法」を獲得する必要がある。 B障害者支援に関係するすべての施策について、障害者自身が中心的に参画することを当然とする意識や理解に欠けている。  これは今回の調査の中心的なテーマであった。それは「アジア太平洋障害者の十年の107の目標」においても、またとりわけ「障害者の機会均等化に関する基準規則」においても強調された点である。  調査結果によれば、障害者計画策定委員会に未だ障害当事者が入っていなかったり、調査票の作成等に障害者の意見を反映していない市町村が2割から3割あるということはゆゆしき問題である。  今回は実際に介助を必要とする重度の障害者や、地域で自立生活をしている障害者の参画の有無までチェックできなかった。もしそのことを調査して、介助や地域での自立生活がこれからの障害者計画の中心的なテーマとなるのに、介助を必要とする重度の障害者や地域で自立生活をする障害者が、その計画の策定委員として参画していなかったとすれば、たとえ多くの障害当事者が参画していたとしても問題が多いと言えよう。  そしてこの問題が実際は@やAとつながってくるのである。障害者支援について障害者自身が真に必要なビジョンを提起する中から、私達は障害者支援に関するナショナルミニマム(シビルミニマム)を形成することが可能となるのである。それがなければ真に障害者本人の必要に見合った、そして無駄の少ない真に効率的で効果的な支援は生まれてこないし、障害を持つ市民と持たない市民の相互理解と相互連帯も生まれてこないのであろう。  ともかくも私達は今回の調査で、日本の現状と問題点の一端を明らかにすることができた。後は実行あるのみである。 ●キャンペーン委員会 委員一覧 (順不同) 委員長 ・松 友   了(全日本手をつなぐ育成会) 委 員 ・中   博 一(聴力障害者情報文化センター) ・大 杉   豊(全日本ろうあ連盟) ・太 田 修 平(日本障害者協議会) ・桶 谷   肇(全国精神障害者家族会連合会) ・加 藤 真規子(精神障害者ピアサポートセンター こらーる・たいとう) ・川 畑 順 洋(日本盲人会連合) ・河 村   宏(日本障害者リハビリテーション協会) ・金   政 玉(DPI日本会議) ・木 村 尚 行(日本身体障害者団体連合会) ・黒 崎 信 幸(全日本ろうあ連盟) ・後 藤 真一郎(全国社会福祉協議会) ・塩 田 尚 人(特定非営利活動法人 日中協力機構) ・薗 部 英 夫(全国障害者問題研究会) ・高 橋 秀 治(ロゴス点字図書館) ・原 田   潔(日本障害者リハビリテーション協会) ・堀 内 生太郎(損保ジャパン記念財団) ・武 藤 正 美(特定非営利活動法人 日中協力機構) ・森   祐 司(日本身体障害者団体連合会) ・若 林   学(聴力障害者情報文化センター) ・渡 辺 禮 司(「最終年記念フォーラム」実行委員会総合事務局) ● 評価委員会 委員一覧 (以下・50音順) ・北 野 誠 一(桃山学院大学教授)【委員長】 ・石 渡 和 実(東洋英和女学院大学教授) ・石 川   准(静岡県立大学教授) ・岩 崎 晋 也(法政大学助教授) ・上 田 征 三(福山平成大学助教授) ・大 石 剛一郎(弁護士 東京) ・小 澤   温(大阪市立大学助教授) ・大 杉   豊(全日本ろうあ連盟本部事務所長) ・川 内 美 彦(一級建築士事務所アクセスプロジェクト) ・福 島   智(東京大学助教授) ・東   俊 裕(弁護士 熊本) ・吉 田   勧(弁護士 東京) ・渡 辺 禮 司(「最終年記念フォーラム」キャンペーン委員会総合事務局) (ワーキングチーム) ・金   政 玉(キャンペーン委員会政策部会担当 DPI日本会議) ・朝比奈 ミ カ(東京都社会福祉協議会児童・障害担当) ・圓 山 里 子(法政大学 講師) ・瀬 山 紀 子(お茶の水女子大学 大学院生) 「アジア太平洋障害者の十年」 最終年記念フォーラム キャンペーン報告書 発 行  「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムキャンペーン委員会 事務局  財団法人 日本障害者リハビリテーション協会      〒162−0052 東京都新宿区戸山1-22-1      TEL 03―5273―0601 FAX 03―5273―1523 編集(企画)協力 DPI障害者権利擁護センター 発行日  2003年3月